Jacarandaの木の下で

2004年〜2006年
ザンビア共和国での在外公館派遣員の記録

反省坊主。

2004-12-09 07:24:31 | Weblog
失恋して髪を切った。
なんてはずはなく、120%反省坊主。
僕は仕事で大変なミスをし、自分を戒める為、今朝自分自身で頭を丸めた。
高校球児でもなく、囚人でもないけれど、25歳で反省坊主。
事の次第を全て書いたら軽く短編小説になる。

結果からいうと出張者一行5人の内の一人の航空券を無くし、出発を一日遅らせた。
正確に言うと無くしたのではなく、ザンビア入国時に空港職員に預けたまま返してもらわず、翌日の出発の直前で手元に無いことを本人から聞かされた。

全てがうまくいっていた。
リビングストンではビクトリアの滝をザンビア、ジンバブエ両国から見て、天気もくずれず、ドライブ中には野生のきりんさん、象さんとも遭遇した。
往復12時間の車移動にも耐え、ルサカでの夕食会も無事終わらせた。
細かいと言われていた外務大臣政務官の雷も落ちることなく出発の朝を迎えた。
そしてここから僕の毛穴が全開になる。
7日朝、ホテルに出向き一行のチェックアウトをし、代理通関をするためみんなのパスポートと航空券を集め始めた。うち一人が、
「岡安さんに預けてありますよね?」
「・・・持っていません」
「私、持ってませんよ」
「の、の、のぁんですとぉぉぉ!?」
と、この瞬間に僕は地獄に落ちた。
確かにリビングストンで入国の際に預かった。けど、返した覚えは無い。
考えられるのはリビングストン空港。でも僕らは既に500Km離れたルサカ。
すぐ確認したが判明しない。この時9時30分。出国は12時30分。
一行は日程通り大統領表敬へと出発。
僕は上司に報告し、他館員の協力の下、できる全ての行動をした。
最悪でも他4人は出国させないと。
その間にも新しい問題発生。
大統領が来ない。予定が押している為フライトを変更する可能性有り。
それでは代理通関で荷物を預けることもできない。ただ空港で待機。
この時11時30分。予定フライトのチェックインカウンターが閉まるのを無理やり阻止。
11時45分。一行が予定通りのフライトに乗るとのことで急いでチェックイン。
でもまだ1人の航空券は未解決。
上司も空港に来て直訴。
12時15分。一行到着。そのまま搭乗すると思いきや、政務官の紙袋が無いと。僕はそんなの見たこと無い。あんたが一番偉いけれど、今は紙袋より人1人乗せることが先だ!
この時までに僕は、期待を胸にザンビアに到着した客の異様な視線を省みず、既に空港内を走り回り、顔・体ともに汗まみれ。一方では航空券の再発行、一方では紙袋探し。
既に12時30分をゆうに過ぎていた。ともかく、一行には待たせている航空機に乗り込んでもらい、上司、僕、出張者で空港職員につめよりオフィスに乗り込んで事情を説明。
あらゆる努力もむなしく、航空機離陸。遠く霞んだ目で見送った。

翌日に出発するその後の手続き中に航空券がリビングストン空港で見つかった。
空港職員は「あれ、チケットだったんだ?」と。
確かに他4名とその1人は発券が違ったため航空券の外見が違っていた。それを勘違いして職員が僕に返さず保持していたとの事。預かった数と返却した数を確認しなった僕は重罪。返さなかった職員も有罪。航空券をもたず出発まで言わなかった出張者も有罪。ただ、出張者を受け入れる側として、さらにそれが確実に派遣員の仕事である以上、誰よりも僕が悪い。

これまでの仕事経験の中でミスというミスをしたことがなかった。大抵なんでもできた。
その自己過信が今回の詰めの甘さを出したのかな。

そして今朝出勤前、頭を丸めた。
全責任をかぶってどうしようもなく頭を丸める、僕はそんな真面目でも誠実でもない。
もちろん自分を戒めるのが本意。実際はいづれ日焼けした時に予定していた丸坊主にするのをこれがいい機会だと思って便乗させた。
昨日、冗談交じりに「明日丸めてきます」なんて言って本当に丸めてきたから館員はびっくり。
直属上司も坊主だからこれで官房班は坊主のみになった。二人で食事は行きづらい。

今日、その出張者を出国させるべく、各手続き。
ある程度順調に運び、二人で搭乗を待ちながら諸出来事を振り返り、これでやっと終わるとコーヒーを飲みながら一息。
と、思うも束の間。
またまた出国45分前に事件発生。
やれやれ。

でもそれはまた次のお話。