ロンドン話に入る前にひとつ。
月曜から現地職員の一人が入院している。
医者の診断によると病名は「髄膜炎」。
日本ではなじみが薄く、僕も正直よく知らない。
頭痛とか症状は風邪に近いらしいけれど、手遅れだと行く先は暗い。
彼は年末に赤ん坊を授かったが、このところずっと体調が悪かった。
何か悪い病気じゃないかと思っていたところにこの報告。
正直に言うと、おそらく彼のベースにはHIVがあると思っている。免疫力低下のところで発症。気になるから上司に断りをいれ、お見舞いに行こうと思ったけれど医務官から「伝染」すると聞いて、たじろいでしまった。伝染力はインフルエンザより弱いけれど、大使館に持ち込んだらまた大変になる。気持ちだけじゃ動けない。
楽観的なことを言っている場合ではないけれど、経過を見るしかない。
で、話はロンドンへ。
今回の出張も前回と同じく日本食プラス必要な買い物出張。
選ばれたのも偶然だし、さらに、帰り便のエコノミーが取れないため急遽ビジネスへ。これまたたなぼた。
ルサカ発は朝8時15分。
日中にアフリカ大陸を縦断する。
僕はサハラ砂漠がムショウに見たかった。
あえて窓側の席を確保していた。
いざ機内に行ったら、あら太っちょが座ってるじゃないの。そこ僕の席。
僕がAであなたはBだから通路側ですよ、といっても、「私は窓側っていってこのチケットもらったから窓側だ」って。いやいや、明らかにここに絵で書いてあるだろって言っても聞かないのがザンビア人。アテンダントに聞いてみろって。あぁ聞いてやりますとも。
「ちょっとすいません、この人Bなのに窓側っていいはってるんですけど、Aですよね?」と僕。
「いや、Bです」とアテンダント。
なんだこいつ。お話になりません。
「他の人にきいてみろ!」と僕。
と、そのアテンダントは白人のアテンダントに聞いてみる。
「Aが窓側らしいです・・・」
このアテンダント今すぐ降ろしてやりてぇ。
サハラは広い!
どこまで行っても砂砂砂。
こんなところが地球にあるんだからすごいですよ。
ロンドンのホテルは中心地ピカデリーにとった。
便は抜群にいい。
ただ、中心だけに夜はうっさい。
更に、トイレの水が止まらない。四六時中じょろじょろじょろじょろ。
ティッシュを詰め込んで音を消すので精一杯。
もう一つ、僕の部屋は2階。すぐ下にはパブの入り口。
で、25日。リバプール(イギリス)対ACミラン(イタリア)というサッカーのチャンピオンズカップが行われた。
ビッグイベントですよ。超ド級の。
ここはイギリスですよ。フーリガン天国ですよ。
しかもリバプールの劇的逆転勝利。
いつもならノリノリで混ざるけど、僕は諸事情で動揺してたからノリきれない。
そそくさと部屋へ帰る。
しばらくすると始まった。暴徒。
バイクは倒すわ駆けつけた警察とはどたばたしてるわ。やれやれ。
買い物をちょこちょここなしつつ、今回は時間があるからちょっと郊外にでも行ってみようと。
テーマは「石」
まず、前回いけなかった大英博物館へ。
見っけたぞ『ロゼッタストーン』!お~すげー、何書いてあんのかさっぱりわからない石だこれ。
しゅーりょー。
さてと、用は済んだ。出よう。
次!
電車を乗り継ぎ、郊外の田園風景を眺め、駅からは間違って買ったツアーバスに乗る。
見っけたぞ『ストーンヘンジ』!!お~でけー、何の為に建てたかさっぱりわからない石だこれ。
しかも変なパワーあるぞ。占いとか人探しで使う鉄の棒がぐいぐい動く。誰よりも一生懸命UFO探したけど出てこないの。おっかしいな、こんな世界遺産を前にして、空をきょろきょろ見ていたのは僕以外いない。完全に観光の仕方、間違った。
で、電気ポットが見つからないまま最終夜。
今夜しかない!と夜の街へ繰り出した。悪い僕が動き出した。
ジャケットも着てばっちり。パスポートも持った。
僕はロンドンで1,2を争うクラブ(ディスコ)の前に立っていた。
意気揚々にパスポートをガードに見せる。もちろんすまし顔で。
一歩踏み出したその時、
「ノー、スニーカー!」
えぇぇぇぇぇ!!いてぇぇぇぇ!!
まずった。完全にまずってしまいました。足元ですか。足元見ましたかキミは。
参りましたねー。おそらく相当なスピードで眼球が動いてたましたよ、動揺して。
が、負けないよ。
止められた分余計に気分盛り上がっちゃったもんね。
こちとら名目は出張ですよ。スーツに革靴くらい持って来てますとも!
とりあえずホテルへ戻る。
時間は23時。
まだ早い。盛り上がるのは24時以降に違いない。
今日も日中の炎天下歩きっぱなしだったから今夜ダンスキングになるために少し体を休めよう。
・・・・・
・・・・・
あ~うるさい!外で女が酔っ払って暴れている声で目が覚める。
あれ?え??目が覚めた??
時間は!!?
3時・・・
チーン。しゅーりょー。
儚い。人の夢と書いて儚いですよ。戻ってはこないのです。
もう少しで男泣きでした。
最終日。
仕事をしましょう。
大使館へ行き、今回の荷物の多さにびっくり。
ダンボール14箱。計144キロ。
僕の荷物として持って帰るのです。
カードの限度額上げといて正解。
空港。
ここからは力の見せ所。
チェックインでカウンターと交渉する。
もちろん最初は通常のエクセス料金を提示される。120キロオーバー・3500ポンド。約70万円。
バカイエ、払えるもんか。マネージャーよこせ、上と話す!
という内容を優しい口調で下手にでるのです。強気に出るとあっちもつっぱねる。
マネージャーと交渉後、再びカウンターと交渉し、なんとか80キロまで減らしていただきました。今回はいい人に当たってよかった。それでも45万円だけど・・・
こんなお金を使ってまでと疑問に思うけれど、これが役所のやることです。
その恩恵を受けている僕たちはなんとも複雑な気分です。
空港内の免税店で買い物をする。
頼まれた化粧品をレジへ。
レジには金髪で長髪の女性。
「数ポンドです・・・」
???ちょっとまて。落ち着け僕。
今、僕の耳に入ってきたのはこの人の声ですか?
今、僕の耳に入ってきた太い声はあなたの声ですか?
!!!
男やんけ!!
カツラかぶって女装してんじゃないよまったく!
これから数千数万キロの旅に出ようとしている人を最後に見送るのがオカマちゃんですか。
万が一飛行機が故障して墜落しようとしてる時に、走馬灯のように人生を振り返り、両親を思い、恋人を思い、友人を思い出して、最後にスクリーンに現れるのは薄くおひげの生えた金髪のオカマちゃんか。ふざけんなー!死に際にひくわ。
と、今回はこんな感じで少し浮き沈みの激しいロンドン記でした。
↓写真(順番がハチャメチャになっているので「最終変更日」というところをクリックして整頓してから見てください。)
写真<ロンドン>