ワシントンポストによれば、GMはストライキを理由に労働者への医療保険の提供を中止した。
アメリカの医療費はきわめて高額なため、医療保険がなければ医療機関にかかることは難しい。
アメリカには、企業提供の医療保険の資格を一時的にみたさなくなった労働者に暫定的に医療保険を提供するCOBRAという法律がある(1986年成立)。
しかし、COBRAの提供を受けるにはふつう医療保険料の支払いが必要となる。
私がしるかぎり、ビッグ3でおこなわれたストライキ期間中、医療保険の適用が中止されたのはこれがはじめて。GM側の強硬姿勢がみてとれる。
このブログでさきに書いたように、UAW首脳への汚職捜査を遅らせるというのがストライキの背景にあるなら、GMの強硬姿勢もあってストライキはおもいのほか長期化する可能性がでてきたようにも思われる。
推移を引き続き注視していきたい。
PS:ストライキの前、GMはUAWに対し、労働者が支払う医療保険料(日本とことなり企業ごとに負担割合は異なる)を現在の総コストの4%から15%に引き上げることを提案。UAWから拒絶されている。
2019/9/23追記
2019/9/22(日)、民主党の大統領候補バイデン氏、ウォーレン氏、サンダース氏がストライキ中のGM工場前でおこなわれているUAWのピケットに参加した。
2019/9/28追記
ストライキがはじまってから11日目の2019/9/26(木)、GMは各方面からの批判をうけスト中も医療保険を提供すると発表した。
(関係論文)
2013年,「高度経済成長末期におけるアメリカ3大自動車メーカーの経営状況と労使関係」,『立命館産業社会論集』第49巻第3号, pp.1-12
2009年,「フォード自動車における労働条件引き下げの実態とその影響:2009年におこなわれた労働協約の改訂を中心にして」,『立命館大学産業社会論集』,第45巻第2号, pp. 1-14