The Wall Street Journal、【肥田美佐子のNYリポート】の記事よりです。
タイトルは、“バーナンキ議長も酔うしかない?米経済二番底の兆し”。
http://jp.wsj.com/US/Economy/node_285252
あまりに良く出来ていて本物かと思った米連邦準備理事会(FRB)バーナンキ議長の写真。
実は、“地元のバーで酩酊し、飲み客を相手に、債務上限をめぐる政治家の身勝手な議論や景気浮揚策の行き詰まりを声高に嘆いたというジョークの“スクープ”記事”でした(笑)。
しかし、本物と思えるこの臨場感、やはり米国の厳しい現状を反映しているのでしょうか。
なんとか債務上限引き上げが可決されましたが、いざ通ってみると、米国が抱える問題点が浮き彫りになりました。
成長率の鈍化。
第1四半期の実質GDP成長率は、1.9%増→0.4%に下方修正。
第2四半期の速報値も1.3%どまり。
“今年の年率GDP予測2.4%を下方修正せざるをえないとしており、「二番底の兆しが深まった」”(by S&P)
個人消費が伸び悩み、更にインフレがその成長を圧迫します。
失業率、雇用の問題。
“9.2%という6月の失業率は、実際には16%前後とみるのが妥当”。
その対策として始めるかも知れない量的緩和策(QE)第三弾。しかし、“2度にわたる大規模な量的緩和策(QE)でインフレ効果は起こせたものの、雇用改善にはほとんど効果が上がっていない” ことが分かりました。今回また実行しても効果は見込めないでしょう。
“米メディアによる最新の世論調査では、財政赤字削減よりも雇用創出を優先させるべきだと答えた人が大半を占め”ました。
私も、その世論調査の結果に賛成です。
しかし、雇用創出をするためにはお金を使わなくてはなりません。
でも、どんどん財政赤字を増やしてお金を使う政策は、もう出来なくなってしまいました。
財政赤字の問題。
今回の債務上限を引き上げた金額は、議会で合意した2回に分けた財政削減金額の1回目の金額と変わりません。
今のペースでは、今回の引き上げ金額では、1、2年しかもたないと言われています。
1回目の財政削減額は10年で実行していく前提となっています。
ということは、これから1、2年で生じる新たな財政赤字を、10年で返していくという意味になり、既存の財政削減効果はない、ということになってしまいます。
なので話し合いによって決める2回目の削減金額がいくらになるかということになりますが、その金額が大きければ、経済は失速していくでしょうし、金額が小さければ財政削減は実現しないということになります。
そう考えると、バーナンキさんの写真が、益々本物に見えて来ます。(笑)