ギリシャが、今デフォルト(債務不履行)の危機に瀕しています。
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110616/erp11061621360002-n1.htm
15日には24時間のゼネストが行われました。
国会前広場に2万5千人が集まり、警官隊と衝突する様子がこちらのニュースで流れました。
公務員給与削減や国有資産売却を進めようとする政府の緊縮策に対して、国民の不満は高まっています。
16%を超える失業率の中、国民はNOと言っています。
パパンドレウ首相は挙国一致態勢を築こうとしました。
自らの辞任を条件に、最大野党・新民主主義党に大連立を持ちかけましたが、それも失敗に終わりました。
首相は打開策として16日に内閣改造に踏み切り、議会に信任投票を求める考えです。
しかし、その計画にも暗雲がたちこめています。
嫌気がさした閣僚が今日、2人辞任すると言ったからです。
こんな時期に、新しく閣僚になりたいという人もなかなかいないでしょうし。
一方の救済策を考えている人々の足並みもなかなか合いません。
非公式のユーロ圏財務相会合を開いて対応を協議しましたが、ギリシャ国債を多量に保有するフランスやドイツの金融機関などに対して買い替えを求める債務再編策では合意できませんでした。
ドイツのショイブレ財務相は、ギリシャ債を保有する民間の投資家が、償還期限を「自発的」に延長することを求めた場合は、デフォルトに当たらない、と主張しています。
しかし、この償還期限を延長する案には、ECB(欧州中央銀行)自体が反対しています。
ECBのトリシェ総裁が、ギリシャ救済に関して、民間投資家に負担(償還期限延長)を求める案には拒否するようEU指導者に求めているのです。
ECBは、すでにギリシャの国債を400億ユーロ(約5兆円)保有していて、これ以上のリスクを負担することを避けたいのです。
米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は13日、ギリシャ国債の長期信用格付けを「シングルB」から「トリプルC」に3段階引き下げました。
市場は、5年以内にギリシャがデフォルトに陥る確率を80%とみています。
ギリシャの2年物国債の金利は、なんと30%になってしまいました。
EUは23、24両日の首脳会議でギリシャ問題を協議し、デフォルト回避策を話し合う見通しです。
仮にこのEU首相会議で、なんとか合意が出来ても、私は一時しのぎに過ぎないのではないかと思います。
ギリシャは、もうデフォルトするかどうかではなく、いつデフォルトするのか、というように感じています。
日記で何度か触れさせて頂いていますが、ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、そしてアメリカ、イギリスも含めて、今、多くの国々で同じ現象が起きています。
即ち、政府が、その国債を買ってくれる投資家(EU、ECB、IMF含む)と自国民の板ばさみになっているということです。
国民の生活を良くしようとして、政府支出を増やそうと考えると、投資家がそれを許しません。
ですので、それをやり通そうとすると資金が調達できないことになります。
一方で、投資家の意向に従って緊縮財政策を通そうとすると、自国民が反対します。
その意向をくんだ議会でも反対を受け、あげく、選挙で負けてしまいます。
お金に余裕のあるドイツやフランスでも同じことが起きています。
そして、アメリカも、政府財政赤字枠の上限をあげなくては、デフォルトになってしまうのに、なかなか決まらない。
日本も含めて、今は、政治が本当に難しいときだと思います。
あっちを立てればこちらは立たずで、結局、根本的な解決はないように思います。
マーケットも、ある程度は、ギリシャのデフォルトを織り込み始めたとも言えます。
しかし、実際にデフォルトを起こせば、同じ問題を抱えるポルトガルやアイルランドの話にもなり、
次はスペインかという話にもなるでしょう。
ユーロの存在意義も含めて、金融経済に多大な影響が出てくるでしょう。
そして、それが導火線となって世界に広がっていく可能性は高いと、私は思っています。