『猫丸先輩の空論』倉知 淳
アパートのベランダに毎朝置かれる、水の入ったペットボトル。
交通事故現場に集結する無線タクシー。
密室状態のテント内で割れた七つのスイカ―誰が、なぜそんなことを?
不可解な「本格」的状況を神出鬼没の童顔探偵・猫丸先輩がすらりと解決。
その推理はますます冴えわたる!?人気シリーズ第2弾。
収録されているのは、
・水のそとのなにか
・とむらい自動車
・子ねこを救え
・な、なつのこ
・魚か肉か食い物
・夜の猫丸
の6編。
猫丸先輩の講談社の短編集は、題名が過去の作品のパロディになっています。
で、今回の題名の本ネタは
水のそとの何か ← 水のなかの何か(シャーロット・マクラウド)
とむらい自動車 ← とむらい機関車(大阪圭吉)
子ねこを救え ← 子どもを救え!(島田雅彦)
な、なつのこ ← ななつのこ(加納朋子)
魚か肉か食い物 ← 煙か土か食い物(舞城王太郎)
夜の猫丸 ← 夜のフロスト(R・D・ウィングフィールド)
ということで、こういうお遊びがされていると元ネタになった作品も読みたい。
又々本屋に走るわけですよ。
猫丸先輩が《こうなのかもしれないよ》という論理で日常に起こった様々なナゾをばっさばっさと(?)斬っていく。
講談社文庫の猫丸先輩シリーズの第2弾。
猫丸先輩シリーズとしては、第5弾になります。
(ややこしいな)
なので、殺人事件は一個も起きません。
猫丸先輩の推理も、なんじゃそりゃ。
と突っ込みたいものもあるのです。
さてさて、私がこの作品で一番笑ったのが、
夜の猫丸。
ホラーテイストの1篇です。
S様のサイトで紹介されていた時も、他の方のレビューを読んだ時も怖い!と書かれていました。
一人で残業が出来なくなった。
という感想が多いようです。
…なんで?
(以下ネタばれ)
確かに読み終わった直後は、
背中がぞわっと鳥肌が立つような感覚が味わえます。が。
よく考えたらおかしくね?
だって、八木沢ですよ?
猫丸先輩被害者の会NO.1の八木沢が語り手ですよ?
偶々飲み会中の猫丸先輩から(かけてきたのは貴子ちゃんですが)電話がかかってきて、
直前にあった妖しい電話の推理をする。
のですよ。
怪しさ満点じゃないですか。笑。
大体何度も電話をかけて無人を確かめる○○○ってなんなんだ。
怪我人を出したくないなら、明かりがついていたら、他のビルにするでしょうが。
怖くなった八木沢が飲み会に駆けつける
↓
一同大笑い。
↓
請求書を渡される八木沢。
↓
「鈍い男だね、お前さんは」
「僕が掛けたに決まってるだろうに。週末に寂しく残業しているお前さんに一寸したジョークだよ」
八木沢唖然。
という流れぢゃないの?
1編目で八木沢がたかられて、
6編目で八木沢がたかられる。
ちょん。
おおっ纏まっているぢゃないか!
という話だと思っていました(変?私変ですか?)