岩切天平の甍

親愛なる友へ

ブ・ラ・ジ・ル・が

2008年07月17日 | Weblog

おはよう日本の中継、今日はブロードウェイ・ミュージカル!
の、舞台セットの工場、から。
けんけんがくがく、わいわいと無事終了。

支局に帰ると、「ハイ、ブラジルのビザが出来ましたよ。」と、パスポートを渡してくれた。来週からブラジルに行く事になっているのだ。うしし。

今日の中継もうまくいって、ちょっとホメて貰ったので上機嫌。
「ジンさん、ちょいと一杯だけ、どう?」と、誘って出かける。
近所のアイリッシュ・パブでビールをひっかけて、
「じゃあ、オレの知ってる店に行こう。」とジンさん。
タクシーに乗ってアップタウンに向かう。
こじんまりしたカウンターだけのバーにはアメリカ人の客が一人。
おっさんべろべろに酔っている。らりるれろーって感じでテキトーに相づち打っていたら「おり、もうかへる。」と出て行った。

「さて、我々もそろそろ引き上げようか。」
「・・・・・・・・・」
「ん?どした?」
「あれ?か、カバンがないですぞ!」
「タクシーん中に忘れたか?」
「そんなー、確かこの足下に置いたと思ったけど・・・。」
パスポートが入っている。グリーン・カードも!
月曜日からブラジル、すーっと血の気が引く音がする。
タクシーのレシートを見て電話する。
「ドライバーが帰って来たら聞いてみます。」と心細い返事。
「もしかして、アイリッシュ・パブか?」
戻ってみるも、バーテンは首を横に振るばかり。

酒飲んでてカバンなくしたなんて、とても言えない・・・けど。
仕方なく、ブラジルに同行する記者に電話して、状況を説明する。

ほろ酔いなんぞとっくに醒めて、トボトボと家に帰ればカミサンに「あーあー。」とあきれられる・・・。

トホホのホ。



波乃久里子

2008年07月16日 | Weblog

吾輩は猫である。名前はまだ無い。どこで生れたかとんと見当がつかぬ。

フィルム・フォーラムで仲代達矢特集をやっている。
オープニングには本人も来たらしい。

今日は市川崑の“吾輩は猫である”
何だかのんびりした映画だ。
そうそうたる俳優陣の演技がえらいぎくしゃくしている。
なんだ、えらい下手だなー??と思って見ていると、
おかみさん役の波乃久里子が飛び抜けてめちゃめちゃ上手い。
昔、テレビドラマでよく見かけた顔。
当代中村勘三郎氏の実姉だそうだ。

う~ん、このひとは、名優だ。
感動してしまった。



農夫

2008年07月09日 | Weblog

イリノイ州へ。バイオ・エタノールの旅は続く。

どこへ行っても農家の人達は温かく迎えてくれる。
たとえ自分達を良く言わないであろう番組に対しても、
口数少なく、はにかんだ様に話してくれる。
もちろん、アフリカの食料危機は彼らのせいなどではない。

農業は第一次産業と分類される。
大地に働き、自然と共に生きる。
だから農夫は、もし、そんなものがあるとすれば、
神に一番近い人間だと思う。
世の中で第一に大切な職業だ。

人は自分が見た事も無い場所で起こる事に関心を持てない。
誰もが目の前の毎日の暮らしで精一杯だ。
戦争もグローバリゼーションも人民の手には負えない。
正しく生きようとする、本当に尊敬できる立派な人が、知らない土地で間違った事が起こるのを支持してしまうのは、矛盾してはいないだろう。

自分の能力の限界を超えた権限を、人は持ってはいけないのだと思う。
その一票に、巧妙につけ入るやつらがいる。




タバキン

2008年07月05日 | Weblog

バードランドで“ルー・タバキン/穐吉敏子カルテット”

「ジャズは知性と情熱だ。」と、タバキンさんは言ったそうだ。
その言葉のままにぐいぐいと巧みなアレンジを絡めながら夫婦はスウィングしまくる。
フルートを日本の笛ばりにシャウトさせ、歌舞伎役者がするように床をドンと踏みつけては太馬琴は吠える。女房はクールな顔で、熱く立ち上がったピアノの合いの手を入れては、勢いあまってペダルからヒールを蹴り上げる。
僕はバブルヘッドのように頭を左右に振りながら、サックスが吹き上がるたびに身をよじる。
もしもし、どこかお悪いんですか?
んーっ、ホットでクール!
もう日本もアメリカもありゃしない。