取材先の建物がなかなか見つからない。車の窓からドライビング・ショットで建物の外観を撮ってみようと、助手席でカメラを構えたままウロウロと走り回っていたら、おばさんがおっかない顔でつかつかと近寄って来た。
「あんた、何撮ってんの!」ときめつける。
「あー、××っていう会社を探しているんですけど、知ってます?」
「なんですって!」
「ですから、××っていう会社の建物を撮ろうとしていたんですけど、間違っちゃったみたいで・・・。」
「勝手に人の車を撮るのは間違ってるわ!」
と怒鳴って行ってしまった・・・。
そう、彼女は正しい。
勝手に他人を撮影するのは間違っている。
でも、僕らが白人だったらあんな言い方はしなかっただろうな。
最近こういう手合いが増えた。
お金持ちの住宅地を散歩なんかしていると「ここで何をしているんだ!」と怒鳴られたりする。
「散歩ですけど。」と言うと「さんぽだぁ?」とますます目が吊り上がる。
「オマエは誰だ?」
誰だ?って、名前言っても知らないだろうなぁと思いながら。おもしろそうだから、「アイアムテンペイ。」と言うと。「ひーっ!」と息を吸った。
空港のセキュリティ・チェックで上着を脱いで、靴を脱いで、カバンを引っ掻き回され、手足を広げさせられておっかない顔をしたおっさんになで回される。こんな事、昔は無かったよなぁ。もう疑いだらけでどんどん嫌な国になって行く。
馴れるとこれが当たり前だと思うから、人間恐いもんだ。
若い頃は
「あんな風になるものか!」
と思っていたのがうそのようだ。
そして、この国では
勝手に
前科1犯だ。
友達と行ったハワイの入国審査で
半日軟禁され、やっと開放された。
熱があって、とてもしんどくて
何度も涙を流したのを覚えてる。
そしたら、向こうは軟禁されているのがつらいと
勘違いするのか
「泣かないで…」と慰めるが
だったら、早く開放してほしい…と何度も思った。
「ハズバンドと話したい!」という私に
「電話に出ないんだ!」といい、
最初、戻ってこれるから…と出て行っただんなは
再びたずねたとき
「尋問がおわるまでは会えない」と
中にいる私と外にいるだんなを完全に
分離して、接点を持たせなかった。
この国のミスなのに、
私はこの先も
不法滞在…という罪を
一生背負って生きていくのだ!
「びんてくぅ!」