岩切天平の甍

親愛なる友へ

ゴミ捨て場

2008年08月13日 | Weblog

車で一時間程南下、地元の人に訊きながらゴミ捨て場を探す。

コーヒー園の続く一本道の脇に広大なゴミの山が煙っていた。
遠目に子供達がブルトーザーの後ろをついて回っているのが見える。

今度は失敗しないようにと、スタッフがゆっくり話しているのを尻目に遠くからのんびりと撮影を始める。望遠レンズで覗くと、子供の半分程もあろうかと思われるハゲタカの群れに囲まれて、小さな男の子がうつむいてゴミを漁っている。

ゴミが重なってフワフワの山をカメラを担いで登って行くと、得体のしれない煙と悪臭の中、その真ん中に小屋とも呼べないような小屋が点在していて、どうやら人が住んでいるらしい。半身裸の男が近づいて来る。撮るなと言いにきたのかと思ったら、釘やガラスが危ないから気をつけて歩けと言ってくれた。

よく見ると女の子もいる。
手や足に真っ黒になった包帯を巻いている。
ゴミによる怪我が絶えなくて、そこから容赦なくばい菌が入る。
足下を見ると、割れた注射器が落ちていた。

ゴミの中から見つけたのか、女物の服を着た少年が股間に手をあてて、カメラにポーズをとってくれた。
仲間がはやしたてる。ここにもそれなりに笑顔があった。

七歳くらいの男の子と母親がいいよと言ってくれて、一緒に家に帰る。
父親はコーヒー園の季節労働者、仕事が無いと一緒にゴミ捨て場に行く。
コーヒー園では子供がムチで働かされていて、カメラを持ち込むことさえも拒否されるのだそうだ。

お金を貯めて買った土地を見せてくれた。畑にするんだと指差した空き地の隣に立つ家の床下には、水たまりから何やら絶えずあぶくが湧き出ていた。

ホテルに戻り、バスルームで三脚を洗い、アルコールでカメラを拭く。
洗っても洗っても強烈な匂いを放ち続ける靴底に、折れ釘が斜めに足をかすめて刺さっていた。
あまりの匂いに、新しい靴を買おうと濡れたままの靴を履いてでかけたけど、その匂いと汚さで、ぴかぴかのデパートを歩くのもなかなか肩身が狭い。



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