国連の安保理会議室を出たゲルニカのタペストリーが飾られた廊下にステーク・アウトと呼ばれる記者会見場所が設けられている。
そこにテレビカメラが並び、記者達が並んで、会議を終えて出て来る大使を待つのだが、隣接して飲み物の自動販売機とテーブルを置いた休憩所があり、禁煙のマークがでかでかと張ってあるにもかかわらず、なぜか皆そこでタバコを吸っている。窓も無く、カメラを立てて大使達を待ち受けている非喫煙者は逃げることもできず、具合が悪くなる。
ある時、その休憩所で昼食を取っていると(そこ以外で飲食してはいけない)どこぞの大使らしき男がやって来て吸い始めた。我慢できなくなった僕が「ここは禁煙だから、タバコを吸ってはいけない。」と言うと驚愕の表情で数秒凍り付いた大使先生はその顔をみるみる怒りで震わせて「オマエ、誰に向かって物言ってんだ?オレは安保理のメンバーだぞ!」と怒鳴る。頭にきた僕が「So what? あんぽりだろうが大統領だろうが禁煙は禁煙だ!」と叫ぶと横のテーブルでラップトップを叩いていた新聞記者らしき紳士が「だんな、あっしらクラシズム(階級主義)は取り入れておりませんでねぇ、ただ、ここでタバコ吸っていただきたくないって言ってるんでさー。」と穏やかな憂い顔で言う。
さすが知識人、こういう風にいかなきゃ物事進まない。カッとなった自分を恥じる。大使先生は大声で警備員を呼びつける。こっちは何の悪い事もないと思っているから恐いことは無いが、話を聞いた警備員のおっちゃんは僕に向かって「ここはアメリカじゃないから・・・」と言い出す。おいおい、国連内は治外法権だって言うんだろうが、世界中禁煙は禁煙だろうが。
先生の怒り収まらず人差し指を立ててまくしたてるので僕らはそれぞれ二人の警備員に分けられて事情聴取を受ける。僕の話を聞いた若い警備員はノートを取りながら「まあ、こういう事がなけりゃあ良くならないからねぇ。ちゃんと上に報告しておくからさ。」と言った。
国連だぜ、ここは。世界の良識が集まる所じゃないのかい?
こんなことやってるとまた「問題起こすカメラマン」って事になるのかねぇ・・・。
その後、大使先生から仕事先に苦情とかこなかったでしょうか?
>「ここはアメリカじゃないから・・・」
世界には階級制度が厳然として残っていますね。
ブラジルに住んでいると、社会生活のはしばしに奴隷制度の残滓が残っているのを実感します。雇用関係とか。
影ながら岩切さんのブログを応援している一人です。
次のアップを楽しみに待っていますね。
はじめまして、こんにちは。
Pombo_Brasilさんのご紹介により拝読させていただきました。
私が国連などにお邪魔する機会はございませんが私も岩切さまと同じ行動をとったであろうと確信し(笑)共感させていただきました。
これからも拝見させていただきたく存じますので宜しくお願いいたします。