カメラ肘が直らないので針治療に再びチャイナタウンへ。
ウー先生だとばっかり思っていたらイー先生だった。
イーの息子先生に案内されて診療台に横になったとたんにテネシー・ワルツが聞こえてきた。おいおい、どうなってんだ? 枕元で親父イーが中国語の新聞を読んでいる。「これ、テープなの?音楽さぁ。」とおそるおそる声をかける。「ん?、ああ、そう。コピーだよ。いいかい?」「いいねぇ。昔の曲だね。」まったく英語が解らないわけではなさそうだ。そりゃそうだ、ドクターだもんな。エルビス、ロイ・オービソン、ベタベタの懐メロが続く。コレ、毎日聴いてんのかなー。
電気針を打たれた腕をびくんびくんさせながら天井の染みと壁に貼られた針ツボ人体図を眺めてぼんやり考えごとをする。こんな風に終わっちゃいそうだな。
利口福でワンタン麺を食べて八百屋を覗く。腕が痛くて治療に行くって言う夫に妻は「あー、スイカ買って来て。」と容赦が無い。にいちゃんに「どれが甘い?」「コレ。」「じゃあ、それちょうだい。」四ドル也。二個一ドルのマンゴーと桃の前も素通り出来ず、ついでにトーフも買ってヨタヨタと帰る。スイカは甘かった。「昔の味がするね。」