空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

フェイクニュースの出てくるモトとしては

2019-05-04 12:59:05 | ノート
 割と以前の記事だが、まあ有名人さんの書いたものではあるし、メモを掘り出してみた:

Webronza 右派発が多い日本型偽ニュース 手工業的な言論空間がその温床に 2017年11月22日 古谷経衡

 興味ある点は幾つか。

日本における政治的左派は伝統的に日本共産党や社民党などの国政政党を有し、また全国各地に葉脈状に広がった傘下・関連団体という地域的基盤を持ち、機関誌の発行等を通じて上部機構の編集や校正、悪く言えば検閲を受けてきた歴史を有する

 即ち、上部組織に統制された報道であったわけだ。これは上意下達の文化であった、個々の地方・更にその先の(一般)大衆はニュースを受け取る客体としての属性を強く持つ・持っていた・そのように上位から観念されていた、という恐れにまでつらなる。

日本における政治的右派(ここで定義するそれは、自民党よりも右寄りの言論空間や、そこに居住する言論人や文化人を指す)が、長らく確固たる国政政党を有さず、そこで展開される言論が、零細の独立自営の言論人や文化人の個人的経営から成り立っていて、上部機構の編集や校正を経ていない場合が多い

 ということで、ここで言われる”政治的右派”の言説は、品質としては(大変よいように言えば)玉石混交状態であるというわけだ。なので、この点で言えば、低質の商品は出来るだけ淘汰してしまうべきだとか、淘汰される方向へ動かすのが正しいとかいうのはまあ、そのとおり。

 では、そのような政治的右派のデマ、ないしデマ寸前と評価される記事がなぜウケるのか、と言う方向に考えを及ぼしてみてはどうか。

 或いは、ではなぜそのようなものを書こうとする欲求がでるのか。
 ―理由のひとつに、統制された上意下達の報道の階梯からの離脱、自由を求めて、というのを入れることができそうだ。それは、マスメディアに対する、比較的普遍的な不満を背景とする・それそのものでさえあるのではないか。

 ともあれ、それなりの教育を受けもせず、「僕が思った僕の真実は、僕が一般市民であるからには一般市民共通の真実だし、僕が日本国民であるからには日本国民的な真実なのだ!」なんてはっちゃけてしまう子が右派にはぞろぞろいたよな、ああ馬鹿だな右派の連中は、という雑な感想を導き出しそうな話ではあったかなと思いきや

 そして左派側も同様の状態に陥ってはいないか。一応仮にも高級知識人によって統制されており、地方末端レベルでは、したがって「割と勉強している」と評価されてきたはずの末端左翼が、最近は野放しになって…と。

 そんな飛び火もしちゃうよねーという感じ:

buzzfeed 池袋暴走「息子は安倍首相の秘書」は誤情報 国会議員もブログを拡散、謝罪 2019/05/03 17:06

池袋で親子2人が死亡した暴走事故をめぐり、運転していた男性(87)の息子が「安倍晋三首相の政策秘書だった」という話がネット上で拡散している。
結論から言えば、これは誤情報だ。にもかかわらず、いったいなぜ情報は広がりを見せているのか


この事故をめぐって拡散しているのが、「ほわほわブログ」という匿名ブログの「飯塚幸三の息子は安倍晋三の政策秘書?孫はレイプ犯」という記事だ。
ネット上の情報を継ぎ合せ、安倍首相の政策秘書だった飯塚洋氏が、運転していた飯塚幸三氏の息子であるという「情報を入手」した、としている


その根拠は名前とともに、二人の「年齢差」だった。
Twitterなどで指摘されていた二人の「現在の年齢」(62歳、87歳)を引用しながら、「親子関係に信ぴょう性が持てますね」「安倍政権下で手厚く保護される理由も納得できる」などと記していた


 これは「入手」ではなく「想像」というべきものだな。

ただ、「息子である」という情報は誤りだと言える。
そもそも、この飯塚洋氏について報じた週刊ポスト(2007年4月13日号)の記事では、以下のように記しているのだ。
「父の光氏は千葉県東金市で市議会議長も務めた地方政界の大物だった」


 とまあ、ここまでユルイ「入手」情報に踊らされる国会議員もいるとのことで

衆議院議員の柚木道義氏(無所属)も記事を引用し、「以下の記事事実なら(ママ)平成の安倍政治の負の遺産を令和に持ち越すのは本当に終わりにしたい」などとツイートしていた

 …まあその、季節も季節なので、関連のお話を引用したい:



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