空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

韓国の最大危機:出生率

2019-09-01 16:22:43 | ノート
 2018年分の確定値が出たそうな。速報値と(専門家水準ではともかく、世俗的には)変わらないので、まあ新規性には乏しいが、メモ:

中央日報 韓国、「合計特殊出生率0人台時代」に進入 2019年08月29日09時13分

韓国の「合計特殊出生率0人台時代」入りが確定した。人口67万人である中国の行政自治地域マカオを除くと事実上韓国が世界で唯一の「出生率1人未満」の国になった

統計庁が28日に発表した「2018年出生統計(確定値)」によると、昨年の韓国の合計特殊出生率は0.98人で出生統計作成が始まった1970年以降で最低値を記録した。女性が妊娠可能な15~49歳の間に産むと期待される平均出生数が1人に満たないという話だ。通常人口維持に必要な合計特殊出生率は2.1人とされる

昨年の出生数も前年より3万900人(8.7%)減った32万6800人にすぎなかった。やはり過去最低だ。これに伴い人口100人当たり出生数を示す粗出生率は6.4人で0.6人減少した

具体的に年齢別の出生率は、40代を除くすべての年齢で減少した。20代後半が47.9人から41.0人に最も大きく減った。主出産年齢である30代初めでも97.7人から91.4人に低下した

bloomberg 韓国の出生率、18年は0.98に低下-生まれた子どもの数8.7%減る 2019年8月28日 16:38 JST

韓国統計庁が28日発表した2018年の出生率は0.98。前年の1.05から低下した。出生率は17年時点で既に経済協力開発機構(OECD)加盟国で最も低く、日本の1.43やフランスの1.86、イスラエルの3.11を大きく下回っていた。

  韓国で昨年1年間に生まれた子どもの数(出生数)は前年比8.7%減。それまでの2年は11.9%、7.3%それぞれ減っていた


 このような継続的低下はあまりにも奇怪。この間、韓国の経済は、少なくとも全体的には壊滅的ではなかったはずなのだ。いや低収入層に対してやたら厳しかったのは、この1-2年はほんとうにきっつかったっぽいが。

東京新聞 韓国、来年から人口減に 出生率急激に低下 政府対策 効果なし 2019年6月3日

出生率は〇六年の一・一三から、一八年に初めて一を割って〇・九八まで低下。ソウル大人口学研究室の曹永台(チョヨンテ)教授は「人口がソウルに集中しすぎた地域構造に原因がある。進学や就職など競争が激しく、子どもを持つことを敬遠するようになった」と分析する。

 韓国はソウルを中心として、急速に経済発展を遂げてきた。その結果、多くの若者がソウルにある大学、企業を目指すようになり、現在は人口の約半分がソウルの首都圏に集中。不動産価格や教育費の高騰などを招き、結婚や出産がしにくい社会環境が生まれた。未婚女性の48%が「子どもがいなくてもいい」と感じているとの統計もある


曹教授は「短期間で出生率を回復させる方法はない。福祉ばかりの政策はすでに失敗した。このままでは三〇年ごろには年金制度も崩壊し、危機的状況に陥る。政府は地方を活性化させ、子どもを産み、育てやすい社会づくりに取り組む必要がある」と強調する

朝日新聞 1を下回った韓国の出生率「他国と違う形で進んでいる」 聞き手・神谷毅 2019年5月26日11時00分

曺永台・ソウル大学人口政策研究センター長「「ありえないことが起きている。1を下回る事態は社会の急激な変化、例えば東欧で共産主義政権が崩壊した際に起きた。ただ、1年ほどですぐ回復した」

 とするなら、現在の韓国では、東欧の社会主義政権崩壊に匹敵するような社会的インパクトのある事態が進行中、っということになる。ああいったクロスカウンター一発KOダウンな感じのハードなパンチではなく、『34歳、引退前に初めて世界王者になりました』的なボクサーの狡知きわまるボディブローの365発って感じに。

「他の先進国と全く違う形で進んでいる。人間の基本的な本能に生存と再生産があるが、生存できない状態では再生産も考えられない。韓国では子を産み育てる年齢層の生存が脅かされている」

 具体的には「「結婚できない最大の理由の1つが住宅問題だ。住宅価格を下げるべき」」だと以下のRecord Chinaに引用されている:

Record China 韓国の出生率が過去最低の「0人台」に、日本とも大きな差=韓国ネット「30年内に若者のいない国に」 2019年8月31日(土) 15時20分

「チョ・グク(次期法相候補に指名されたが、娘の名門大学不正入学など数々の疑惑が噴出している)の娘のように生まれてこられないなら、いっそ生まれない方がましだ。貧しい家に生まれてきたら一生、国の奴隷になるだけ」「子どもを産んで苦労して育てても、どうせそこそこの人生だ。誰かさんのように名門大学に入れてやれるなら、子どもを産むことも考えるよ(笑)」

 そしてこんなふうに、権力者階層はお気楽極楽って感じらしーなーオイ、という感覚が、さらに下々の意欲を殺いでいる感じ?

 あれだ、貿易でウハウハしていたころのスペインとか、そんな感じなのかな。本国の産業が微妙にふるわなくとも、国際貿易で食っていける人々はウハウハで、しかしそれを世代を越えて無策に放置してしまったら、本国の産業・経済が壊滅してしまった…というのが私のおぼろげな知識なんだが。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 講義用メモ(歴史ネタ) | トップ | あんまりにも茫洋としたター... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ノート」カテゴリの最新記事