海外慰安旅行 裁決事例 法人税
海外慰安旅行の参加者の一人当たりの費用の額は平成3年5月分341,000円、平成4年5月分454,411円及び平成5年5月分520,000円であり、当該金額は、多額であると認められることから、社会通念上一般に行われている福利厚生行事と同程度のものとは認められないとした事例
1. 使用者が負担するレクリエーション等の福利厚生行事において、経済的利益の供与を受けた場合、従業員は雇用されている関係上、必ずしも希望しないレクリエーション行事に参加せざるをえない面があり、その経済的利益を自由に処分できるわけでもないこと、当該行事に参加することによって従業員等が受ける経済的利益の額は少額であるのが通常である上、その評価も困難な場合が少なくないこと及び従業員等の慰安を図るため使用者が費用を負担してレクリエーション行事を行うことは一般化しており、当該レクリエーション行事が、社会通念上一般に行われていると認められる場合にはあえて課税しないこととするのが相当である。
従業員等の慰安旅行が社会通念上一般に行われていると認められるか否かの判断に当たっては、当該旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員の参加割合、使用者及び従業員の負担額、両者の負担割合等を総合的に考慮すべきであるが、経済的な利益の額が多額であれば、課税しない根拠を失うこととなる。
2. 本件海外慰安旅行において請求人が負担した参加者1人当たりの費用の額は、それぞれ、平成3年5月分341,000円、平成4年5月分454,411円及び平成5年5月分520,000円であるが、当該金額は、上記のあえて課税しない趣旨からすれば、多額であると認められることから、社会通念上一般に行われている福利厚生行事と同程度のものとは認められない。
そうすると、請求人が負担した本件各旅行の費用のうち、従事員(その代理で参加した妹、友人を含む。)に係る金額については、当該従事員に対し臨時的な給与等を支給したことになる。そのうち、請求人の代表取締役に係る部分の金額(平成3年5月分341,000円、平成4年5月分454,411円及び平成5年5月分520,000円)は、同人に対し役員賞与を支給したこととなるから、本件各事業年度の損金の額に算入することはできない。また、取引先の役員及び従業員に係る部分の金額(平成4年5月分454,111円及び平成5年5月分1,040,000円)は、交際費の額と認められる。
平成8年1月26日裁決