有言実行三姉妹シュシュトリアンの24年越しの追っかけ視聴。第5話は「謎の女形・金平糖夫人」です。
揃って帰宅してくる山吹家の三姉妹。前回もそうでしたけど、よく帰るタイミングが合うなあ。
母・恵からお客様が来ていると言われたのですが、誰かと思えばフライドチキン男。居間で花子が借りてきたレンタルビデオを勝手に見るなど、図々しくも、前回に引き続きすっかり山吹家になじんでいますね。
フライドチキン男の用件はもちろん、お酉様からの指令です。
「謎の女形・金平糖夫人を退治せよ」
謎の女形・金平糖夫人は、日本の優秀な偏差値の高い少年少女から、その優秀な偏差値をバキュームしているのです。「気持ち悪い犯罪ね」とは雪子の弁ですが、突っ込みどころはそこじゃないでしょ。
さらにフライドチキン男は、偶然に撮影されたという、金平糖夫人が優秀な偏差値をバキュームするところを映したビデを流します。
公園のベンチで勉強している、偏差値の高そうな少年。背後から近づいてきた金平糖婦人が、その少年に怪しいヘルメットをかぶせます。すると、ヘルメットにつけられたチューブを通して、偏差値がタンクへと吸い込まれていくではありませんか。すごい! 偏差値がなんか物質になってる!
フライドチキン男たちの調査(我々って言ってますけど、我々って誰? お酉様の下働きをする組織みたいなものがあるんでしょうか?)によると、金平糖夫人はバキュームした日本の高い偏差値を、偏差値の低い星に売りつけようとしているらしいのです。この宇宙には、偏差値が高くなりたい星がたくさんあるのです。
雪子は「まさか」と信じられない様子ですが、金平糖夫人はまさかを可能にすることができる、非常に優れた忍術使いなのです。あの偏差値を吸い取るヘルメットが忍術なのかというとよくわかりませんけど、まあ、忍者なら何ができたとしてもおかしくないですかね。高度に発達した忍術は魔法と見分けがつかないものなのです。
指令の話が終わったところで食事タイム。このタイミングで食事ってことは、土曜日で午前上がりだったんですかね。
フライドチキン男の分まで食事が用意されていたのですが、本日のメニューはチキンライス。フライドチキン男は顔色を変えて飛び出してしまいました。
フライドチキン男が鳥に感情移入したりするエピソードは幾つかあるのですが、そもそもどういう人なんでしょうかね。元々鳥として生まれ、何かしらの理由があって、今のようになっちゃったんでしょうか。そもそも「フライドチキン男」とう名前からして、既に調理済みのような気もするのですが……。
改めて、謎の女形・金平糖夫人(本編中でも、この“謎の女形”まで含めた名称で呼ばれることが多いです)についてどうするかを話し合う三姉妹。結論としては、気持ち悪い犯罪者にはあまり関わりたくないから、全会一致で無視をするということに決定しました。それでいいのか、シュシュトリアン! そんな理由でサボってたら、登場するほとんど全ての事件をスルーしなくちゃいけなくなっちゃうんだけど……。「気持ち悪いから嫌」と言い出したのは月子なんですけど、3話の不幸おじさんは気持ち悪くなかったんだろうか。
そんなわけで、金平糖婦人のことなんて一切気にせず、レンタルビデオを返しきた花子。しかし店の入り口で、ちょっと悪そうな少年とぶつかってしまいます。
「危ねーじゃねーか!」とすごむ少年ですが、すぐに「大丈夫?」と花子を起こし、砂を払ったり、ごめんと素直に謝るなど、やさしい一面も見せたりします。
まんざらでもない表情の花子ですが、この少年の顔、どこかで見覚えが。そう、フライドチキン男のビデオに映っていた、金平糖夫人に偏差値をバキュームされた少年だったのです。
あまり関係ありませんが、このとき、東映のオリジナル特撮ビデオ「大予言 復活の巨神」のポスターが、妙に目立つ位置に貼ってあります。
少年の後をつける花子。少年はゲームセンターへと入ってきます。
なにやらシューティングゲームに興じていますが、やられたことで「クソッ」と悪態をついたりもしています。そんな少年の目つきを見て、花子はその鋭い眼差しが、金平糖夫人に偏差値をバキュームされたためだと見抜きます。いやいや、偏差値が物質化されているところまでは百歩譲って認めるにしても、偏差値と性格はまったく別物でしょう。バカになるならわかるけど、性格が荒れちゃうっていうのはどうなのよ。
しかし花子は、もし偏差値を取り戻したら、少年は優しい目つきになって「ありがとう」と礼を言うと、花子の肩を抱き、そっと唇を……、というところまで妄想したところで、チキンライスを食べた後に歯を磨いていなかったことを思い出します。花子は急いで帰宅すると、歯を磨きながら、金平糖夫人から偏差値を取り戻す決意を固めるのでありました。
情報収集のため、父・英三郎の勤める飛鳥警察署を訪れる花子。謎の女形・金平糖夫人については知らない英三郎でしたが、日本の優秀な偏差値の高い少年少女から偏差値が奪われている事件については知っている模様。花子はその事件のファイルを見せないとグレると言って、英三郎を脅します。花子が周囲にいる警察官たちに対し、父・英三郎のせいで今日からグレますと宣言すると、英三郎もたまらず、ファイルを花子に見せてしまいます。
これ、英三郎も大概だけど、周りにいる同僚たちもほとんど反応せず。もう少し何かしらのリアクションはないんですかね。機密事項がダダ漏れになっているのに、無関心にもほどがあるでしょ。
事件のファイルを読み、被害は国立中央図書館の周辺で集中的に起きていることが判明します。ちなみに、国立中央図書館は実在しません。くにたち中央図書館ならあるんですけどね。
花子は金平糖夫人をおびき寄せるべく、学ランに学帽、メガネをかけ、優秀な少年に変装します。国立中央図書館の前で分厚い本を読んでいるうちに、ついつい舟をこいでしまう花子ですが、そこに謎の女形・金平糖夫人が登場。一見賢そうに見える花子に気が付き、その頭にヘルメットをかぶせます。
しかし。
花子からは偏差値がバキュームされません。金平糖夫人が謎の検出装置を花子の頭にあてると、そのメーターは「低」を指示します。そう、花子は優秀な偏差値ではなかったのです!
って、あれ? 花子って結構、成績は良いっていう設定じゃなかったけ? 売り物にするくらいだから、たとえば偏差値70くらいが高で、65が中、60くらいは低に分類されちゃうとかなんですかね。それとも、やっぱりこの世界の偏差値は性格にも影響を受けるから、花子の性格面が足を引っ張っちゃってるんでしょうか。
騙そうとしたことの報復として、花子に色とりどりのでかい金平糖を投げつける金平糖夫人。地面にぶつかると、それは派手に爆炎を上げます。おいおい、ずいぶん危ないな。流石に変身前なので、花子は一旦退却します。
金平糖夫人も、あんな悪質な偏差値をバキュームしようとするなんて、そろそろ潮時かもしれないと考えます。そこで偏差値の低い星々に連絡を取るため、ヘルメットを手に、いそいそとその場を後にします。
しかし、逃げたと見せかけて、階段の陰に隠れていた花子。こっそりと、金平糖夫人の後を追跡します。やるなぁ。やっぱり偏差値、そんなに低くないんじゃない?
ところで、金平糖夫人は、「偏差値集めもこの辺が、あ、潮時かねぇ~」と、妙に芝居がかった台詞を言っています。おばさんみたいな格好をしていますけど、女形なんで、いわゆるおカマではなくて、あくまでも女性を演じているということなんでしょうね。何の為に? なんて野暮な話は聞きっこなし、なんでしょうけど。
っていうか、女形に、忍術に、ちょっと設定盛りすぎじゃないですかね。まあ、偏差値をバキュームして宇宙人に売りつけるなんていう設定の前では、どちらもカツ丼に付くお新香みたいなものですけどね。
人気の無い倉庫のようなところへやってきた金平糖夫人。あたりを確認すると、周囲や自身の体に何か粉みたいなものを振りかけます。
「この神秘なる宇宙をさまよい悩む、偏差値の低い星どもよ。今ここに、日本の、優秀な、偏差値の高~い少年少女からバキュームした偏差値が、ここにある」
サッと白布を取ると、その下にあった鳥かごの中に、赤、白、黄色、青と、色とりどりのきらきらした偏差値が囚われているではありませんか。丸いのあり、三角のもあり、四角いのもあり、でこぼこしたのもあり、それぞれ様々な形をしています。しかもそれが、ふわふわ浮いて動いているんですが……。ほんと、偏差値って何なの?
「偏差値の高い星になりましょう」
金平糖夫人からの、偏差値のセールの呼びかけに応えて、宇宙から偏差値を買いに来た星どもが大勢やってきました。もうこのあたり、忍術とかいうレベルじゃないよね。
そろそろ一人でどうにかできる状況じゃなくなったので、花子はバルミラクルで雪子と月子を呼び出します。
倉庫の中で、星どもに偏差値を売り込む金平糖夫人。「あの左端のやつなんか、私立100%だよ」とか言ってるくらいなので、国立と私立のブレンド偏差値とかもあるんですかね。どっちが良いのかは不明ですけど。
そこへようやく、シュシュトリアン登場。今回のことわざは、「古人いわく、『五重の塔も下から組む』」。金平糖夫人よりも、偏差値を買いに来た偏差値の低い星へのお言葉ですね。
「偏差値の低い星の皆さん、地球の子どもたちの偏差値を買って偏差値を上げても、真の偏差値は上がらないでしょう」
「偏差値は、一生懸命勉強して上げるものです」
「努力して高めるものです」
シュシュトリアンの説得に応じて、偏差値の低い星どもはみな、宇宙へと帰っていきました。あれ? 意外と話のわかる連中だなぁ。金平糖夫人はそんな星どもに対して、「ほんとに偏差値が低いんだからっ!」と悪態をつきますが、これって結局、偏差値は低くても、真の偏差値は案外低くなかったということなんでしょうかね。この心意気があれば、偏差値も次第に上がっていくことでしょう。
さて、残るは金平糖夫人とのバトルです。3対1なこともあり、肉弾戦ではシュシュトリアンが優勢に進めます。
劣勢を悟った金平糖夫人は、金平糖爆弾を乱発しますが、そこで雪子が紅のバトンをふるい、倉庫内にあったドラム缶を金平糖夫人が立つ階段の上部に飛ばします。階段から転がり落ちてくるドラム缶に襲われ、金平糖夫人が逃げてきたところをまた肉弾戦に持ち込み、水平チョップの連発で追い込みます。
「有言実行三姉妹シュシュトリアンとか言ったね。今日のところは見逃してやるが、今度私の商売の邪魔をしたら、タダじゃおかないよ。いいね、覚えときな!」
最後に一発金平糖爆弾を投げつけ、金平糖夫人は笑いながら姿を消しました。
「謎の女形金平糖夫人。思ったより手ごわい敵」
雪子は意味ありげにつぶやきます。今回は退治できませんでしたし、まるで後で再登場しそうな退場の仕方なのですが、金平糖夫人の出番は、残念ながらこの回限りで終了です。
金平糖夫人から取り返した偏差値を持って走る花子。ゲームセンターの入り口で、またあの少年とぶつかってしまいます。
花子の手を離れた偏差値は、少年の頭に当たり、そのまま少年に吸収されます。少年はもとの偏差値を取り戻したのです。
再びメガネをかけた少年ですが、やはり偏差値は性格とは関係なかったのでありました。
「君、危ないじゃないか。僕は将来を期待されている、偏差値の高い少年なんだ。気をつけてくれたまえ」
冷たくその場を去る少年。「その偏差値を取り戻したのは……」と、言いかける花子ですが、「五重の塔も下から組む。恋もすべて下から順序を踏んでいって、初めて成功を収めるものなのね」と、妙に納得した表情。
うーん、少年に対しては特に何も無く、花子が一人で反省するというラストというのも、なんだかなぁ……。花子がそれでいいなら別にいいんですけど、ちょこっとビターエンドですね。
[次回予告]
平安時代、バレンタインに大騒ぎする女官たち。光源氏が太るのを止めなくちゃ。タイムトリップ、山吹三姉妹。あたしたちって、何でもできるのね。でも、なんで大昔にバレンタインがあるのかしら。すべてを操るのは謎のお坊さん。
次回、有言実行三姉妹シュシュトリアンは、「光源氏のバレンタイン」。お楽しみに。
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