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 社会思想社・現代教養文庫、イアン・リビングストン著のゲームブック、「死のワナの地下迷宮」をプレイ開始。

 これ以降、かなり「死のワナの地下迷宮」のネタばれを含んでいます。ご注意ください。



 あたしの名は、レイン・デシンセイ。ちょっとお茶目な23歳。まだ小娘だった頃から、剣だけを頼りとして生きてきた。
 ファングの町で開催されている、迷宮探検競技。ファングを治めるサカムビット公が、持てる知恵を全て詰め込んだこの迷宮は、いまだかつて誰の生還も許してはいない。
 生還を果たせば莫大な報酬に多大な名声が得られるだろう。しかし、あたしが欲しいのはそんなものではない。
 あたしはただ、不可能とも思える難題を打ち破りたい、ただそれだけが望みなのだ。
 難攻不落の迷宮に、あたしは今、挑戦する。



<現在の状況>

技術(12):12
体力(23):23
運(10):10

食料:10
金貨:
宝石:
飲み薬:ツキ薬

装備:



 洞窟の奥へ、一歩一歩進んでいく。それに伴い、背中から聞こえてくる喚声も小さくなっていく。
 高い天井には照明塔が一定間隔でぷらさがっているので、充分とはいえないけれど、ある程度の灯りは確保できている。
 辺りには虫だの小動物だのが多数生息しているようだけど、あたしが近づくと、みな散り散りに逃げ去ってしまう。
 5分ほど歩いただろうか。通路の左側に石のテーブルがあり、その上に6つの箱が置いてあった。よく見ると、その中のひとつにあたしの名前が刻まれている。
 あたしは一瞬罠かと警戒したけれど、こんなところでビビッているわけにもいかない。慎重さは大事だけれど、それと同じくらい大胆さも必要だ。
 箱の蓋を開けると、中に入っていたのは2枚の金貨と1枚の羊皮紙。あたしは羊皮紙にざっと目を通した。

「よくやった。少なくとも君は、足をとめて、自分に与えられた援助のしるしを受け入れるだけの分別を示したわけだ。そこで君に忠告するが、もしわたしの死のワナの地下迷宮からの凱旋を望むなら、君は途中でいくつかの品を入手しそれを利用しなくてはならないだろう。サカムビット記す」

 ま、ここはありがたがるところなんだろうけど、情報としては大したものではない。金貨は小遣いとして頂いておくけれどね。
 あたしは羊皮紙をびりびりに破り捨てると、洞窟の奥を目指して進んでいった。



 さらに数分間進んでいくと、通路は東西の二方向に分かれていた。壁には西の方角を向いている白い矢印が描かれている。
 床を見ると、あたしよりも先に洞窟へと入っていった4人の足跡が残っている。3人は矢印どおり、西へ。1人は東へと向かったようだ。
 この矢印、いったいどういう意図で描かれているのだろうか。この迷宮はサカムビット公が知恵を凝らしたものなのだから、この矢印もただ描かれているというわけでもないと思う。しかし、正解ルートをあえて示すのも、偽の方角を示すのも、どちらもありそうな気がする。正直なところ、考えても無駄なんじゃないだろうか。
 あたしは通路を東へと進むことにした。

 少しいくと、薄暗い通路の真中に、なにか障害物があることに気が付いた。目を凝らしてみるけど、それが何なのかまでははっきりとわからない。先行者の足跡はそのまままっすぐ続いているようだ。
 あたしは身長に、その障害物に近づいてみた。それは茶色い大きな岩のように見える。恐る恐る指で触れてみると、それは以外にもやわらかい材質でできているようだった。
 こいつをどうにかしないと先に進むことはできない。よじ登っていくことも考えたけれど、ちょっと気持ち悪いので、あたしは剣で切り払うことにした。

 ブシブシブシ。

 それの外皮はたやすく裂けた。しかしその内側から、茶色い胞子があたしの顔めがけて噴出してきたのだ!
 痒い、痒い!
 あたしは必死にその胞子を振り払ったけれど、それが付着した皮膚は焼け爛れてしまった。
 ……ったく、もう!
 あたしは舌打ちをしながらも、ぺしゃんこになってしまったそいつを踏んづけて、先を急いだ。



 トンネルは急に北へと曲がっていた。覗いてみると、視界の限りまっすぐ続いているようだ。
 先行者の足跡はもう乾いてしまっていて消えている。まあ、大した情報が得られたわけではないのでどちらでもいいけど。
 それほど早足であるいているわけでもないに、あたしは徐々に汗ばんできた。周囲が熱気に包まれているのだ。
 ふと、通路の左側にくぼみがあり、そこに竹筒が立てかけてあることに気が付いた。中には透明な液体がなみなみと入っている。
 ……のどが乾いた。
 それまで意識していなかったけれど、こういう液体を見てしまったら、のどの渇きを強く意識せざるを得ない。
 ま、いいか。
 あたしはその液体を一息に飲み干した。
 ん? なんかいい気分だ。
 どうやらこの水には魔法の効果があったようだ。
 サカムビット公の迷宮とはいえ、意外と優しいところもあるじゃない。
 あたしは竹筒を投げ捨てると、通路を再び北に進んだ。



 暑い。
 通路を進むにしたがって徐々に気温が上がってきて、全身から汗が噴出する。いくらなんでも、この暑さは異常だ。まるで地獄の業火にでも向かっているかのようだ。
 しかし、先ほど飲んだ液体の効果だろうか、何とか意識は保てている。あたしは一歩一歩、無理やりにでも足を前へと運んでいく。

 しばらく行くと、先ほどまでの暑さが嘘のように急速に気温が下がってきた。どうやら山は越えたようだ。
 ふうと、あたしはひとつ深呼吸した。洞窟の奥深く、けして新鮮な空気とはいえないけれど、灼熱地獄から生還した身としては、普通の気温であるだけでありがたい。

 だらだら滴り落ちている汗をぬぐうと、あたしはまた通路を北へと進んでいった。


(つづく)



<現在の状況>

技術(12):12
体力(23):22
運(10):10

食料:10
金貨:2
宝石:
飲み薬:ツキ薬

装備:



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