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2024年02月18日 10時49分37秒
もう半年以上前になってしまいましたが、昨年の夏休みに函館へ旅行に行ってきました。8月なんて暑いし、混むしで、旅行なんて考えてもいなかったのですが、やっぱり長期休みがとりやすいのも確か。北海道なら暑さもそんなにきつくないだろうという目論見もありました。
五稜郭は元々は函館奉行所として建てられたものです。前の函館奉行所は函館山のふもとに築かれていましたが、港や市街地に近く、外国に対する防衛上の観点から内陸部に移動することになりました。
そんな理由による移転なので、その防御力もそれなりに強化されます。五稜郭を設計したのは、武田斐三郎。函館に入港していたフランスの軍人の支援を受けて、大砲や銃による戦闘を意識してヨーロッパ風の城塞都市をモデルとした要塞が築かれました。
その最大の特徴はやはり星型の形状。中央にある函館奉行所を取り囲むように土塁、石垣、そして水堀がめぐらされています。
1857年に着工し、ほぼ完成したのが1864年。その後、1868年に函館奉行所から函館府知事に引き渡されます。
そんな函館にも戦火が忍び寄ります。1868年に、戊辰戦争に敗れて徐々に北へと移動してきた旧幕府軍が、北海道に上陸してきます。函館府知事は抗戦しますが、戦闘経験豊富な旧幕府軍に対し、寡兵だった函館府側はこらえきれず、青森に逃走。五稜郭は旧幕府軍が抑えて本拠地として使用され、榎本武明を総裁とする函館政権が樹立されます。
しかしそんな旧幕府軍の動きに対し、新政府軍は函館に兵力を集結させます。そうなると旧幕府軍も苦しく、宮古湾海戦をはじめ、松前、木古内、矢不来、二俣口と敗戦を重ね、五稜郭はほぼ丸裸に。旧幕府軍は降伏せざるを得なくなりました。
函館戦争を通して結局五稜郭では大規模な戦闘は行われませんでした。そのため、現在は五稜郭公園として整備され、往時の様子が良好に残されています。
はーーーるばる、来たぜ、はこだてーーー。
あーーーなたと、食べたい、鮭茶漬けーーー。というネタをやるために鮭茶漬けを買おうと旅行の1週間前くらいに思ったのですが、忘れていました。忘れていて良かった。
駅前からは、次の日に登る予定の函館山が見えます。
函館駅前から五稜郭までは路面電車の函館市電が出ているのですが、函館駅から3.5㎞くらいなので歩いていくことにしました。
函館の信号機は雪国仕様の縦型でした。
そして北海道名物、セイコーマート。
途中にある、千代台公園。
千代台公園には、球聖久慈次郎像があります。久慈次郎はプロ野球草創前に、函館太平洋俱楽部というチームでキャチャーとして活躍していました。そしてアメリカ選抜チームと全日本チームが試合をする際に招聘された久慈は、沢村栄治とバッテリーを組み、アメリカ選抜チームを苦しませる好投を引き出しています。
その後、プロ入りの話もありましたが、それを断り函館でプレーを続けます。そして選手兼任監督となっていた40歳の時、相手の送球を頭部に受けてしまい、帰らぬ人となってしまいました。
公園内にある野球場には、子供の声が響いていました。
こちらも函館名物・ラッキーピエロ。
列に並ぶのは嫌いなので、旅行中は寄りませんでしたが。
時間の都合で行きませんでしたが、五稜郭の手前には五稜郭タワーがそびえています。当然、その断面は星型&五角形になっています。
ただ、五稜郭から写真を撮っていると、結構「じゃやまだなぁ」と思うことも多かったんですけどね。
函館戦争供養塔。
と、いうわけで、いよいよ五稜郭へ。
こちらが五稜郭の地図。五稜郭の南側にある二の橋と、北側にある裏門橋の2ヶ所に入口があります。今回は普通に二の橋から五稜郭へと入ります。
五稜郭と言えば星型ですが、本来なら星型のへこんでいる部分にも半月堡と呼ばれる突起が造られる予定でした。結局半月堡は一つだけしか作られませんでしたが、その一つが二の橋に隣接しています。
五稜郭を取り囲む水堀。
半月堡の上に登ってみました。あまり広くはありませんね。
半月堡から二の橋を眺めて。
二の橋を渡って、函館奉行所内へ入っていきます。
五稜郭内部にも、入口付近には水堀や空堀が設えられています。
さらに中にも石垣が。
中央部にある奉行所へ行く前に、周囲を取り囲む土塀の上を歩いてみます。
土塀の上は門のある2ヶ所以外、ぐるりと歩くことができます。
土塀の上から、函館奉行所を眺めて。
土塀からは下へ下りる道もいくつかあります。
裏門橋までやって来ました。
裏門橋周辺にも、土塀の外側に空堀があります。
北側の土塀。この日は最高気温が32℃くらいでかなり暑くなったので、日影が本当に助かります。北海道だからもっと涼しいと思っていたんだけどなぁ。
それから、歩いているとそうでもないんですけど、写真を見るとどこも同じような風景であまり変わり映えがしないので、写真は少なめでお送りしています。
北から東にかけては、土塀と水堀の間の道を歩いていきます。
内側から見た水堀。
ぐるっと1周して、二の橋まで戻ってきました。
いよいよ、五稜郭の中央部へ。
五稜郭を設計した、武田斐三郎の顕彰碑。
そして中央に鎮座する、函館奉行所。
入館料は大人500円、学生・生徒・児童は250円です。
中はこんな感じ。城ではなく奉行所なので、防御よりも実務第一といった感じです。
連続する大広間の一番奥は一之間。床の間の前には奉行が座り、様々な公義が行われました。
この狭い部屋は武器置所。
中庭。
中庭を挟んで南側には先ほどの大広間が並び、北側も同じような構造になっているのですが、そちらには五稜郭と函館戦争に関する展示がなされていました。結構見ごたえがあります。
太鼓櫓の階段下。
外からの写真を見ればわかりますが、函館奉行所には一本高い櫓があり、そこが時を告げる太鼓櫓でした。
現在太鼓櫓への階段は登れませんが、階段下に太鼓などが展示されています。
奉行所の外へ。
Welcome to HAKODATE!
五稜郭で唯一現存している建物、土蔵(兵糧庫)です。
私が行った時には無料開放中でした。中には船に関する展示がなされていました。
兵糧庫の隣にある売店。
売店に入ってすぐのところに、日本百名城のスタンプが置いてあります。
図案は空から見た五稜郭。奉行所の建物よりは、やっぱりこっちをフィーチャーして欲しいですよね。
函館奉行所を、裏側から。
奉行所周辺にはどんな建物があったのかはわかっているのですが、いかんせん建物が残っていないので、跡地が示されているだけです。
最後に、水堀の外側をぐるりと。
五稜郭公園の外周は、ウォーキング・ランニングコースになっています。1周は約1800メートルです。
鴨。
その特異な形状もあり、とてもかっこいい城砦ですよね。本格的な戦闘にはならなかったので、遺構の残り具合が良好だったのも、とても良かったです。時代が新しいので、資料も多いですしね。
ただ、かっこいいのはかっこいいけど、元は奉行所だったため戦闘に全振りしていたわけでもなかったんでしょうかね。見ていて気になったのは、やっぱり土塁にしても石垣にしても高さが足りないという点ですね。戦国時代の城と比べても、明らかに低く、圧迫感に欠けます。平地だからそもそもそんなに高い城壁を作れなかったということはあるでしょうけど、弓矢や鉄砲の時代ならともかく、大砲の時代では高さというのはそれほど重視されなかったんでしょうかね。
しかし暑かった。土塁の上り下り程度であとはほぼ平地歩きだったのに結構バテバテで、持ってきた飲料だけじゃ足りずに、売店で飲み物を追加する必要がありました。北海道、涼しいと信じていたのに……。
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