社会思想社刊、スティーブ・ジャクソン著のゲームブック「さまよえる宇宙船」に2回目の挑戦。これ以降、ネタばれ満載ですのでご注意を。
<現在の状況>
船長:技術点10、体力点16
科学官:技術点9、体力点9
医務官補佐:技術点5、体力点21
技官補佐:技術点10、体力点20
保安官:技術点11、体力点19
警備員1:技術点11、体力点16
警備員2:技術点12、体力点21
船:武器力点9、防衛力点13
運点12
あたし、レイン・デシンセイ。宇宙船トラベラー号の船長やってます。が、今ちょっとのっぴきならない事態になっております。
航行中にトラベラー号の推進機関が故障しちゃって、ブラックホールとして知られているセルツィア空間に飲み込まれ、そのままどことも知れない別次元の並行宇宙に飛ばされてしまったのです! 現在位置も、帰る方法も、一切わかりません。うーん、どうしよう。
再び旅立ったトラベラー号の、目先の選択肢は2つ。一つは宇宙空間に浮かんでいる巨大な車輪状の建造物をめざすこと。もう一つは超空間に突入して一気に黒い惑星まで飛んでいくこと。とりあえずは車輪状の建造物に近づいてみます。
そこはロール・ジャミル宇宙港。そこに入港するためにはお金を支払わなくてはいけないのですが、あたしたちはマリニでマリナイトを手に入れているので、それで支払いを済ませました。
宇宙港の廊下を歩いていると、世話ロボットが近づいてきました。何か用事はないかと尋ねられたので、あたしは娯楽施設について訊いてみました。すると遊戯室とバー、ビジュアル室と、感覚を刺激するセンサラマ(何? シネラマの五感版?)があるみたい。ここまでいろいろ大変だったし、乗組員を誘って行ってみよう。あたしは乗組員に2時間の下船許可を与えます。
あたしは何人かの乗組員と一緒にバーに向かいます。そこは暗くてタバコの煙が充満している、ちょっと雰囲気の悪い場所。なんかやな感じ。
あたし達がテーブルにつくと、隣に座っていた黒い異星人の一団が、あたしのことをじろりと睨んできました。くっそー、こいつ、あたしが女だからってナメくさってるな。こっちもギロっと睨み返してやります。
するとそいつ、あたしにわざと肩をぶつけて、ウーっと威嚇するようにうなってきます。ああもう、アッタマきた。その場にいた乗組員全員立ち上がり、そいつらとの大乱闘の幕開けです。
ボカ、スカ。
ボカ、スカ。
ボカ、スカ。
ボカ、スカ。
ボカ、スカ。
戦闘に不慣れな科学官がちょっと怪我してしまいましたが、あたし達は軽くそいつらを蹴散らします。ケッ、あたしらにケンカを売ろうなんざ10年早いんじゃ。
しかしこの騒ぎはちょっと拙いっす。あたし達はさっさと船に戻り、航行を再開します。
……。最近、乗組員達が先行きに不安を抱いているみたい。確かに、適当にそこらの星系をウロウロしているだけで、いつになったら地球に帰れるのか、展望はあんまりないのよね。それでも乗組員達に何らかの声明を発しなくてはいけません。
あたしは望みを捨てずに、帰る日を信じて頑張るように演説をぶちますが、あんまり効果も無いようです。神経性の症状を呈している患者で医療区は溢れ出し、やがては自殺者も現れる始末。うーんどうしよう。
そんなある日、航宙士が興奮しながら連絡をしてきました。どうやら近場にブラックホールを発見したらしいのです。そのブラックホールが帰り道である保証は一切ありませんが、どのみち船内は崩壊寸前。ここはいちかばちか、そのブラックホールに賭けてみるしかなさそうです。
あたしはそのブラックホールに進路を取るよう命令します。科学官にコンピュータを使って最適なコースを計算させ、そのコースに船を乗せます。やがてトラベラー号は強烈な引力に囚われ、空間に向かって吸い込まれて……。
その後、トラベラー号の姿を見たものは、誰もいない。
(おしまい)


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