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雑居空間

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展覧会の絵 放浪記 その3

2005年04月20日 01時55分19秒 | ゲームブック(創土社)
※森山安雄著のゲームブック「展覧会の絵」について豪快にネタばれしています。ご注意ください。


三枚目の絵 - チェイルリーの庭

 ニ枚目の絵までは前回のプレイの記憶があったので楽に進んでいけたけれど、ここからは未知の世界。ちょっと気合を入れて行こう。

 ここは公園だ。地面には芝生が生えており、中央には噴水が。近くにはレンガ造りの建物もある。公園の向こうには子供達が遊んでいる。道路に行けば人ごみに入ることになるだろう。

 建物は最終的な目的地と踏んで、子供達に近づいてみる。すると、子供達がわらわらと寄ってくる。その中の一人の女の子が琴を指差す。言葉はわからないけれど、「アルプ(琴)」という単語だけは聞き取れる。ここで、和解の旋律を使って意思疎通を図ることが出来る。ここは弾いてやらなくてはなるまい。主人公は優しく微笑みかけると、和解の旋律を奏でる。子供達はうっとりとした表情で演奏に聞き入る。

「なんて-なんて、きれいな音なんでしょう。」

 歌の力で言葉がわかるようになった。この近くで宝石か絵がありそうなところはないかと訊ねると、公園の側のレンガの建物を指差し、あれが美術館だと教えてくれる。やっぱりありそうだね。そして女の子は、もう1回琴を弾いて欲しいとリクエストを受ける。やっぱりちゃんと応えてやらなくては人間じゃない。もう1回和解の旋律を奏でる。すると、少女は自分のしていた銀色のペンダントをくれた。それにはキエフの門のマークがついている。

 なんか、普通に重要そうなアイテムをもらっちゃったけど、この辺は素直にお礼だけもらった方が良かったかな。私が作者ならそうする。

 今度は道路へ向かう。道路へ向かうと人々が集まってくる。またかよ。旋律を奏でてもいいんだけど、ちょっとケチって先に美術館へ。

 美術館の入り口に行くと、世界各国の言葉で、「美術館・入場料金貨7枚」と書いてある。初期金貨は最大でも6枚だったはずなので、必ず金を稼がなくてはならない構造になっているらしい。道で歌わなくちゃいけないのか。でも、とりあえず切符売り場の男に話し掛けてみる。

 「なんだい? とにかく金がなければ、ここは通せないよ」

 しかし、主人公の胸には少女からもらったペンダントがある。それに気づいた男は、主人公が「真の楽師」の内の一人だと知ると、ただで入れてくれる。うーん。こっちは純粋に子供のために琴を奏でたつもりだったんだけど……。うーん。なんだかなぁ。

 ここは1階のフロア。まずはここを探索。1階のフロアは画廊。しかし、キエフの門のマークが刻まれた絵は無く、宝石も無い。客は老人と女の2人がいる。まずは老人に話し掛ける。と思ったら老人の方から話し掛けてきた。どうやら、その老人も吟遊詩人だったらしい。老人は汚い布の袋から、主人公のものと良く似た琴を取り出す。ただし、とても古ぼけて、もう人前では弾けそうに無い。すると老人は主人公の琴に手をかけ、一度歌を聞かせて欲しいと頼む。なんなら老人のことを使ってもかまわない、と。老人は主人公の琴をうらやましそうに見つめる。『あなたは彼を哀れに思いながらも、その態度にふと不安をおぼえる』なんて本文に記述されているが、むしろそんな怪しい書き方をしている森山安雄に対して、私は不安をおぼえる。だからあえて老人の琴を使って歌を唄ってやることに。何故か口からは自然に言葉が流れ出し、主人公自身も知らない不思議な歌詞になる。

 東の神が泥をこね、
 西の神が形を作り、
 南の神は命を与えた。
 かくてゴーレムは歩き出し、
 北の神の名を聞くまでは、
 大地とともにありつづけるのだ。

 うわー。なんか露骨だなぁ。
 老人は笑顔で、ゴーレムに会ったらこの歌を思い出すよう忠告すると、黙ってしまった。主人公は自分の琴をつかんで、もう一人いた女に近づく。すると女はさっとこちらを振り向いてぶつかってしまう。サイコロを振る。コロコロ。5。「あら、すみません」。女はそのまま立ち去ってしまう。ぽかんと立ち尽くす主人公。しかし、琴以外の持ち物を全て盗まれていることに気が付く。宝石も!
 うーん。この後フォロー無しだとツライなぁ。いろんな意味で。

 次は2階へ上がる。2階は彫刻室。ヴィーナスやラオコーン(って何?)の模造品に混じって、ゴーレムがある。これは無視せよってことで、先に3階を目指す。

 3階は最上階らしい。踊り場に木でできたドアがある。入るしかない。が、鍵がかかっている。琴を使えば何とかなるかもしれない。ここ以外だと、ゴーレムだからなぁ。外の人ごみでなにかあったかもしれないけど、今はペンダントも掏られたので、再入館がめんどくさいことになりそう。とりあえず、数に余裕のある魔除けの旋律を奏でる。しかし、ここの扉には魔法がかかっていないので、無駄に一つ消費。ありゃりゃ。今度は戦いの旋律を。しかし、これもダメ。あれぇ。なんか和解の旋律でもだめな気がしてきたので、こうなったらゴーレムコーナーに突っ込もう。

 2階に下りて、とりあえずゴーレムには近寄らずに、像の間を歩き回ることに。並んでいる彫像はさほどの値打ちもなさそうだけど、種類だけは豊富に揃っている。しかし、キエフの門のマークも、宝石も無い。と、近くにあったヴォルテールの胸像が倒れこんできた。サイコロを振る! コロコロ。1。ガシャンと音を立てて胸像は粉々に砕けた。主人公はとっさに交わすが、像の破片が琴を傷つけ、弦の色の歌が2つ減る。えー。

 今気がついたけど、2階には扉があって、それを開けるという選択肢があるのを見落としていた……。スリ女以降、集中力が落ちてるなぁ……。で、扉を開ける。そこは美術館の図書室。たくさんの本が並んでいる。本の山を探ってみる。サイコロを振る。コロコロ。3。何もめぼしいものはみつけられなかった。ぶー。

 美術館に入ってから、碌なことがないなぁ。もうゴーレムに突撃するしかない。というわけで、無造作にゴーレムに近づく。ゴーレムとは泥で出来た自動人形。ひとたび動き出したときには何者の力をもってしても止めることはできない。ゴーレムに近づくと、台座に文字が書いてある。

 われの動きを止めたき者は、
 四方の兄弟神のうち、
 ……の名のもとに我に命じよ。

 そのとき、ゴーレムの右手が開いた。そして、その右手の上には紅縞メノウ-サードニクスと呼ばれる8月の誕生石が。神の名を借りるにはそれ相応の代償が要るらしいけど、いくしかない。代償として、和解の旋律、戦いの旋律、魔除けの旋律を一つずつ消費して、北の神の名を唱える。手を伸ばして宝石を取る。するとゴーレムが動き出したが、北の神の名のもとに、動きを止めることに成功する。無事、紅縞メノウを入手。

 あれ、まだ絵が見つかってないや。ひょっとして、3階? とことこ階段を登って3階の扉のところへ。そして、和解の旋律を奏でる。すると、手も触れないのに音も無く扉がすっと開く。やっぱりか……。

 その部屋には一枚の油絵以外には何も無い。その絵を見た主人公は思わず声をつまらせる。その絵に描かれていたのは、あの侏儒-地の精と主人公がなかよく並んでいる姿だった。しかし、その絵にはキエフの門のマークはなかった。代わりについているのは、「ヴィクトル」という作者のサイン。 ヴィクトル。それは自分の名、ではないが、確かにどこかで聞いたことがある。知らぬ間に主人公の頬を涙が伝う。この旅の終わりが、誰か大切な人との別れになることを予感して。
 
 が! 結局この部屋はこれだけ。あれ?

 しかたがないので、美術館を後にする。美術館を出ようとしたところで、切符売り場の男が声をかけてくる。「キエフの門の印が入った絵は見たくないかい」。なんやてー? 「わかっているよ、何もかも。あんた、バーバ・ヤーガの石を探しているんだろ。その手に持っているのは『真の楽師の琴』じゃないか」。まあ、入ってきたときの会話と辻褄が合わないのはご愛嬌。ただし、絵を見せてもらうためには歌を唄ってやらなくてはならない。サイコロを振って、1か2なら1つ、3か4なら2つ、5か6なら3つ。コロコロ。2。最後で一応ラッキーな目が。好きな歌でいいらしいので戦いの旋律でも唄ってやろうかと思ったけど、数に余裕のある魔除けの歌を唄う。

 男が持ってきたのは、山の上の牧場らしい、のどかな風景画。前景には牛の群れが描かれている。この男も昔、楽師だったとか。しかし、旅の途中で弦が切れてしまったという。彼によれば、主人公のように真の楽師の琴を持って旅をしている者は大勢いるらしい。そして、旅に失敗してしまったら、絵の番人になることを義務付けられているのだ。

 ふと気が付くと、またしても主人公はプロムナードに立っているのだった。

パラグラフ: 79
戦いの旋律: 5
魔除けの旋律: 5
和解の旋律: 6
金貨: 0
弦の色の歌: 和解の旋律
宝石: 紅縞メノウ
持ち物: 真の楽師の琴

 うーん。今回ボロボロだったなぁ。
 つーか、宝石3つ盗まれた段階で、著しくやる気が低下するって考えなかったのかな→作者。全体が10分割されているというゲームの構成上、これを挽回する機会はおそらく無いでしょう。とすると、まだ全体の30%しか進んでいない状態で、完全なクリアが出来ないとプレイヤーに悟らせてしまいます。これは得策ではありません。アイテムを入手できた、でも気づかずにスルーした、という状況ならば構わないけど、それとわかってしまうのは問題です。
 また、パラグラフが全部で531。一枚の絵当りの平均パラグラフ数が53と少ないので、どうしても展開が限られてくるのです。にも関わらず、ほぼ全てのシーンを通ることが可能になっている。すると、一回のプレイにおいて見えてしまうパラグラフが多く、逆に、見なかったはずのパラグラフの少なさも感じ取れてしまうので、プレイヤーに世界の狭さを感じさせてしまう訳です。どんなに魅力的な空間を描いたとしても、ゲームの狭い枠組みが見えてしまうので、とても世界に没入できないのです。

 今回のプレイ分までで、描きたい物語の方向性は見えたし、おそらくそういう話は私個人は好きだとも思います。しかし、ゲームとしての拙さが足を引っ張って、作者の意図に上手く乗ってあげることができない。そんな感じです。

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