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翡翠 (かわせみ)

青い空は青いままで緑の森は緑のままで

糸綴じ ー 絵本の修理(3)

2017-03-27 16:00:59 | 本の修理

 

 

       2番目の折丁②が綴じ合わされていきます

       いちばん左側まで綴じたら

       次は3番目の折丁③を綴じ合わせます

     

 

 

         ②の最後の穴から出た糸は

         ①と②を結び付けている縦方向の糸に結びます

         (②を綴じた糸がゆるまないように)

         ③の1番目の穴から入って2番目の穴にでた糸は

         ①と②を結んでいる縦方向の糸をすくって2番目の穴に戻ります

         (このとき先を曲げた針が縦糸をすくいやすく便利です)

         3番目の穴から出た糸は

         同じようにすぐ下の縦糸をすくって3番目の穴に戻り

         以下同じようにして②③が綴じ合わされ

         折丁③④も同様にして綴じ合わされていきます 

 

     

 

 

       ②と③を結んでいる縦糸を

       曲がり針がすくっています

    

 

       ③④が綴じ合わされました

    

 

       このようにすべての折丁が綴じ合わされると

       折丁①では糸目が外側に出ていて

       ①~② ②~③ ③~④では縦に糸が結んでいるのが分かります

       これで糸綴じは完了

       なおこれらの綴じ合わせの作業は

       折丁どうしがしっかり結び合わされるように

       ひと目ごとに軽く糸を引いて締めながら行います

    

 

 

      綴じ合わされた折丁の背の部分に濃いノリ(木工用ボンド)を塗ります

     

 

 

     寒冷紗をつけます 

   

 

 

      ノリが乾いて寒冷紗がしっかり付きました

      この寒冷紗が本体(本の中身)と表紙をつなぎます

   

 

 

      背表紙が傷んでいたので紙を貼って修理しました

   

 

 

     本のおもて表紙がわ(左)と裏表紙がわ(右)の見返しが

     表紙の台紙からはがされています

     真ん中の細長い台紙は背のところで

     真ん中に本体をのせ

     両側の台紙に寒冷紗をノリでくっつけます

 

 

   

 

      右側の台紙に寒冷紗をノリ付けしています

      そのあと右側にめくれている見返しを寒冷紗にかぶせます

 

    

 

       右側の見返しをかぶせてノリ付けしたところです

       見返しを台紙からはがすときに破れてしまいました

       (あとできれいに修理しました)

    

 

       表紙と本体がよく付くように

       背表紙の両側の溝を適当な太さの棒を

       押し付けるようにして乾燥させます

    

 

 

      これで本の形が出来上がりました

   

 

 

      背表紙に本の題名など(背文字)をつけて完成

      本が新しく生まれ変わりました

   

 

 

   

 

   

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糸綴じ ー 絵本の修理 (2)

2017-03-26 19:05:06 | 本の修理

 

 

 

        ページの折り目と糸穴の養生を終えて

        4組の折丁(おりちょう)が揃いました

 

       

 

       糸で閉じるための針穴を

       同じ位置にあけるために印をつけます

 

      

 

        細い目ぬきで穴をあけます

        写真では傾いていますが目ぬきは紙に垂直にして穴をあけます

 

     

 

        1組目の折丁は

        背側の中ほどの穴から針を通しはじめます

     

 

        aから入った糸は図のように内外内外の順に通り

        折り返したらaの穴をとびこして

        また内外内外折り返しと進むと

        aのところで内側から外に出てきます(かならずそうなります)

 

     

 

        aの穴をとびこしたところです

     

 

       同じ穴からでている糸aとbを

       真ん中に出ている長い糸目を挟んで結びます

       これで結んだ糸が固定されるわけです  

    

 

 

        次は1番目の折丁①と2番目の折丁②を綴じ合わせます

        ①の背側には糸目が出ているのでいちばん端(右側)に

        針についている糸の最終端を結びつけます

        ②の初めの穴から入って2番目の穴から出た糸は

        その下にある①の糸目をすくってもとの②の穴に戻り

        3番目の穴から出ます

        このようにして①と②が綴じ合わされていきます

     

 

        糸を掬い取りやすいように先を曲げた針を用意して使います

     

 

     針についている糸を糸目の端に結び付けました

     これからの作業をするときには

     折丁の下にボール紙などの台をおき

     クリップなどではさんで押さえます

   

 

      1番目の穴から糸が入ります

    

 

       折丁の内側を通って2番目の穴から出てきました

    

 

       折丁①の糸目をすくっています

    

 

       糸目をすくって糸を締めたら再び同じ穴に戻ります

    

 

      そして②の内側を通って3番目の穴から出ます

      以下同様にして①と②が綴じ合わされます   (つづく)

    

 

    

 

    

 

   

  

  

 

  

 

     

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糸綴じ ー 絵本の修理 (1)

2017-03-25 09:13:24 | 本の修理

 

 

          絵本の糸綴じ修理の記録です

          表紙から中身がずれだしています

 

      

 

 

          見返しが切れて本体がはずれそうです

 

      

 

 

              上から見ると傷みがよくわかります

            

 

 

            拡大してみるとかなりひどい状態で

            背表紙もやられているようです

        

 

 

              裏表紙側の見返しは無事ですが

              これから本体をとりはずします     

     

 

            本体から見返しをはがします

            のりで貼り合わせてあるので見返しを引っ張ってはずします

         

 

 

          見返しがはずれました

          本体と表紙をつないでいる寒冷紗が見えていますから

          寒冷紗を切断してしまいます

 

      

 

          おもて表紙側は見返しが切れてしまっているので

          寒冷紗を切断すると本体が表紙から取りはずされました

        

 

 

          折丁(おりちょう)を綴じ合わせている糸を切断して

          4組の折丁になりました

       

 

            折丁を広げてみると

        

 

 

             糸が通っていた穴が糸で擦れて大きくなっています

             これでは本のページがしっかり固定されませんね

        

 

            ページの折り目が切れているところもあります

        

 

 

          糸穴が大きくなっているところには

          薄くて丈夫な紙(三角コーナーの水切り袋を使っています)

          折り目が切れてしまったところには

          コピー用紙などを1㎝ぐらいの幅に切って用意します

 

         

 

         コピー用紙では絵や字がかくれてしまいます(左側)

         薄紙は水性の木工用ボンドを薄めて使うと

         乾いたときに半透明になって下の文字や絵が見えるようになります(右側)

      

      

 

 

         細く切った薄紙を張るときは薄紙を手で持っていて

         薄めたノリをたっぷりつけ

         本の紙と薄紙の間に空気が入らないように張るのがコツです

      

 

        すべてのページの補修が終わって

        一組4ページの折丁が4組できました

        つぎはこれらの折丁を糸で綴じ合わせます   (つづく)

     

 

 

 

 

  

 

 

 

    

 

 

   

      

 

 

     

 

 

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本の修理(無線綴じの修理)

2015-12-18 19:28:26 | 本の修理

  

         地域の子供たちに児童書の閲覧・貸し出しをしている三室文庫の本を修理しています。子どもに人気がある本は、

         長い間には かなり傷んできます。この本もカバーは大分傷んでいます。    

            

            

   

              でも、カバーを外してみると表紙はまだきれいでした。

            

     

           本の中身はだいぶ傷んでいますね。ページが外れていて、しかもセロテープで張り付けてあるので

         時間が経ってテープがパリパリになって、しかも変色していたり、したの写真のようにページの合わせ目が

         割れてしまっていたりしています。

 

          

 

         

          こうなるとページが次々にパラパラと外れてきます。

        

 

            ページの右側が本の’見返し’で左側が本体です。ここから左右にはがして・・・・

        

 

           表紙と本体とを切り離していきます。

        

         

           裏表紙の側も切り離しました。

        

 

           表紙が無くなった本体です。

          

 

            ばらばらにしました。4ページ分の紙が2枚一組、二つ折りで8ページの束になっています。

          

 

           それをさらに1まい(2ページ)ずつにばらして・・・

          

              重ねました。まだかなり凸凹です。

           

 

             これから綴じる’背’のところを削って平らにします。

           

          

             平らになった背のところに2cmほどの間隔に線を引きます。」

           

 

            厚紙と目玉クリップで固定して、目の細かいのこぎりで3mmほどの深さの切り込みを入れます。  

           

 

                 厚紙も一緒に切られています。

              

                 

                     4cmほどの麻の繊維を用意します(修理用の製品には平麻というものが

                          ありますが、これは麻ひもをばらしたものです)。

           

                 

 

               切り込みの所にのり(木工用ボンド)を載せます。

            

 

              麻の繊維を切り込みに入れ、その上からまたボンドを載せます。

          

 

                このような状態で少し乾かします(外側の厚紙を外しても麻の繊維がずれないくらい)。

            

 

              寒冷紗を取り付けます。

           

 

                目玉クリップで抑えて乾かします。         

            

     

                                  

               寒冷紗がしっかりついたら、麻の繊維の余分なところは切って

              

 

 

               表紙のこの部分に本体を接続します。

             

 

                右側の見返しの下側に寒冷紗を挟み込んでから、

            

 

             見返しを、本体の際までしっかり押し付けて貼り付けます。

            

 

              表紙がしっかり本体に固定されるまでこのようにして乾かします。

            

     

                 完成です。

               

 

               新品同様に!?

            

 

          修理に使った道具や材料です。

        

 

    

 

 

 

  

 

 

   

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絵本の修理です

2014-07-21 23:03:42 | 本の修理

      図書館ボランティアでほんの修理をしています。絵本の修理は手間がかかるものが多いのですが、

   その一部を紹介してみます。今回は、子供向けの本を貸出す活動をしているボランティア団体・三

   室文庫の本を修理しました。

     表紙も中のページもだいぶ傷んでいます。

 

      全部バラバラにしてから、真ん中の綴じてあった部分を薄い紙を貼って補強します。

      本体をひとまとめにして綴じるために、元の綴じ穴をよけて、等間隔に穴をあけます。(穴をあける目打ちは

   もっと垂直にしないといけないのですが撮影の都合でナナメっています(~_~;))

        全部のページを重ねて糸で綴じていきます。

  このような順で針を運んで、最後に同じ穴から出てきた糸と初めの部分の糸を結んで綴じが完成です。

    "見返し"を切り取った部分とカンレイシャ(寒冷紗)も一緒に綴じこんでいます。真ん中に見える糸が初めの

   部分で、最後にその糸と同じところから糸の終わりの部分が出てきます。中央に縦に見える糸をはさんで2本

   の糸を結びます。

    糸綴じが終わりました。

      背表紙を補強して新しく文字も入れました。

 

      本体を表紙に貼り付けます。(見返しを切り取った様子がわかりますね。)

     輪ゴムと目玉クリップで抑えて乾燥させます。完成した本の写真がありませんでした。残念(~_~;)。

 

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