はな兄の1分で読めるエッセー

ふと脳裏に浮かんだ雑感を気ままに綴った日記

そういえば

2024-01-03 03:28:30 | 病気

母はステージ4のガンだった。

 

初めのころの診察のK医院は

市役所に勤めている弟が

市役所職員の健康診断を行ったという理由で信用して選んだ。

何度か通院したが

医師は「胃炎だ」という主張を曲げることなく

毎回大量のクスリを処方する。

一向に病状が良くならないので

「ちょっと怪しい」と

変更することを進めたが

なぜか母は「お客様」のように

弟に気を使い

メンツをつぶすわけにはいかぬとK医院に行こうとする。

ボクは

「頼むから。近くでいつもお母さんを観察してるボクの意見にも

たまには耳を傾けてよ」

と、おしとどめ赤十字病院での診察を提案した。

と、

そこで

S結腸に怪しいものがあり再検査となり

ボクは「ああ、やっぱり」

と予感は当たったのだが

その一週間後の

その肝心の再検査に行ったかと思ったら

その弟が割り込んできて

「あの病院、評判が悪いってうわさだからと再検査をキャンセルしてきた」

などとぬかすのである。

呆れてものが言えない。

再びK医院での通院が再開された。

弟としては

胃炎と思ったというより

胃炎ということにしておきたい

胃炎と言ってくれる医師がありがたい

いわゆる希望的観測だが

それが手遅れという取り返しのないしっぺ返しに帰ってくることを考えない。

いくらボクが横から

やいのやいの抗議しても

「はな兄はしょせん高卒で引きこもりで居候のぶんざいで

一流大学卒で結婚して公務員の僕に忠告するなぞ100年早いよ」

とばかり

「ふん」

と、とりあわぬ。

信頼も友達も金もない、

偏差値53程度の高校を卒業しただけの兄なんぞ

鼻くその役にも立たぬと思ってるようだ。

俺は入院のプロだよ。

入院生活や病院の見分け方については

たかが日本理科大卒業したぐらいで

エリートぶるな

わが一族のエース気取りの私の9歳下の弟である。

ちなみに

そのK医院。

医師は医院長のこの一人だけで

やたらアンバランスな数の女性看護師をハベラセテいる。

ホームページはやたら立派。

専門業者にギャラをはずんだのだろう。

最後の方に、やりもしない最先端『免疫細胞治療』のページ。

ホントにこの医院のスタッフかどうかわからぬ大勢の人々に

白衣を着せて、6段のひな壇に並べての

盛大な記念写真。

このホームページだけで怪しいことは明白ではないか。

 

もう勝手にさらせ!

 

その後、数か月たったころ

いつものように机に向かってパソコンをやっていたら

なにやら背後から変ないや~な臭いが漂ってきて後ろを振り返ると

笑顔の母が画面をのぞき込んでいた。

ボクはムッと咳き込み鼻をつまんだ。

母の口の中の臭いがここまで来るとは...。

笑顔だけに今日は比較的体調は小康状態なはずである。

それでいて、胃やその奥の方からの臭いがこんなにすごいなんて

ただごとじゃない。

「お母さん。ほら、コレ今検索した

水戸の済生会の病院。ここいいらしいよ」

ここの時点で

やっとボクの意見を取り入れてくれたんだけど。

 

結果は

ステージ4の小腸のガンだった。

大腸ガンは比較的発見されやすく早期発見で治療し完治できる確率が高い。

だが

小腸は長い長い渦巻きの腸の中心部にあり

発症自体珍しいが加えて、発見が極めて難しいという。

 

2017年7月母は旅立った。

 

ところで

二人の弟や妹は

とくに一つ下の弟は

母が弱ってる間

「ボクが(母の)遺産に興味津々であると信じきっていて

(自分が一番そう思ってるからこそ、ボクもそうだと思ってるんだろ。ばーか)

そればかりを気にして

電話で母へ

「通帳のあるところと暗証番号のメモは別のところで」

「兄に盗まれないよう気を付けてね」

なぞとさかんに忠告とやらをしている。

ちなみに

私は視力は悪いが、それを補うくらい聴力が発達していて

母の手に持つ受話器から

漏れ出てくる弟たちの声が

手に取るように聞こえてくるのである。

 

ここで確認のために

声を大にして述べたいが

 

私は母の遺産をあてにしたことがないし

いくらの貯金預金だかも

いっさい知らないし関心がない。

むろん通帳の場所さえも知らない。

いまだにいくらの遺産があったのかも知らない。

 

母の遺産は、私をのぞく

二人の弟と妹の3人で分け合った。

むろん私も法律上は25パーセントの権利があるはずだが

そんなもんは、金の亡者どもにはくれてやらあ。

 

もらったのは

135万円の生命保険と

この自宅の25パーセントの権利である。

一つ下の弟がマザコンなのか

両親の残した家と土地を売ったら

面影を消し去って寂しいと思ってるのか

ハンコを押す気持ちはさらさらないようで

兄妹4人の同意のハンコがなければ

私一人が

この家と土地を売っぱらいたいと思っても不可能なのだ。

かくして

空き家にするわけにもいかず

仕方なく押し付けられ住まわされている。

こんなボロボロの家でも

売れば

1100万ぐらいにはなって

手数料や何やらひかれても

一人200万円にはなるだろう。

 

200万円をもって

東京でアパートを借りて

人生の再スタートする

心の準備はできているのだが

なにせこの

男のくせに金に細かいクソ弟が

早く死なない限り

私の目論見は実現できそうにない。

 

こういう能天気で自己中で

こういうこと言ったらやったら、相手はどう気持ちになるかな

なんて

一切考えたことないやつに限って

不思議と元気で長生きするんだよねえ。

すごく人がよくて、気の使う人望の厚い人が

早世したりする。

昨年もそういう人多かったでしょ。

 

まったく

やるせない腹立たしい世の中だよねえ。

 

 

ところで

上記の3人の弟妹は

彼らの中でちょっとギクシャクすると

すぐに私について噂話をして

「ばかだったよねえ」

と、取り上げて喋っていればギクシャクはひとまず収まり

(即効型仲直り薬)として重宝されてるとのこと。

 

父や母の裏の顔も知らない

よき思いでしか持ち合わせてない人間に

何を言っても

「それは嘘だ」

とか

「やつあたりをしてる」

と、とんだヤブヘビになるのはわかりきってるからこれ以上は言うまい。

 

 

ボクが最初に死んでも

彼らに葬儀をされないように

民生委員に言伝をしておく。

一つ下の弟が死んだら

近所のスーパーで

ふだん580円の寿司の折り詰めを

798円のにして

舌鼓を打つと

密かに計画しているワタシである。

 

 

 

 



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