ギリギリ探偵白書・354



 ギリギリ探偵白書
 「む、むごい・第1話」



 パソコンで馬券を購入していると電話がなった。
 調査員連絡用の電話だ。
 通知番号から、あべちゃんであることがわかる。
 この日は、調査が入っていなかった。
 
 (ちっ、何の用じゃい?)

 しばらく、放置しておくと、電話は収まった。
 しかし、間髪入れずに携帯電話がなった。
 やはり、あべちゃんである。

 (悪い予感がするな・・・)

 仕方がないので、携帯も出ないことにした。
 すると、もう一台の携帯電話がなった。
 今度は、非通知である。

 (依頼かもしれんしなぁ・・・)


サザビー 「はい、もしもし?」

阿部   「早よう、出んかい!!」

 (きゃー)
 
阿部   「今、どこにいるんだよ」

サザビー 「あ?事務所だけど」

阿部   「ちょうど良かった。実はさ」

サザビー 「実話もフィクションも無ぇ!」

阿部   「いちいち、話の腰を折るなよ」

サザビー 「用件を言え!」

阿部   「くっ・・・まあ、いい、調査に行ってくれ」

サザビー 「ははは、残念だな。今日はお休みだ」

阿部   「ははは、残念だな。お休みは取り消しだ」

サザビー 「な、何を!!」

阿部   「田中が、そっちに向かっている。頼んだぞ」

サザビー 「な、ちょ、ちょ・・・」


 電話は切れた。
 
 しばらくして、事務所に田中がやってきた。
 田中から聞いた話によると、調査はストーカー調査であった。

 相談は、この日にあったようで、早速、盗聴発見の調査から
 取り掛かることになった。
 
 
田中   「で、現場行ったら、鍵の型番見てくれって言ってました」

サザビー 「ほう?」

田中   「それと、カメラの設置を検討してくれって」

サザビー 「盗発にカギにカメラか、てんやわんやだな」

田中   「何がです?早く行きますよ」


 今回の相談では、ストーカーが家に侵入している可能性があり
 緊急に対応する必要性が生じていた。
 そのため、盗聴器発見調査と平行して鍵の交換をすることになった。

 現場に到着し、早速、調査を開始した。
 鍵の型番を調べ、部屋の見取りを、あべちゃんに報告する。

 結局、盗聴器は発見されなかった。
 しばらくすると、荷物を抱えて、あべちゃんがやってきた。


サザビー 「おう、ごくろうさん」

田中   「その辺、置いてください」

阿部   「は~い。って、手伝えよ!!」


 こうして仕掛けは完成した。
 鍵を交換したため、ストーカーが侵入する事は無いだろう。
 また、カメラにより、家に近付いてきた人間の撮影も行える。


田中   「この後は、どうするんですか?」

阿部   「一応、明日からの送り迎えですよね」

依頼者  「はい、お願いします」

田中   「でも、今日の夜とか・・・」

サザビー 「今日は雨だからお休みでしょ」

田中   「そ、そんな」

阿部   「そんなわけないだろ。
      なぜだか、日曜日は現れないんだってさ」

田中   「へぇ、何ででしょうね」

サザビー 「ふ、簡単なことさ」

田中   「な、何ですか?教えてください」

サザビー 「そう、ストーカー野郎は日曜日に現れない。
      なぜだと思う」

田中   「それを聞いているんですけど・・・」

サザビー 「その通り、奴は日曜に来ることのできない理由が・・・」

阿部   「わかったのか?」

サザビー 「ああ、土日、仕事と言えばJRAだ」

田中   「は・・・?」

サザビー 「JRAが俺の金どころかストーカー行為まで」

田中   「名誉毀損で訴えられますよ」

阿部   「金は自己責任だろ」

依頼者  「あの、本当、大丈夫でしょうか・・・」

阿部   「大丈夫です。いつも、こんな感じですから・・」

サザビー 「あべちゃん、信用されてねぇなぁ」

田中   「いや、あんたでしょ・・・」



        続く



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