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ギリギリ探偵白書・２８６
ギリギリ探偵白書
「思い出す・第２話」
サザビーから調査応援の連絡が入った。
アカサギが逃亡の恐れあり。とのことだった。
田中のゆっくりした運転に業を煮やし、運転を代わった。
田中 「あ～、怖い怖い、ぶつかる、ぶつかる！！」
田中の車は横滑りをしながら、首都高速を滑走する。
阿部 「うるさいっ！！気が散るだろっ！！」
田中 「ぶつかる！！ぶつかる！！」
阿部 「うるさいっ！！」
田中 「ジェットコスターかよっ！！うわっ、前前！！」
阿部 「うるさいっ！！」
田中の車は混雑気味の道をジグザグに進んでいく。
私も細心の注意を払い、車の挙動を制御する。
これでも私は元レーサー、数ミリ単位の限られたラインで車やバイクを操縦していた。
数分後、サザビーが指定した銀行へ到着した。
阿部 「田中、行くぞっ！！早くしろ！！」
田中 「・・・・酔った・・・」
阿部 「じゃあ、お前は車で待機していろ。無線をONにしておけよ」
田中 「了解しました。・・・ウエッウヲオオゥェ」
阿部 「ちゃんと車をまわせよ」
私は車酔いした田中を車待機として、サザビーと合流した。
サザビー 「ほらっ、マルタイがボストンバック、持ってるでしょ？」
※マルタイ・・・調査対象者、ターゲットとなる人物のこと
阿部 「ああ、持ってるな」
サザビー 「今が１２軒目だから、相当下ろしてるぜ」
阿部 「・・・高飛びの可能性大ってやつだな」
サザビー 「ああ、しかし、参ったね。依頼者が調査の事を言っちゃうとは・・・」
阿部 「ああ、たまにあるからな。全額下ろしたら、とっ捕まえるか？」
サザビー 「おう！任せた」
（えっ？俺が捕まえるの？）
それから、銀行をまわること８軒目、マルタイは成田行きのチケットを買い始めた。
私とサザビーは音もなく、彼の背後についた。
詐欺師 「・・・・何ですか」
サザビー 「ジョニーです」
詐欺師 「じょっ、ジョニー？・・・ジョニーさんは、私に何か？」
サザビー 「まずは、そのお金をよこしなさい」
詐欺師 「うっ、うぅわわわわ！！」
（いきなり、暴れるなよっ！！）
サザビー 「あべちゃん！！出番だよ！！」
（そういう役目なのか！！）
私はサザビーの前に出た。
すると、詐欺師はかばんを私にぶつけてきた。
（そんなヘボカバンが当たるかよっ！！）
それを私は避け、すかさず、詐欺師の手首を持った。
それと同時に、手首をひねり上げた。
詐欺師 「いたっ痛い、痛い・・・・」
阿部 「学校の先生に言われなかった？
人を騙してお金を巻き上げちゃいけないって」
詐欺師 「・・・・いくらだ？金ならある・・・」
サザビー 「・・・ダメだよ。この人にそういうこと言うと、地獄の果てまで
追いかけられるよ。しつこいから・・・」
阿部 「あっ、思い出した。昨年、貸した２万、早く返せよ、サザビー」
サザビー 「うっ・・・そっ、そうだっけ・・・。ほらっ、よく覚えてるでしょ」
詐欺師 「２万なら立て替えますから、見逃してください・・・」
サザビー 「嫌だ！１０億出せ」
阿部 「ダメっ！！」
確かに我々は、依頼者さんに雇われている身で、依頼者さんの被害額だけ取り返せば
仕事は完了したことになる。
しかし、社会道義上、詐欺師を見逃すわけにはいかない。
ましてや、今にも逃げようとしている詐欺師を放っておくわけにはいかない。
阿部 「それは、依頼者さんに決めてもらおう」
サザビー 「そうだな、２万円のことも含めてな」
阿部 「それは、早めに返せ」
サザビーが電話で依頼者さんを呼んだ。
数十分後、鬼のような形相で依頼者さんがやってきた。
因果応報、悪事の金は身につかず、である。
結局、詐欺師はすべてのお金をすべての被害者に返すことになった。
そして、私とサザビーが事務所に戻ると、ある事を忘れていることに気がついた。
（た、田中！？）
携帯の着信履歴を見ると、田中からの着信で埋まっている。
そして、留守電が１件。
「ピ～、おっす、田中です。車が動きません・・・。助けてください・・・」
すまん、忘れていた・・・。
完
メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。
ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。
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http://www.mag2.com/m/0000121372.html
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「思い出す・第２話」
サザビーから調査応援の連絡が入った。
アカサギが逃亡の恐れあり。とのことだった。
田中のゆっくりした運転に業を煮やし、運転を代わった。
田中 「あ～、怖い怖い、ぶつかる、ぶつかる！！」
田中の車は横滑りをしながら、首都高速を滑走する。
阿部 「うるさいっ！！気が散るだろっ！！」
田中 「ぶつかる！！ぶつかる！！」
阿部 「うるさいっ！！」
田中 「ジェットコスターかよっ！！うわっ、前前！！」
阿部 「うるさいっ！！」
田中の車は混雑気味の道をジグザグに進んでいく。
私も細心の注意を払い、車の挙動を制御する。
これでも私は元レーサー、数ミリ単位の限られたラインで車やバイクを操縦していた。
数分後、サザビーが指定した銀行へ到着した。
阿部 「田中、行くぞっ！！早くしろ！！」
田中 「・・・・酔った・・・」
阿部 「じゃあ、お前は車で待機していろ。無線をONにしておけよ」
田中 「了解しました。・・・ウエッウヲオオゥェ」
阿部 「ちゃんと車をまわせよ」
私は車酔いした田中を車待機として、サザビーと合流した。
サザビー 「ほらっ、マルタイがボストンバック、持ってるでしょ？」
※マルタイ・・・調査対象者、ターゲットとなる人物のこと
阿部 「ああ、持ってるな」
サザビー 「今が１２軒目だから、相当下ろしてるぜ」
阿部 「・・・高飛びの可能性大ってやつだな」
サザビー 「ああ、しかし、参ったね。依頼者が調査の事を言っちゃうとは・・・」
阿部 「ああ、たまにあるからな。全額下ろしたら、とっ捕まえるか？」
サザビー 「おう！任せた」
（えっ？俺が捕まえるの？）
それから、銀行をまわること８軒目、マルタイは成田行きのチケットを買い始めた。
私とサザビーは音もなく、彼の背後についた。
詐欺師 「・・・・何ですか」
サザビー 「ジョニーです」
詐欺師 「じょっ、ジョニー？・・・ジョニーさんは、私に何か？」
サザビー 「まずは、そのお金をよこしなさい」
詐欺師 「うっ、うぅわわわわ！！」
（いきなり、暴れるなよっ！！）
サザビー 「あべちゃん！！出番だよ！！」
（そういう役目なのか！！）
私はサザビーの前に出た。
すると、詐欺師はかばんを私にぶつけてきた。
（そんなヘボカバンが当たるかよっ！！）
それを私は避け、すかさず、詐欺師の手首を持った。
それと同時に、手首をひねり上げた。
詐欺師 「いたっ痛い、痛い・・・・」
阿部 「学校の先生に言われなかった？
人を騙してお金を巻き上げちゃいけないって」
詐欺師 「・・・・いくらだ？金ならある・・・」
サザビー 「・・・ダメだよ。この人にそういうこと言うと、地獄の果てまで
追いかけられるよ。しつこいから・・・」
阿部 「あっ、思い出した。昨年、貸した２万、早く返せよ、サザビー」
サザビー 「うっ・・・そっ、そうだっけ・・・。ほらっ、よく覚えてるでしょ」
詐欺師 「２万なら立て替えますから、見逃してください・・・」
サザビー 「嫌だ！１０億出せ」
阿部 「ダメっ！！」
確かに我々は、依頼者さんに雇われている身で、依頼者さんの被害額だけ取り返せば
仕事は完了したことになる。
しかし、社会道義上、詐欺師を見逃すわけにはいかない。
ましてや、今にも逃げようとしている詐欺師を放っておくわけにはいかない。
阿部 「それは、依頼者さんに決めてもらおう」
サザビー 「そうだな、２万円のことも含めてな」
阿部 「それは、早めに返せ」
サザビーが電話で依頼者さんを呼んだ。
数十分後、鬼のような形相で依頼者さんがやってきた。
因果応報、悪事の金は身につかず、である。
結局、詐欺師はすべてのお金をすべての被害者に返すことになった。
そして、私とサザビーが事務所に戻ると、ある事を忘れていることに気がついた。
（た、田中！？）
携帯の着信履歴を見ると、田中からの着信で埋まっている。
そして、留守電が１件。
「ピ～、おっす、田中です。車が動きません・・・。助けてください・・・」
すまん、忘れていた・・・。
完
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また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。
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