ギリギリ探偵白書・279

 ギリギリ探偵白書
 「スナイパー・第1話」




その日、休日だった私は地元の友人のヤボ用につき合わされていた。

・・・夫婦喧嘩の仲裁であった。

学校の先生に怒られるように、何故か二人で友人の奥さんに説教をされてしまった。

私は全くの無関係なのだが・・・・。


阿部   「おいおい、勘弁してくれよ」

友人   「まっ、ほらっ、無事で良かったじゃない」

阿部   「・・・全く、オレの休みは月1日あれば、良い方なのに・・・
      ブツブツブツブツ・・・・」

友人   「もんじゃ、おごるから、勘弁して!」

阿部   「・・・仕方ねぇーヤツだな」


私と友人は古くからやっている行きつけのもんじゃ屋の暖簾をくぐった。
そこで、あまり会いたくない人物と出会ってしまった。

身長150センチ、体重50キロ、拳はつぶれ、体中に傷がある男。

私に格闘技を仕込んだ師匠である。
全ての段を合わせると、15段を超える化け物なオッサンなのだ。


師匠   「おっ、暴れん坊、いつ帰ってきた」

阿部   「今日です」

師匠   「暇か?」

阿部   「いえ、すぐ帰らないといけないので・・・」

師匠   「久しぶりにどうだ?」

阿部   「・・・釣りなら付き合いますけど・・・」

師匠   「釣りはイイや、道場に寄ってけよ」

阿部   「・・・・お断りします」


ところが話は流れ、何故か私と友人は道場に連れてこられていた。


師匠   「最近の若造は、弱い。弱すぎる。歯ごたえがなくてなっ」

阿部   「師匠、手ごたえでしょ?」

師匠   「そうだった。手ごたえ。阿部、お前の今の実力を試してやろう」

友人   「・・・頑張れよ、あべちゃん」

阿部   「では、本気で行きますよ」


このオッサン、いや、師匠は私が出会った人の中で最強である。
まだ一度も勝った事はない。
しかし、私も危険な現場を経験し、多少は腕を上げたはずだ。
どこかに勝算はあるはずだ。

私は右斜めに構え、師匠との間をジリジリと詰め始めた。
師匠は全く動かず、私を正面に捉えている。

眼光が鋭い。

殺気すら感じる。

すると、瞬間、師匠の目が大きく光ったように感じた。

私は突進して師匠の顔面に膝蹴りを繰り出した。

(当たった・・・・?)

そう思った瞬間、わき腹に激痛が走った。



        続く



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