ギリギリ探偵白書・276



 ギリギリ探偵白書
 「ペヤングとブタ刺し・第2話」


 
 探偵社が騙されてストーカー側の依頼を受けてしまった。
 一歩間違えれば、大惨事だが、幸運な事に被害を受けてる女性は
 当社の依頼者だった。探偵社と依頼者の中に入り和解話を進めた。



あとは、ストーカーを確保し、話し合いに持ち込む作業のみだ。

しかし、調査の展開は山の天候のように変わりやすい。


サザビー 「あべちゃん、ストーカー君が柳刃包丁を買ったよ」

阿部   「刺身でも作るのかね・・・」

サザビー 「それに、バイク屋さんでバイク用の手錠型の鍵を買ってる」

阿部   「・・・・参ったな」

サザビー 「車に装備品が入ってるんだろ?」

阿部   「・・・この間、新車になって・・・」

サザビー 「え?(防刃)ベストもってないの?」

阿部   「よしっ、事務所の待機班に持ってこさせるか!」

サザビー 「今は空だよ。調査立て込んでるし・・・」

阿部   「・・・なんとかする」

サザビー 「ああ、今、ストーカー君が電車乗ったぜ。俺も乗る。30分だ。
      30分で依頼者の自宅に着くぞ!!」

阿部   「了解!」


しかし、この時、我々は依頼者さんの自宅にいた。
30分で事務所に向かい、対ストーカー用装備を持ってくる事はできない。

(どうする?)


田中   「まずい事になりましたね」

阿部   「よしっ、ブー、お前はブタ刺しになれ!!」

田中   「・・・僕は脂身だらけで胸焼けますよ」

阿部   「確かに・・・それじゃ、どうする・・・」

依頼者さん「よく漫画だと、雑誌とかお腹に巻きますよね」

阿部   「そうか!!その手があったか!!」

田中   「なんか、刺される前提みたいじゃないですか」

(ん?そうか、刺されなきゃ良いんだな!!)

阿部   「よしっ、何かやる気が出てきたぞ!!」

田中   「代表、目が恐くなってますよ」


私はマンションの非常階段に場所を移した。
田中は依頼者さんと自宅の中で待機している。
サザビーはストーカーを尾行しながら、現在地を報せてくる。


サザビー 「今、エレベーターに乗ったぜ」

阿部   「了解した」


ストーカーは依頼者さんの自宅のある階で降りると、かばんから帽子を取り出し
深くかぶった。


ストーカー 「○マト便です」


そう言って呼び鈴を鳴らした。
すでにストーカーは右腕を後ろに回し、柳刃包丁を握り締めている。

私はメールで田中に指示を出した。

”ドアを思いっきり開けろ!!”

2分後、ドアが思いっきり開いた。

(ガンッ!!)


ストーカーは開いたドアにぶつかり、大きく体勢を崩した。
私はストーカーに駆け寄り、右手の手首を蹴り上げた。

柳刃包丁はエレベーター方向へ滑り飛んだ。

それとほぼ同時に私は、ストーカーの咽喉に一撃を喰らわせた。

ストーカーは咽喉を押さえたまま、うずくまった。

その後、ストーカーが落ち着くのを待って騙されて調査をしてしまった
探偵社と依頼者を含めた話し合いがファミリーレストランで行われることになった。

ストーカーは小さな声で、「すみません」を連発していた。


        完



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


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