
内臓肉である腎臓を食肉業界用語で「まめ」と言う。豚の腎臓が「そら豆」に似ていることからついたようであるが、牛のそれはブドウ状である。
秋山徳蔵さんは「料理のコツ」の中で内臓の調理法を簡潔に記している。
モツは、むしろ肉より栄養に富み、部位によっては肉よりうまいものがある。そして、値段も安いから、これの料理をもっと研究し、もっとドシドシ利用することをおすすめしたい。次に、各部位について、いちばん適した調理法を述べると-
腎臓(仏、ロニョン 英、キドニー)
独特の匂いがあるが、コリコリした歯あたりがいい。炒め焼きが一番うまく、蒸し煮もよい。
私は腎臓を次のように処理している。腎臓に付着しているケンネン脂と筋を丁寧に取り除いてから5mmの厚さにスライスする。これを何度か水の中で揉み洗いして臭みを和らげる。処理の終わった腎臓の水気を拭き取り食べやすい大きさにカットする。
中味噌に酒と味醂と濃口醤油、そして隠し味に少量のウスターソースを加え味噌ダレを作る。調合に自信のない人は市販の焼肉のタレ(味噌味)を酒で薄めて使うとよいだろう。
野菜を炒めてから腎臓(今回は心臓も加えた)を投入し塩、コショウをしてから味噌ダレを追加する。刻みネギを最後に足してタレを絡める。くれぐれも加熱しすぎには注意して欲しい。適度な歯ごたえの腎臓は病み付きになる美味しさである。ちなみに100グラム70円程度の安さである。

