ゴールデン街中央に歩を進めた。ディープな飲み屋ばかりだ。
森山は本気でここで探そうとしてるのか。バイトは俺だよ。こんなところで働く気はしない。
「森山、オレ、ここ、正直言って嫌だよ。いくらなんでも」
そう言ったのに森山はどんどん進んでいく。なんだよ開こえてねえのかよと一人ごち。
「あ、あった」店名が腐食と汚れで読みとれない。
「こんな真っ昼間からやってねえだろ」
「いや、この店は24時間開いてるはず」
おかしいなと独り言をいいながら森山は店を覗いた。
「おやっさん体調悪そうだったからな。大丈夫かな」
「森山おまえよく来るのか」
「まあ。たまに」
三郎太は首をひねった。――まさか高校のときから来てるわけねーだろし。バレたら停学どころじゃない、退学だ。ということは浪人中か――
「ここよ。おもしれーんだよ。ここのママの得意技。おしぼり二本で卑猥なものを作る天才。5分も掛からないでアレそっくりに作る」
「うん? 何、アレって」
「男と女だよ」
「はあー?」