TamonTokyo - 多聞 ブログ

少年サッカーから私立中学受験、そして中高一貫校の生活などを書いていきます。

大学合格比率の階層分析 - 男子編

2008-12-25 | 中学受験・大学合格実績
大学進学実績指標のジレンマ:
中学高校の進学実績分析では東大合格者数など様々な指標が使われます。東大は一人で複数合格とか辞退とかが少なく分かりやすい指標なのですが、誰もが東大を目指すわけでなく、目標が一橋、東京工大などや早慶などの場合に、東大進学数や率がよければそこも比例するとは限らないため頼りにしにくいという問題があります。

一方、早慶やMARCHなどの私大は学部などでの重複合格があるので延べ合格者数で分析しても、重複率が分からないから比べにくいという問題があります。このあたりのニーズを吸収して進学者実績が載った週刊誌が売れたり、またそのデータをありがたがる風潮があります。Inter-Eduの掲示板でもそこを釘さすコメントをいただきました。

しかし、週刊誌データは、回答が網羅的ではなく回答拒否の学校もあり、何より、学校の公式発表データ以外のものを分析基礎データに使う問題を感じます。大学合格者実績なら公開する歴史も長く、データへの責任もあり、学校として正確性を期したデータになっているでしょう。しかし、週刊誌が発表する進学者データは何の保障もありません。

大学合格数データから、重複合格の傾向を眺める:


まず、大学合格数データでその重複合格の傾向を見てみます。進学者数のみ公開の武蔵は便宜的に重複率1.0 として扱っています。武蔵を例外とすると一番重複合格の係数が低いのが筑駒で1.9であり、一番高い芝の3.5とはかなり開きがあることがわかります。

重複合格が多い私大の合格数を比べる意味は無いのは確かにそうでしょう。

大学合格比率分析の試み - 私大は分母を総合格者数にして、比例配分:
公式発表データから各校を比較できないかという狙いで、私大は大学総合格数を分母にし、比例配分することで比較できるようにしたのが、この大学合格比率データです。

重複合格がほとんど無い、国公立は受験者を分母に比率を見て、重複のある私立大学については、足して100%となるように補正した比率を表にしました。
グラフ化したものが下のチャートです。

補正することで、多少データの「ゆがみ」はあるにしろ、ある程度比較ができるようにしています。進学者データなので、合格者比率より有名大学を選ぶとすると、武蔵の内訳は他より「見栄え良く」出ている可能性がありますが、国公立を振って早慶などに進んだデータは表に出てこないなど、逆になっている可能性もあります。

こういう比率の積み上げグラフにすると、東大合格者比率だけでは学校の実力を測りがたいことが理解いただけるかと思います。筑駒と麻布の比較にはいいかもしれませんが、都立武蔵、本郷、世田谷学園あたりを比べるのに東大のものさしはごく一部だけを見ていて全体を現す尺度ではないことがわかるでしょう。

都立武蔵など、国公立に強い中堅校は早慶とかの指標では弱く見える可能性がありますが、全体構成のグラフで見れば、その傾向とともにいろいろなポイントで見比べられるでしょう。

その他の私大の比率を主に使って並べたので、ここで都立武蔵は芝の後、本郷の前にきています。

結局のところ、中学・高校に入ってからが勝負:
人それぞれいろいろな感想を持てるデータだと思いますが、私は、よりよい中高一貫校に入ればもう将来安心ということではないということを改めて実感しました。
有名大学の付属中学ならある程度約束されるようではありますが、内部での競争もしっかりあることに変わりありません。
自分に合う学校、楽しく過ごせる学校で充実した学生生活を過ごせるのかどうかが重要であり、いい学校よりは自分に合う学校が重要でしょう。

そして、たとえ中学受験に失敗したとしても、高校受験にむけてやり直し、高校時代をしっかりすごせば大学進学でいい結果を得る確率はそれほど変わらず得られるのだなと改めて実感しました。

中学受験日が間近になり、最後の追い込みとついせきたててしまいますが、これで人生が決まるわけでも何でもないのだなということを親の側だけでも冷静に理解し、しっかりと支えてあげたいものです。

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4 コメント

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もう将来安心!? (アンダンテ)
2008-12-26 11:05:24
…なんてことはないですね、そりゃ。

どんな「超」進学校でも、学校がなんとかしてくれるわけじゃなくて自分次第。

> いい学校よりは自分に合う学校が重要でしょう。
ほんとにそう思います。

多聞さんのこのチャート、見やすくてわかりやすいですけど、だからどうだというと難しくて(^^;; むしろこの中でどうなっていけるかということが問題なので、そのタイプの子が伸びる校風の学校かどうかというのが大きいわけですよね。入る前にはわかりにくいですけど。

私自身は、中学受験全敗はよい経験だった、いやよい経験に「なった」と思っていますが、子どもに全敗してほしいというわけではまったくないです(笑)。
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Unknown (多聞)
2008-12-26 20:15:59
アンダンテさんコメントありがとうございます。
このチャート、いろんなことが言えるなあと眺めています。
たとえば、本郷と世田谷学園、東大や難関国公立などで分が悪い本郷ですが、その他国公立は意外に稼いでいて、入り口に見合うかはともかく、出口成績は世田谷学園よりは上だったように見えるとかです。

我が家だとまだ中学受験にかけた労力が比較的少ないせいか全滅してもたいした問題じゃないという気がしています。この心境のまま2月を過ごせるのかどうかは定かではありませんが....。
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私立 (半兵衛)
2008-12-27 00:55:17
上の子は「超自由校」なので「とにかく、なんでもいいから自分の力でやることを見つけなさい」という方針だし、実際、それが徹底しています。親が大変かといえば、慣れれば意外に気楽。
下の子は躍進目覚しい学校。厳しいかといれば意外に自由放任。でも、知らない間にやることはやらされている。「最低限の勉強量は確保しておいて、あとは本人の自覚を待つ」方針らしい。それはそれで、親も楽。
どっちの学校も公立じゃ無理だよなという環境は提供される。私立だって公立だって、結局は自覚して自分で勉強できるようになればいいということなんだけど、そこに至る過程がだいぶん違う。
とはいえ、上の子にはそろそろ自覚してもらわないと(苦笑)
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確かに校風と学友、人脈は重要 (多聞)
2008-12-27 01:09:29
半兵衛さん、
いろいろデータを見て志望校を決めたのですけど、結局、進学実績は指標の一つに過ぎず、結局子供に合う学校だったらどこでも幸せに過ごせるんだなとかやっと実感してきました。データを見て悩んだからこの境地に至れたんだとは思います。

そこで、校風とか、影響を受ける度合いが大きい学友、そして先輩後輩の人脈とかあって、伝統校のよさを改めて最近感じてます。新興中堅校に進めるのと、都立西や都立武蔵とかの都立トップや二番手高校に進めるのとどっちがいいのか?逆に言うと一長一短あって合う学校にいければそれでよいのでしょう。

ともかくまずはあと一ヶ月あまり、算数を仕上げることに集中して親子でがんばります。引き続きよろしくお願いします。
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