TamonTokyo - 多聞 ブログ

少年サッカーから私立中学受験、そして中高一貫校の生活などを書いていきます。

中学受験率と、地頭の偏差値との相関を考える(2) 実際の分布と私立中学選択の合理性

2009-07-03 | 駆け込み受験・中学受験
前回は「 中学受験率と、地頭の偏差値との相関を考える(1)大泉英数研究室の理想を絵に 」では、将来のポテンシャルでの偏差値という仮想的な基準で、優秀な人は皆私立中高一貫高に行き、トップ公立高校の大学合格実績を上回る場合を考えてみました。

ある意味で「正しい」というか、「間違っていない」世界なのですが、現実は違っていそうです。

では、現実はどこが「間違っている」のでしょうか?それとも野人博士の理想の方が間違っているのでしょうか?

■私の考える「正しい」とアプローチ方法
ここで私のスタンスを補足します。
 『起きていることがすべて正しい』という前提で考えています。この言葉は、今注目のアナリストでベストセラー作家勝間和代さんの座右の銘です。 「正しい」理論からあるべき、姿(To Be)が導かれるのに現実(As Is)は違った状態ということはママ起こります。

それは、現実が間違っているから と考えることも可能ですが、中学・高校受験での現実は、株価の動きにも似てそれぞれの意思決定権者が個々にベストと思う選択をした結果の反映です。

実はその選択は間違っていてもっといい選択もあると説くのが、野人博士だとすると、現実を受け入れてなぜそう成っているのを考えていくアプローチが私の考え方です。


■最難関中高の高校入学枠比率や、偏差値差の相場から推定した受験層分布

そもそも、考えているのはポテンシャルとしての偏差値なので、正確なデータはどこにもありません。それを「フェルミ推定」という今ある手がかりから類推して、八掛け、半分や二倍、六倍程度の誤差はいいとして、桁違いにまではならないように現実を推定する方法論で推定してみました。

手がかり1: 最優秀層の中学受験率は75%前後
筑波大付属駒場の高校から入る生徒(高入・新高)比率は約24%<wbr>、開成高校では約25%あります。
「最優秀は中入だけど、最下層も中入で、中間は高校から入った生徒が占めていた」(出典は3年程前に卒業した自分)
とかいう証言もある一方で2009年入試では、高校から入った生徒が苦戦したという情報もあります。

いずれにしろ、75%というのは一つ使えそうです。

手がかり2: 高校受験の偏差値は、中学受験より10ほど高く出る

高校受験では駿台模試とかが指標にされているのですが、これは、母集団が全体ではありません。一方比べられる対象も、四谷大塚か日能研で、首都圏模試とかよりは数値が低めに出る方が指標とされます。差を10にあわせる意味はなさそうですが、ある程度の目安にはなります。

試案 :中学受験率25%で、上位受験率79%の世界

いろいろ、Excelをいじってみましたが、グラフの「絵」としては、概ねこのような形になりそうに思います。
このグラフでは、全体偏差値の62あたりに、中学受験のピークがきており、高校受験のピーク49とは13差です。


その、グラフの右下のほうだけ拡大してみました。

ポテンシャルが上がるほど中学受験率は上がるが、それは8割程度で頭打ちになると想定しています。

早慶に3割合格できるポテンシャルというのがどのあたりに線が引かれるのか分かりませんが、仮に65だとします。
グラフで、緑三角の高校受験生の集団で上位を着実に集めればそういう学校が生まれてくるのも説明できそうです。また、ある線より下に中学受験生が多数存在しているという「現実」にもあっています。

さて、野人博士は、 新検証 通うに値するか? 渋谷学園渋谷 で推定の難関大学現役進学率データから、以下のように考察されています。

渋谷学園渋谷中高等学校

S=2214, G=66 ですので、

W=29.5(%)

渋谷学園渋谷中高等学校の格付けは C ということになります。

以下の格付けの評価は私的なものですので、異論のある方は上の合格実績の数字のみ参考にして下さい。

C ・・・公立トップ校と同等の合格実績では、高額な学費を払ってまで通う価値があるとは言い難い。公立中学に行ってトップ公立高校に行けば6年間の高額な学費を払わずに済むのだから、その方が賢明と言える。

主張が整理されて分かりやすくなりました。都立日比谷高校に率で負けている私立中学などに行かずに、公立中学から日比谷高校に行ったほうが賢明という命題です。

だだ、これには大事な前提が大きく欠けています。

渋谷学園渋谷中学に合格できる生徒なら、必ず、もしくは高い確率で、日比谷高校に入学できるのか?という問題です。

必ず日比谷に入れるのなら、安く済みそうな公立コースが確かに、魅力的でしょう。一方、英語に数学と新たな教科が始まり、そこで躓いて公立トップに進学できない率を考えると、公立コースをとった場合の難関大学現役合格の期待値は下がることになります。

渋渋合格者が都立日比谷に合格できる確率を75%と高めに設定してもその結果の難関大学合格確率は22.5%になってしまいます。50%なら、30%の半分15%です。

渋渋より大学合格実績が低い学校は概ね、中学入試の偏差値も低くなります。そういう学校を第一志望とされる生徒さんは、都立日比谷に合格できる確率も下がると考えられます。

結局のところ大学合格実績だけ見て、その中学に通う価値があるのか?を云々する手法自体に疑問を感じます。

とはいえ、こういった考察をするきっかけを作ってくださった野人博士には感謝しています。正直、考察された結論は同意しかねますが、私の発想を超えたご意見で考えが深まりました。

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中学受験率と、地頭の偏差値との相関を考える(1)大泉英数研究室の理想を絵に

2009-07-02 | 中学受験と高校受験
前回記事、高校受験専門塾 大泉英数研究室の進学実績分析から、トップ都立高校合格の確率を想う で問題を指摘したおかげか、野人博士は、予告!!新検証                      通うに値する私立中学は存在するのか?②
を始められたようです。早慶の現役進学者数(週刊誌データ)を追加されて、都立日比谷の30%をベンチマークとして、それ以下の私立学校は、高い学費を払って通うに値しないと定義されています。

トップ公立高校の合格実績の数値は約20~30%ということが分かりました。

この数字を基準にして、通う価値のある学校であるかどうかを評価していくことに致します。

高額な学費を払ってまで通うに値する私立であると認定するには最低でも30(%)の合格実績がなければならないと言えると思います。

命題に矛盾があるかを検証する時に、その極端な場合とか、等価的な別の命題に置き換えて検証をする場合があります。その手法で、私立中学受験生は必ず、公立中学から公立高校トップ校に進んだ生徒に大学合格実績で勝てる世界を考えてみました。

要するに、地頭がいい生徒のみが私立中学受験し、その学力格差は全く変わらないという世界です。

下のグラフは、横軸が偏差値でそれぞれの層に1000人中何名いるかを縦軸として表したグラフです。母集団は正規分布というなだらかな曲線で中央が厚く分布しています。


この世界では、ポテンシャルが低いのに私立中学の学費を出すのはもったいないと受験させません。中学に入ってからとか、高校でも序列は変わらないので、赤丸の中学受験の層は、緑の三角の高校受験の層に大学合格実績で負けることはありません。

公立トップ高校にすべての私学が実績で上回るという世界はこういうような世界となります。

ただ、実際問題、筑波大学付属駒場や開成高校で高入生に約25%ほど門戸を開いており、最近高入生の実績がいまいちとか声はあるにしろ、とにかく、それほど中入生に負けない実績を少なくとも過去は出してきました。そして、中学に入ってから6年間もあるので、伸びたり、勉強を止めてしまったりとかの変動は必ずある程度起きるとも考えられます。

また、野人博士の、損得勘定と違い、実際の世界では、地元公立中学をとにかく避けたいとか、難関国立に早慶を想定しない中学受験生もいます。極論が不自然だとして、実際に近い分布はどうなのか?
公立トップ高校の実績はすごいのか?はたまた、公立高校の中で序列化、集約化が進んでいるだけじゃないか?ということを考えていきます。

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