TamonTokyo - 多聞 ブログ

少年サッカーから私立中学受験、そして中高一貫校の生活などを書いていきます。

高校受験専門塾 大泉英数研究室の進学実績分析から、トップ都立高校合格の確率を想う

2009-06-24 | 駆け込み受験・中学受験
高校受験専門塾だから、中学受験志向を落ち着かせて高校受験に振り向けたいのでしょうけど.... 検証 通うに値するのか?  都市大付属 の 分析は、見事に、東京農大一の分析と同じことの繰り返しでした。
立場を踏まえた宣伝のためのポジショントークとは分かってはいてもこの強弁は納得いきません。
そして、塾の公式サイトとあわせて読むとあちこち矛盾があることに気づいたので、私の感じた問題を書き表してみることにしました。感情が先走って、至らぬ表現や誤解があるかもしれませんが、そこは、指摘いただけたら再考し、謹んで訂正させていただければと存じます。

それについけても、データから意味を取る洞察力というのは非常に大事なことだとというが私の信条です。本気でそういう洞察をされたのか、はたまた、ポジショントークを貫かれているのか、ここは、大胆な投稿で本音を窺いたいと想いました。

■難関国立現役合格率を中学の指標と考える問題
野人博士の格付けは、難関国立大学への現役合格者比率で出されています。この指標で測ると、慶応義塾付属といった難関国立大学への進学を考慮しない学校は、

X ・・・考慮の意味なし。中学受験の勉強を何もせずに
公立中学に入学した生徒達の大学受験結果と大差ない
ということを肝に銘じるべき。


という扱いになってしまいます。

ちなみに、都市大付属(旧 武蔵工大付属)は、進学校化と中高一貫校化でここ数年人気を集めた学校で、私の知る限り、中高一貫生の卒業はまだありません。また、完全中高一貫化を予定して高校入試は廃止の予定です。

そういう学校の紹介で、

都市大付属中の偏差値は日能研で58、都市大付属高の偏差値は駿台で44です。

という東農大一と同じ書き出しから、

中学入試の偏差値より高校入試の偏差値の方
がかなり低い学校がありますが、このような私立
中学は何のために存在しているのか不思議にな
ります。


と結論付けられるあたり、この現象を不思議と思う、野人博士の洞察力を疑う記事になっています。進学校という意識はあまりなく入って卒業された皆さんや、先生方に非常に失礼かつ的外れな分析だと思います。

【難関高校(駿台模試偏差値50~59)】 という
 とても甘い塾の難関の定義


一方、 大泉英数研究室 の進学実績績 ページでは、とても辛口なブログとはうって変わって、甘い 「難関高校」の定義がされていました。「駿台模試 50以上」というものです。(駿台模試偏差値60以上 は最難関)

駿台偏差値50以上ということで、
成蹊高校      1名
日本大学第二高校     1名
といった実績もカウントされています。
最難関高校には、中学に対しては、

E  ・・・高額な学費を払って中学から通う価値はないと言って過言ではない。公立中学に行ってトップ公立高校かランクD以上の私国立高校を目指すべき。

と切り捨てられた、豊島岡女子学園高校 のほか、私が知る限りほとんど国立大学に卒業生が進まない、早稲田学院も含まれます。

卒業生の約3/4が難関高校に合格!

と大書された、分子は、 「難関高校に合格した卒業生徒数」であり、そこに中学の価値を認めない高校が列記されているというは、非常に不思議です。

そして、ブログではトップ公立高校を推奨されているのに、過去7年間の合格実績で

都立日比谷高校 1名
都立国立高校 1名

という結果を不思議に思いました。指標にされている、都立西や日比谷に大量に送り込まれているが故のポジショントークと思っていたのに、非常にがっかりしました。むしろ、慶應、早稲田、ICU、立教、専修、日大、成蹊の付属が目立ち、都立高校はあまり目立ちません。

都立高校トップに7年間で2名という実績を拝見するに、都立トップ校への道は想像する以上に厳しいものなのじゃないかと感じてきました。


結局、学問に近道はなく、高校受験もそれなりに厳しそうというのが塾の実績を拝見すると分かったのですが、それと比べて、ブログでの私立中学への厳しい言葉のギャップの方が不思議です。

いずれにしろ、数日、高校受験から難関国立大学への何かすごい近道があるのじゃないかと漠然とした期待を持ってしまった自分に、少し幻滅と反省を覚えています。

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都立西高校の出身中学地域データから高校受験に賭ける価値を考える

2009-06-24 | 中学受験と高校受験
都立西高校は東京の西方面の親御さんには気になる存在じゃないかと思います。都立日比谷の方がかつて目立ちましたが、学校群にめげずにコンスタントに進学実績を出し続けたおかげで、人脈とかの伝統校としてのメリットも感じられそうです。

我が家でも、中高一貫高と都立西の実績を比べながら、不本意な中学受験の結果だったら高校受験でやり直すのはどうか?とか考えました。
おかげさまで我が家では満足のいく結果となり、中高一貫高へ進んだわけですが、地元公立高校から高校受験で立て直そうという話も漏れ伝わっています。もし、高校受験の方がより有利ならそちらを選んだほうが得策ということもあるかもしれません。

そう漠然と考えていた中、ちょうど高校受験専門塾で、通うに値する私立中学があるのか? という連載を拝見したので逆に考えてみることにしました。
中高一貫高に行くチャンスを見送って高校受験にかけるチャンス(期待値)はどの程度あるのか?まずは、データが無いと始まらないので、何かと私立と比べられる、都立西高校のデータを概観してみます。まずは公式サイトにあった出身中学校の分布データから。

■都立西高校 出身中学の分布推移


※ 出典:公式サイト http://www.nishi-h.metro.tokyo.jp/nishi-h/6nyu/20shushinchugakutizu.html

まず目に付くのは、地元の杉並の公立中学出身者が減っていることです。また、遠隔地グループの町田・八王子は数を増やしており、より遠くから生徒を集めるようになっていることが見て取れます。また、国私立出身者も増えています。
そんなグループ分けをまとめたのが以下の表です。

.

H18H19H20H21H18-20比

.

地元3地区118102859076%

.

周辺6地区123134119126102%

.

八王子・町田21332538181%

.

国私立18222128156%

.

その他78601037292%

杉並、武蔵野の減少を三鷹の伸びでは補えず、地元は減少しています。都立西に人気が集まるにつれ、地元だから目指した層がはじき出されているのではないかという所感を持ちました。元々有力都立が無く、多くの生徒を集めていた練馬も減少傾向にありますが、ここでは、調布や府中の伸びと相殺されています。

その他地域は23区とその他の多摩地区がほとんどでしょうが、その他がそうは伸びてないこと、日比谷に出やすい板橋からほとんど伸びてないことなどから推定すると、都立日比谷といった都心の都立はまた違う通学圏を確立しているようです。

そう思って都立西のサイトをを眺めると、都立国立高校のある、国立市と地元の国分寺市ではむしろ減少気味なことも読み取れます。

なんとなくですが、都立高校でトップは西、日比谷、国立(クニタチ)の三校時代になっているという声がうなずけるデータです。


中学受験を止めて都立西受験に賭けるチャンス(期待値)はどの程度あるのか?

さて、そもそもの素朴な疑問、都立トップ校の受験に賭ける価値を考える前に単純な確率を計算してみました。都立西の地元、杉並区は、西武線、中央線、井の頭線、京王線、地下鉄丸の内線、とおおざっぱに5つの路線が走り、都立西より日比谷が身近なエリアも無くはないのですが、ここでは他の都立高校を目指す生徒は居ないものとして考えます。また、公立中学の卒業生は2100名で一定として計算しました。

.

H18H19H20H21

.

杉並 入学75695955

.

進学比率3.6%3.3%2.8%2.6%

進学確率は1%程度減っています。 Inter-edu の掲示板のコメントでも5名以上合格者を出している杉並の中学がH19に5校からH21に2校へ減っていると紹介されています。段々地元の人気が落ちているというより、人気が広域化して地元から進みにくい学校になっている様子です。

学問に王道は無く、大学進学にも王道は無い?
最近、思うのは、大学進学に近道(王道)は無いのじゃないか?ということです。私立も公立も進学実績を上げようとがんばっている中、天国への階段というか、抜け道なんてそうそう無いのじゃないかと思うわけです。もちろん、勉強成果があまり出てない、「悪路」と疑われる学校はいくつか見つけているのですが、そこを避けたら後はあまり変わらないような気がしています。

もちろん、どの学校も同じではなく、子供に合う合わないという問題はあります。
夜遅くまで宿題をそれなりに楽しんでやる息子に付き合っていて、こういう宿題が出る学校に進ませてよかったなとか思うに、学校選びは相性の問題が大きいなとつくづく思います。

万人に勧められる学校というものはないでしょう。進学実績抜群の学校だって、そういうすごい生徒が集まっているから結果が出ているわけで、まぐれで入れたとしてそれは恐らく不幸の種でしょう。

都立トップ校を目指していたらどうだったか?という想いは、私にいろいろ面白い面白い疑問を投げかけてきます。また別の発見があって、記事を公開できることを楽しみにしています。

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通うに値しないと言われた 東農大一中の魅力を 考え直す

2009-06-23 | 駆け込み受験・中学受験
高校受験専門 大泉英数研究室 という塾の公式サイトに相互リンクされているブログ「高校受験専門塾・野人博士のボヤッキー」で気になる記事を見つけました。
検証 通うに値するのか?  東農大一                    今日のベーシック数学
という記事とその一連の記事テーマ、通うに値する私立中学は存在するのか? の記事です。長いのですけど、元記事が消えたり変わったりする可能性もあるので長めに引用しておきます。


東農大一中の偏差値は日能研で56・59(男・女)、東農大一高の偏差値は駿台で44・45(男・女)です。

数値を出す前に東農大一がどの格付けにあたるか想像してみて下さい。

合格実績算出式についてはこちら

(中略)
X            2(%)未満

では、算出してみましょう。

S=416, G=0 ですので、

W=0(%)

って、東京農業大学第一中高等学校の格付けは X ということになります。

X ・・・考慮の意味なし。中学受験の勉強を何もせずに公立中学に入学した生徒達の大学受験結果と大差ないということを肝に銘じるべき。

あまりにひどすぎてコメントの仕様がありません・・・

公立中学に入学した生徒達の大学受験結果と大差ないというより、負けているでしょう・・・

日能研で偏差値56・59(男・女)もあってこの学校を選ぶ意味が分かりません。

東京農業大学の内部進学狙いなのでしょうか??

理解不能です。

東農大一以外にも中学入試の偏差値より高校入試の偏差値の方がかなり低い学校がありますが、このような私立中学は何のために存在しているのか不思議になります。

小学生の時から受験勉強をしている生徒だけの集団(中学受験組)の中での偏差値の方が、中学受験組が抜けた後の中学生の集団(高校受験をするのはほぼ全員)の中での偏差値よりも低くなるのが当たり前だと思うのですが・・・

高い授業料を払って3年間通っても、普通に公立中学に通っていた生徒の学力に敵わなくなるというのでは意味不明です。

中学受験をさせたから、希望の学校でなくても、とにかく受かった学校に通わせるという保護者が多いように思います。

子供にとって私立中学に通うことが本当に良い結果に結びつくのかを熟慮していただきたいものです。

保護者の見栄やプライドで子供を私立中学に入学させるのだけはやめていただきたいと思います。

この野人博士は、難関国立大学・医学部(東大、京大、一橋、東工大、国立医学部)のみなし現役合格者比率で独自の指標を作られて、AAAからXまで格付けされています。

大学合格実績だけで通うに値する私立中学が検証できるのか?納得いかないのですが、公立中学と比べて学費がかかる私立中学は、国立大学の進学実績を出せないと存在意義が無いというお考えのようです。

そういう考えはあっても不思議ではないですが、東京農業大学第一高等学校中等部についての分析には致命的な問題があります。

高校卒業者をまだ出していないのに、東京農業大学第一高等学校中等部の存在意義を東京農大第一高の進学実績で論じている

のです。掲示板のコメント欄でも指摘したのですが、無視されてしまったので、繰り返し指摘しておきます。

2005 年に中高一貫高に変わってまだ途上で、卒業生を2009年段階で出していないのです。今の卒業生は、中高一貫で進学校化する前の、東京農大付属という位置 づけの高校に3年間だけ通われた卒業生です。しかも、進学校として生まれ変わる前の付属校という位置づけの学校の実績です。
> X ・・・考慮の意味なし。中学受験の勉強を何もせずに公立中学に入学した生徒達
> の大学受験結果と大差ないということを肝に銘じるべき。

とか言われても、中学受験した生徒の実績じゃないのに勝手に誤解されているだけであり、ちょっとあまりに誤解も甚だしいと思いました。

また、
> 東農大一以外にも中学入試の偏差値より高校入試の偏差値の方がかなり低い学校があ
> りますが、このような私立中学は何のために存在しているのか不思議になります。
と言われていますが、そこは、中高一貫高で学ぶことに価値を見出して人気が集まっているという状況を理解されていないのか、あえて無視されているから、存在意義が不思議 とおっしゃっているようです。

高校受験専門塾だから、中学受験の意義を貶めたいという意図は分かりますけどあまりに見え透いた強弁、論理の飛躍は書き手の 論性を疑われるもとなので、もう少し、冷静に書かれた方がいいように思いました。

そして、最後に次の投稿で論じたい点を紹介しておきます。

こ の野人博士は、都立西校、都立日比谷、県立浦和の現役での難関国公立進学比率を基準に、その水準を大幅に超えないと、私立中高一貫高の学費を払う異議が無 いと論じられています。私も都立西と中高一貫校の進学実績を見比べながら、どっちがいいのか、考えたので、黙っていられないのですが、それは非常に複雑 で、一概には言えないということです。

野人博士が、指標とされている、現役での東大、京大、一橋、東工大、国立医学部の合格数率は、 東大志願比率が低いほど上がりやすい側面もあります。都立の重点校が、一橋、東工大の合格者数を増やすことを目標に指導されていると聞くこともあり、都立 西や日比谷に有利な指標を恣意的に選ばれているのじゃないか? という疑念がぬぐえません。

また、学費についてのご自身の価値観を普遍的なデータであるかのように基準にされているのも問題です。世の中にはそれほど学費を痛手と思わない家庭もあります。また、付属から慶應義塾大学の人脈を築きつつ、育てる方がいい という家庭もあるでしょう。

東大合格者数だけじゃよくないという意見も分かるのですけど、誘導したい、都立高校受験に有利な指標を恣意的に使って論理を摩り替えているのじゃないか? という疑問は大いに残ります。

そして、駆け込み受検で結局中高一貫高に進めてどうだったのか?都立高校受験でやり直すという選択肢の価値はどの程度あるのかをしばらく考えてみます。

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ややサッカーに重点を置いて勉強とバランスの取れた中学を考える

2009-06-19 | 駆け込み受験・中学受験
勉強優先でサッカーもやれる中学を考える を書いて一年弱。結局息子は、勉強優先でサッカーもやれるという路線に進みました。

では、もう少しサッカーに重点を置いてみたらどうかを考え直してみました。前回も使ったデータ表

追記したい学校としては國學院久我山です。高入生にはじき出されそうとか、中学年代の試合頻度が低そうとかありますが、去年新式人工芝グランドができて、何より進学実績ものぼり調子ということで、がんばり抜ければ、高校サッカー選手権も現実的というところは魅力です。

学校/クラブ 練習場広さ 練習場質 練習場近さ 練習頻度 人数 日能研R4偏差値 サッカーレベル
開成中学 広い
至近
多い 71 B
麻布中学

至近
多い 67 B
武蔵中学 広大・専用 新式人工芝 至近 週4 普通(約30) 63 A
海城中学 広い 至近 週3 多い 61 B
桐朋 広い
至近
多い 61 B
暁星中学 普通 人工芝 至近 週6と朝錬 特に多い(90) 60 3
本郷中学 広い 新式人工芝 至近 週3(高校5) 特に多い(94) 59 A
渋谷学園渋谷 狭い
近くと遠く
普通 59 C
学習院 広い 人工芝 至近

59 C
攻玉社中学 普通
遠い
多い 57 A


そして、大学付属系の、中学。

勉強のバランスを考えると繰り返しになりますが、都市大付属はけっこういいと思います。何より校庭がきれいです。

明治、法政、日大、東海大は情報が無いのですけど、進学先を確保しやすいなかで部活に打ち込めるという魅力はあるので、サッカーのレベルにこだわりが薄ければ十分有力な選択肢だと思います。

また、質問いただいた、かえつ有明と法政大学の関係。Inter-edu の掲示板で旧嘉悦の敷地売却の見返りとかをほのめかす投稿を見ましたけど、うわさ程度に考えればいいと思います。そしてまた、サッカーで知名度を上げようとする新興校固有の問題の情報も、うわさ程度には考慮に入れて木になられたらご自身で確認されたほうがいいと思います。

いずれにしろ、「文武両道」を掲げる学校の実態は、文武分担制なのじゃないかと疑って確認する必要があるでしょう。伝統の國學院久我山も、週刊東洋経済の記事ではやっと近年本格化してきたのかなという印象を持ちました。


結局は、本人がやる気をもって勉強とサッカーをしっかりやるしかない

大学付属で、という場合に、中学入試でがんばって道を確保した上で中高とサッカーをしっかりやる という思惑がある方もいらっしゃるでしょう。

しかし、息子が中学生になって改めて思うのは、本人が自覚を持って人一倍努力して、勉強とサッカーをしっかりやるしかそんな両立はできないということです。付属に入ったからといって100%、大学に行ける安心の通行手形が入ったわけではありません。

サッカーが上手くなるには、ある程度本人にちょうどいいレベルのチームとよい指導者、試合機会などに恵まれてということも大事ですが、その前提となる、本人の努力と練習が何より欠かせません。
そして、勉強をしっかりやって身に着けてもらうにも、日々の鍛錬が欠かせません。

後々安心なようにと、いくら環境を整えても肝心の本人がしっかりしてくれないことにはそれが生かせないので、結局のところはどこに行ってもやる気と努力次第ということをだんだん感じています。

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週刊東洋経済 「学校激変」から更に激変した『お買い得』ランクの裏

2009-06-17 | 中学受験・大学合格実績
週刊東洋経済で、「本当に強い中高一貫高」という特集が出ていました。ちょうど2年前の特集「学校激変」での卒業時偏差値と入学時偏差値の比較データはとても感心したのですが、その2年前から、伸び率についてはランキングが更に激変しておりました。

数日首をひねってだんだんそのからくりが見えてきたのでご紹介します。一言でいうと、 要注意 です。

「学力伸張度ランキング」は、卒業時偏差値50ちょいの学校 というコップの中の争い

卒業時偏差値50以上というレギュレーションの問題が2007年と2009年で比べた結果見えてきました。前回1位の、青稜、2位の聖徳学園、そして4位の順天も83位ランク外に消えるという事態が生じています。

その2位の聖徳学園の公式サイトトップからのリンクで、当該記事の抜き刷りを今現在読むことができます。

上位2校はそれぞれ卒業時偏差値が50.3と50.2でそれぞれ偏差値16以上伸ばしたとして載っていました。それが消えた理由として2009年データで偏差値50に届かなかったのじゃないかということが考えられます。

これは逆に考えると、惜しくも卒業時偏差値40台後半でランクインを逃した多くの学校が隠れているということが想定できます。

そもそも、入り口のデータが日能研R4(合格確率80%)偏差値データから一番低い入試日のものを選んで算出されています。この結果、複数回入試で偏差値が高めに出やすい後の日程の生徒比率が高い学校は、その入学者平均偏差値より、「入り口」のデータが低めに出ます。
その結果伸びが大きい学校と測定されやすくなります。

また、地域による差も大です。周辺に有力私立が無い中学では、進学者平均偏差値とボーダーラインであるR4偏差値に大きな違いが生じるため、「入り口の下限」と「出口の平均」比較という意味合いが濃くなります。

2007年、2009年連続して上位にランクインした暁星国際は帰国子弟受け入れと全寮制を特徴のある学校であり、入学者平均偏差値はより高くなると考えられます。

そういう補正を考え抜かないと、その意味は読み取れないと思います。

中学受験界の出版物データはまだまだ問題だらけ

東洋経済の記事では、私立躍進校ルポがでいくつかの学校が取り上げられています。そのうち、豊島岡女子学園、國學院久我山の2校は2004年と比べた東大や総計の合格者数が伸びているとして取り上げられています。

単独の読み物としてはいいのですが、前回の特集で注目された 入り口/出口比較 という方法論に照らしての検証はされておらず、経年変化のデータも5年前と今年というピンポイントのものしかありません。もっともっと突っ込んだデータ分析が読めるのはインターネット上だけでしかありません。

週刊誌の特集という性質を考えると、受験準備の仕方とか情報の収集の仕方とか抑えるべき記事も多く、いきなり深い分析をしにくいのも分かりますが、いずれにしろ、過去の記事と比べての検証、前回を踏まえての今時点の見解とかいう、先に進んでいくような分析が積み重ねられていないことに少し落胆しました。

まあ、そのうちそういう問題を解消されるいい本を出される方が出ると確信できたのでその点はよかったと思います。

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中学受験親視点から見た東京の高校サッカー事情

2009-06-14 | 子供の教育・中高一貫校生活
久我山OBさんから、コメントをいただきました。返信を書いていたのですが、リンクが貼れたほうが便利だし、ということで別エントリーに仕立ててみました。

今日はちょうど、ちょうど、久我山出身1年目、の田邊草民選手の活躍を見てきました。プレーの幅が豊富というだけでなく、しっかり走り粘ってボールを失わない、取り返す、というあたりに感心しました。

さて、國學院久我山と かえつ有明がどうレベルが違うのか?

中学だけで比べると、かえつ有明の方がサッカー環境では上だと思います。U-13、JFAカップのエントリーをして試合機会が多いことは重要だと思います。新興校でまだまだ問題もあるでしょうけど、その分いろいろ力を入れている感じがします。

國學院久我山は、学園祭に家族でお邪魔したのですけど、息子はあまり惹かれるものを感じなかったようです。せっかくの伝統もあるので、もう少し上手くアピールされるといいのにと感じました。
学園祭で練習試合を見学できるとか、説明会で校長先生が、都大会出場を目指して今日は試合に行っていると紹介してくれるとか、人工芝がきれいだとか分かりやすいものに魅力を感じたようです。

高校年代で言うと、実力指数では、多数の試合を実地でご覧の くまぜみ さんの番付データ (2008年秋)が確かだと信頼しています。20位までのデータを引用させていただきます。

【2008年度主な高体連東京大会の結果】

順位 学校名 新人戦 総体 選手権 持点
1 國學院久我山 ベスト4 優勝 都大会出場(予選免除) 35.0
2 駿台学園 優勝 ベスト4 都大会出場(予選免除) 33.0
3 かえつ有明 準優勝 ベスト4 都大会出場(予選免除) 31.5
4 暁星 ベスト4 ベスト8 都大会出場(予選免除) 28.5
5 帝京 ベスト16 都大会2勝 都大会出場(予選免除) 25.0
5 都駒場 ベスト8 二次進出 都大会出場(予選免除) 25.0
5 都三鷹 ベスト16 都大会2勝 都大会出場(予選免除) 25.0
8 駒澤大学高 ベスト16 ベスト8 都大会出場(予選免除) 24.0
9 成立学園 ベスト8 都大会出場 都大会出場(予選免除) 23.5
10 関東第一 ベスト16 都大会2勝 都大会出場(予選免除) 23.0
11 修徳 ベスト16 都大会1勝 都大会出場(予選免除) 21.5
11 実践学園 都大会出場 ベスト8 都大会出場(予選免除) 21.5
11 早稲田実業 都大会出場 ベスト8 都大会出場(予選免除) 21.5
14 足立学園 ベスト16 都大会1勝 都大会出場(地区優勝) 20.5
14 都つばさ総合 ベスト8 都大会1勝 地区予選敗退 20.5
16 国士舘 地区予選敗退 準優勝 都大会出場(予選免除) 20.0
17 保善 ベスト16 都大会1勝 都大会出場(予選免除) 19.5
17 正則学園 ベスト8 都大会出場 都大会出場(地区優勝) 19.5
19 本郷 ベスト16 都大会2勝 地区予選敗退 15.5
20 東京成徳 都大会出場 都大会出場 都大会出場(地区優勝) 14.5
20 都国分寺 都大会出場 都大会出場 都大会出場(地区優勝) 14.5

こういうデータから、東京の高校サッカーは3強の時代かなと認識しています。帝京のような伝統校も一度不振に陥るとなかなか大変なようで、ジュニアユースチームで盛り返しを狙っているようです。
伝統というのは、努力を続けるからこその伝統で、國學院久我山のサッカー部はその点すごいですけど、新興校との決定的な差があるという印象を私は持っていません。

田邊選手はForza '02 (ワセダクラブ)出身ですし、暁星以外の東京の高校サッカーはいいジュニアユースの選手を集められるかで強さがあっという間に変わりえる構造でだと見ています。

そう考えると、文武両道を狙う、平均的なサッカー少年に國學院久我山中学やかえつ有明中学は、よく考えて選ぶべき学校だと思います。
プロサッカー選手とか体育会大学サッカーへの道も開けるかもしれないけど、上手い高入生達と競い合う自信があるのか?そこはとても厳しい場だと思います。私は息子には勧めませんでした。


一方、クラブユースからの上手い選手があまり入ってこない学校であってもそれなりにがんばれるチャンスはあります。
ちょうど、 くまぜみさん ブログ 実践学園vs攻玉社 の記事で攻玉社が高校サッカーで躍進している様子を拝読したのですけど、こういう健闘はとても励みになります。

こういうレベルの部活サッカーではプロ選手になるのは難しいでしょう。息子も、プロを目指しているのなら、サッカー部じゃなくて、ジュニアユースチームに行くようにと顧問の先生から言われたそうです。確かにそうでしょう。

だからこそ、高校生になってもサッカーを続けられそうに思いました。たとえレギュラーになれなくてもとはいいますけど、試合機会がなければ楽しくないでしょうからある程度自分にあうレベルの場がいいと思います。

急に上手くなったら、ジュニアユースチームなり、高校年代のユースチームに行くという可能性もゼロではありません。幸い東京にはけっこう高校年代のクラブチームもそこそこあります。勉強重視だけどサッカーにも自信と意欲があるという場合、高校サッカーのレベルはそこそこの学校にしておいて、物足りなければクラブチームに打って出るのが理想的なパタンのように考えています。
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中高一貫高でのサッカー部生活の選び方

2009-06-10 | 駆け込み受験・中学受験
コメントをいただいたレスを書いていて、長くなったので新しいエントリーに仕立てました。次男目標設定中さん、コメントありがとうございます。

サッカーをしっかりやりたいという場合、クラブユースサッカー(U-13)選手権(JFAカップ) にエントリーされている、多摩大目黒、かえつ有明、攻玉社、成城中、高輪中がお勧めです。そういう大会にエントリーできる指導環境と学校の応援があるかどうかで、一年生という大事な時期に充実したサッカーができるか、下積みの反復練習で鍛えられるかの分かれ目になります。
下積みも重要と思いますが、本格的にサッカーをやるにはロスが大きいです。


日大三、法政中、東海大高輪台、多摩大目黒、かえつ有明を中心に考えております。帝京、國學院などは、中学と高校では別チームでなかなか中学から高校へ続けられる環境ではなさそうですので。日大三にも同様の不安はあるのですが、本当のところどうなんでしょう。

挙げられれたうち、多摩大目黒、かえつ有明は、帝京や國學院久我山にサッカーのレベルでは負けず劣らずで、中学年代も指導が充実しているという面ではより魅力を感じて我が家でも調べました。

もう、かえつ有明は高校で國學院久我山を破るなど新たな時代を作りつつあるようで、上位のジュニアユースのクラブに行く並みの覚悟をしたほうがいいかもしれません。


両校とも、サッカーで知名度を上げようという作戦のようで、サッカーと勉強の分担度合いがより強いようです。もちろん勉強との両立も無理ではないとは思い ますが、かなり大変そうです。この2校はU-13の大会にエントリーし、中一からユースチームとも対戦してもまれるので中学でサッカーをかなり本格的にや れる学校だと思います。だからこそ、公立中学でジュニアユースクラブに行くのとどっちがいいのかよく考えたほうがいいかもしれません。

あと気になるのは通学時間です。多摩大目黒は校舎とグラウンドが離れているので、ご自宅がグラウンドに近ければいいかもと思いました。


國學院久我山は確かに高校からよりトップクラスの生徒が入りそこで続けるのは無理だろうということを感じて避けました。プロ選手を輩出している環境ですからそれなりの覚悟と自信がある方でないとと思います。


勉強主体でサッカーもという方向だと、校庭も広めの人工芝で、かつ、高校でフットサル部もあってサッカーからある程度近いところで勉強も続けやすい都市大付属が魅力的に感じました。あくまで部活の範囲ということで高いレベルは期待していませんが、勉強メインでスポーツもやるのにいい感じがあります。学園祭の面談で、フットサル部の顧問の先生の話を伺えたのですが、やはり、フットサル部は勉強とスポーツのバランスを取りたいという要望に応えてできたとか。


元会社の同僚で、かつ、サッカー少年の親でこのブログを読まれていた方に声をかけていただいたこともあります。第二体育会とも呼ぶべき、理工学部サッカー部で息子が優勝して...とかいうお話を伺ったとき、そういう親子関係がうらやましく感じました。

好きなことに打ち込むために苦手なことも一所懸命やるとかいうのは重要だと思います。同じ似た悩みというか、楽しみをお持ちの多くの親御さんお子さんを微力ながら応援しております。

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