チョン・ミョングァンの新作は上下800ページ近い大作。
ブルース・リーにあこがれた純朴な青年のアクション・恋愛・青春ストーリーです。
ブルース・リーにあこがれて、腕っぷしは強いけど気は優しくて生きるのが下手なおじさんを、兄弟のように育った甥の視点から描いています。
物語は僕の小学生時代からスタート。チョン・ミョングァン曰く、아직 사타구니에 털도 생기지 않은 무렵.
(あえて訳しませんが・・・さすがチョン・ミョングァン)
恋をしたり、嫉妬に狂ったり、殴ったり殴られたり傷ついたり傷つけたりの青春話は、読んでいてぐっと胸をつかまれます。
波乱万丈で痛くて切ない話ですが、最後はしみじみとしたハッピーエンド。
イマイチ地味なので、映画化するときにはラストはミュージカルスタイルで、いやさかのぼって全編ミュージカルでどうでしょうか?
なんて、口出ししたくなるほど、チョン・ミョングァンの小説って映画になりそうなんです。
映画畑出身のチョン・ミョングァンのことですから、内幕は本当にそうだったんだろうな、と思わせます。
そして映画の業界用語って結構日本語が多いんだな~という発見も。
長いストーリーを飽きさせないのは、脇役がみんなとっても魅力的だから。
がり勉でかわいげのない兄ちゃんも、何のとりえもない“僕”も、朴訥で気のいいチョンテも、不細工で嫉妬深いオスニも、不良に憧れているドッチも、ドッチの憧れのやくざのウサギも、中国料理屋の馬社長も、憧れのマドンナ、ウォンジョンも。
みんなおじさんとかかわる中で、変わっていきます。
忘れたころにまたストーリーに登場して、大事な役割を果たしていくので、
あの伏線がここにつながっているのか~。と思うとすっきり。
あと、読者に対してとっても律義で、
たとえば、おじさんと僕が離れて暮らしていた、僕は知らなかったはずの当時の話も「おじさんは~ていたけど、僕らはそんなこと全く知らなかった」のように、僕の視点で語られるんですが、「じゃあ、なんで知ってるの?」と突っ込みたいタイミングで、あとから「おじさんは僕と酒を飲みかわしながら当時の話をしてくれた」「泣きながらその話をしてくれた」のように、ちゃんとつじつまを合わせてくれるんです。
====以下ネタばれ===
望まない恋人から逃げるように、そして後から思えば運命の恋人に引き寄せされるように、
田舎を飛び出したおじさんはソウルで働き始めます。
ソウルの映画のメッカ忠武路で、若い時には中華料理屋の出前持ちとして、再び戻ってからはアクション俳優として過ごします。
その間に思いがけない挫折と、三清教育隊での暴力に耐える日々が挿入されています。
一方田舎では、開発の利権を争う暴力組織がアクション映画さながらの血で血を洗う闘争を繰り広げます。
運命の恋人と思いが通じたと思った矢先、彼女を失ったおじさんは、復讐を誓います・・・・・。
ブルース・リーにあこがれた純朴な青年のアクション・恋愛・青春ストーリーです。
ブルース・リーにあこがれて、腕っぷしは強いけど気は優しくて生きるのが下手なおじさんを、兄弟のように育った甥の視点から描いています。
物語は僕の小学生時代からスタート。チョン・ミョングァン曰く、아직 사타구니에 털도 생기지 않은 무렵.
(あえて訳しませんが・・・さすがチョン・ミョングァン)
恋をしたり、嫉妬に狂ったり、殴ったり殴られたり傷ついたり傷つけたりの青春話は、読んでいてぐっと胸をつかまれます。
波乱万丈で痛くて切ない話ですが、最後はしみじみとしたハッピーエンド。
イマイチ地味なので、映画化するときにはラストはミュージカルスタイルで、いやさかのぼって全編ミュージカルでどうでしょうか?
なんて、口出ししたくなるほど、チョン・ミョングァンの小説って映画になりそうなんです。
映画畑出身のチョン・ミョングァンのことですから、内幕は本当にそうだったんだろうな、と思わせます。
そして映画の業界用語って結構日本語が多いんだな~という発見も。
長いストーリーを飽きさせないのは、脇役がみんなとっても魅力的だから。
がり勉でかわいげのない兄ちゃんも、何のとりえもない“僕”も、朴訥で気のいいチョンテも、不細工で嫉妬深いオスニも、不良に憧れているドッチも、ドッチの憧れのやくざのウサギも、中国料理屋の馬社長も、憧れのマドンナ、ウォンジョンも。
みんなおじさんとかかわる中で、変わっていきます。
忘れたころにまたストーリーに登場して、大事な役割を果たしていくので、
あの伏線がここにつながっているのか~。と思うとすっきり。
あと、読者に対してとっても律義で、
たとえば、おじさんと僕が離れて暮らしていた、僕は知らなかったはずの当時の話も「おじさんは~ていたけど、僕らはそんなこと全く知らなかった」のように、僕の視点で語られるんですが、「じゃあ、なんで知ってるの?」と突っ込みたいタイミングで、あとから「おじさんは僕と酒を飲みかわしながら当時の話をしてくれた」「泣きながらその話をしてくれた」のように、ちゃんとつじつまを合わせてくれるんです。
====以下ネタばれ===
望まない恋人から逃げるように、そして後から思えば運命の恋人に引き寄せされるように、
田舎を飛び出したおじさんはソウルで働き始めます。
ソウルの映画のメッカ忠武路で、若い時には中華料理屋の出前持ちとして、再び戻ってからはアクション俳優として過ごします。
その間に思いがけない挫折と、三清教育隊での暴力に耐える日々が挿入されています。
一方田舎では、開発の利権を争う暴力組織がアクション映画さながらの血で血を洗う闘争を繰り広げます。
運命の恋人と思いが通じたと思った矢先、彼女を失ったおじさんは、復讐を誓います・・・・・。
チョン・ミョングァンの『僕のおじさんブルース・リー』はエンタメ小説です。直木賞なら取れるかも。『鯨』はジャンルを超えるというか、ガルシア・マルケスのようなストーリーの力強い話です。
彼はもともとシナオリオライターなので、主人公とメインのストリーの流れと、その周りの登場人物たちと小さなエピソードの数々の配置が絶妙なんですね。
そして、細かな伏線の回収がしっかりしてます。
読み終わった時のすっきり感が魅力です。
800ページとは、私も長いお付き合いでしたが、読み終わるときは達成感と、登場人物との別れがちょっとさびしい・・複雑なものがありましたよ。
あいかわらずとても充実した日々をお過ごしのようですね。
私は東京国際ブックフェアでの催しは知っていてヒマだったにもかかわらず結局行かずじまいでした。
熊野大学の情報は全然知りませんでした。昨年風呂場読書で「鳳仙花」を読了して、新宮にはぜひいつか行こうと思ていたのですが・・・。
さて、昨日アップした自分のブログ記事で、コチラの記事に勝手にリンクを張らせていただきました。 →
http://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/a2721955c3ff3a4a8bdb6cd0efa7db51
小さい字でたくさん書いてしまったので、どこにあるのかすぐにはわからないかもしれませんが、ご確認ください。
また、韓国書のネット通販を紹介した記事に「kの本棚」のことを追加して紹介しておきました。私のブログ記事の中では毎日のアクセス数が多い記事です、・・・が、効果はあまり期待されない方がいいかも・・・。こちらについても、記事の文言等ご確認ください。 →
http://blog.goo.ne.jp/dalpaengi/e/b45b82e003ffbccaab5f5bb8081fc05a
付記①:チョン・ミョングァンの本、おもしろそうですが、800ページとなると私の場合2~3ヵ月はかかりそう。分類するとフツーに「純文学」に入る作品なのでしょうか?
付記②:ippoyoさんの「私のパク・ヘイル像は気持ち悪い」というイメージは「殺人の追憶」の印象が強かったのでしょうね。私もそうでしたが、「神弓」では雰囲気が全然変わっていましたねー。
顔はわかるけど作品を見たことはないのよね。
器用な役者さんって思ってます^^
高齢化家族の主人公を演じるにはかっこよすぎるんじゃないかと思って。
『ウンギョ』ではめちゃくちゃ老けメイクだったし、
型にはまらない役者さんなんですかね~?
主人公のさえない映画人はパクヘイルだそうですよ。
文芸作品づいているというか・・・でもちょっともったいない気がします。
ふふふ、面白そうですね。
しかし読むのに時間がかかりそうだわ(^^)。