一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

天山 ……いよいよムラサキセンブリが咲き始めました……

2010年09月30日 | 天山・彦岳
最近、ギャヴィン・プレイター=ピニー著『「雲」のコレクター・ガイド』という本を読んだ。
「雲ウォッチング」のガイドブックといえるもので、写真がたくさん掲載されており、雲の図鑑みたいな本だ。


この本を読んでいて、思い出したのは、徒歩日本縦断をしていた時のことだ。
雲って、なんだかプカプカ空に浮いていて、のんびりしているように見えるが、案外動きが激しいということだ。
アッと言う間に(とはちょっと大袈裟だが、そう表現したくなるほどに)変化する。
あれは新潟県を歩いていた頃だったと思う。
日本海を眺めながら歩いていた。
と、海の遥か彼方に、黒い雨雲が発生した。
それは、みるみるうちにこちらに近づいて来た。
恐ろしいほどの速さであった。
そして、瞬く間に空一面を雨雲で覆い、激しい雨をもたらした。
雲は、刻一刻変化する。
今見ている雲の形と同じものは、二度と現れない。
似ている雲の形状はあるが、まったく同じ形のものは、その一瞬だけのものだ。
日本徒歩縦断の間ずっと空を見続けていて、「雲は面白い」と心底思った。
山に登るようになってから、あの時の感覚がまた蘇ってきた。
雲は面白い。
雲は楽しい。
そして雲は凄い。
ガスに覆われた山頂で、フッと強く息を吹きかけたようにガスが消え、素晴らしい景色が姿を現した時など、山の神様が演出されたのではないかと思ったりする。
昨年、北アルプスを歩いた時、ガスが消えて槍ヶ岳が姿を現した時の感動は、今も忘れられない。
特に標高の高い山では雲の変化が激しく、油断できないし、片時も目が離せない。
雲は、山をダイナミックに演出してくれる、とても重要な役割を担っている。
バードウォッチングや山野草観察などと共に、これからは「雲ウォッチング」も山歩きの重要な楽しみのひとつになるような気がする。

今日は、午前中に用事を済ませ、午後からの登山。
行き先は、またもや天山。(笑)
雲に関する本を読んだお蔭で、今日はなんだか空が気になる。
雲が気になる。
午前中は曇っていたが、午後からは晴れてきた。
登山口からも青空が見える。


今は、アキチョウジが咲き乱れているが、白花のアキチョウジを発見。


キバナアキギリや普通のアキチョウジなどとの競演。


これは、登山道で見かけた、小さな一株に一輪だけ咲いていたアケボノソウ。
カワイイ。


ヒメアザミとアサギマダラ。


雨山分岐から少し登った所で、振り返る。
雨山に忍び寄る黒い雲。
雨山の上には、なぜだかいつも雨雲のようなものがある。
だから「雨山」なのか?


登頂後、稜線歩きを始める。
空を(雲を)広く、こんな感じで山頂を撮ると、いつもと違った山頂になる。


と、真上をヘリコプターが通り過ぎて行った。


今日の目的は、ムラサキセンブリの花。
ずっと見続けている株の蕾は、まだ開いていなかった。


まだ咲いていないか……と、少々諦めモードになっていた時、開花しているムラサキセンブリを発見!
嬉しい~


その後、数株、開花したムラサキセンブリに逢えた。
美しい~


もちろん、普通のセンブリも咲いている。


ウメバチソウは、まだ蕾が多い。
これは、4日前と同じ花。


ツルリンドウも美しい~


アキノキリンソウは、稜線の至る処で見ることができる。


白花のサイヨウシャジンを発見。


タンナトリカブトは、ピークを迎えている。


色の濃い花もイイが、このように薄紫色の花もなかなか。


リンドウだけは、まだ蕾。


蕾も美しいよね。


寝ころんで、空を見上げる。
美しい~


背振山系方面の空。


作礼山方面の空。


今日も楽しい山歩きができた。
天山に感謝!

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