“ママノリア日記

ママノリアの独り言

silence4

2006年03月07日 | アリノママノリアの日々
電車を降りて、家まで五分ほどの道を歩く。
ケチャップのような夕焼け。

狂ったように叫ぶ。

「魔・世ネーズ!・・・・魔・世ネーズ!!」
正面から歩いてくる人の群れは、とおりの向こう側の歩道に渡る。

野良犬が、たけしに近づいて、迷わずたけしに吠えついた。
カラスはただ状況を見守っている。



たけしは、野良犬に吠える。

「魔・世ネーズ・・・」
「魔・世ネーズ・・・」
「魔・世ネーズ・・・」
「魔・世ネーズ・・・」

「魔・世ネーズ!!!!!!」



犬は、萎縮した。
カラスは驚いたように、住処へ戻っていった・・・。




水道局員は、電話の後すぐに現れた。
6059円を払い、明細書をもらう。

30過ぎの、少し色気の増して来た時期であろうその水道局員はたけしを挑発するかのように、又は当たり前かのように、髪を何度もかきあげる。そのたびシャンプーの甘い香りが辺りにこだまして、たけしの精神安定剤となった。

「気をつけてくださいね、水道は生きてく一番大事なものですから。だからできるだけ停まらないようになっていますので・・・」

「すいません。」





ドアを閉め、テレビをつけた。
ニュース速報でアナウンサーが神妙な面持ちで、人の不幸を伝えている。CMに切り替わるその瞬間、携帯電話のバイブ音が体に伝わる。

田川 満。
少し迷って、6回目のコールで電話に出た。