精神療法家 増井武士のブログ・バリ島日本人自殺予防ヴィラオーナー(レンタル可)

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新型コロナによる自宅待機要請と拘禁反応について

2020-04-08 13:42:38 | 日記
新型コロナによるの自宅待機要請が出ました。
このことによって我々は家の中に閉じこもることが必要になってきました。無論外出はできるのですが、それほど自由にはできません。そこで心配なのは、我々がいつも拘禁反応を起こす可能性があるということです。
拘禁反応の研究はもともと宇宙工学から始まりました。宇宙服を着た人が周りに何もない状況に1人置かれたときに、どんな風な心身的な異常が出てくるのかという研究です。そこでは自律神経失調による頭痛などを始め、色々な身体症状とともに、精神的には知覚過敏とヨクウツ感などが現れたようです。
知覚過敏というのは、自分の感覚が過敏になり、それを過剰に感じることです。
その研究は、刑務所に隔離された人や大型船で長期間航海する人などに関する精神的な状況について広がっていきました。
今、われわれの置かれている状況は、
いわゆるこの拘禁反応が出やすい 状況にあるという事です。そのことは、必ず自覚をしておかねばならない要件です。
 知覚過敏は、他人の動作や言動にひどく過敏になってくる現象です。ですから普段あまり仲の良くない夫婦は、この知覚過敏によって意識のコントロールを失い、つい相手に手が出てしまうとか、もともと家に不満を持っている子供がつい親に手が出て家庭内暴力ざたになることが起こりやすくなります。既にニュースでそのような事件が報告されています。
 この拘禁反応の怖さは、知らず知らずのうちに、無意識的に進行することです。
この拘禁反応的状況は早くて数日遅くても数週間の間に必ず起こってきます。
そこで、意思の強く自己コントロールが充分できる人とか、精神的にバランスがよく、しっかりした人はこの拘禁反応を乗り越えられますが、普通の人はそうはいきません。
他人や自分のしていることへの意識が過剰になり、それに振り回されて自分を見失うことが怖いのです。大げさに言えば、夫婦喧嘩が高じて、最悪の場合は人をあやめてしまうと言う結果になりかねません。また、心の底でうっすらと死にたいと思っている子供や大人が、本当に死にたくなって自殺にまで発展することもあります。
われわれはこの拘禁反応という現象をまず知る事、そして、拘禁反応が出た時に、「ああ、それが出た」と自覚することによって、この拘禁反応を冷静に判断し、そこから抜け出して本来の自分を取り戻すことができやすくなります。
ですからこの拘禁反応的状況というものがあると言うことをよく自覚してほしいと思います。
私はこのような拘禁反応によって起こる様々な弊害を、今までたくさん観たり、経験してきました。実体験としては、他人が神経過敏になって、その矛先をかわすのにとても大変でした。とにかく、自分を含めて、その渦に巻き込まれないことです。
今の状況において私は非常に心配しており、この拘禁反応について、2~3の新聞社に連絡をしました。それが私達の社会的責任と思ったからです。