いたずらの報酬

熊本で大きな地震が起きた時に、動物園からライオンが逃げたと写真付きでツイッターをした男が逮捕されました。

このツイッター、私も見ました。私自身はツイッターやっていないけど、それでもネットで地震情報を確認していればスマホの画面に飛び込んでくるわけですよ。ライオンと一緒に写っている信号機が日本のとは違ったからおそらくデマだとは思いましたが、もしかしたら熊本の信号機はそうなのかもしれないじゃないですか。県によって違うものっていっぱいあるし。

福岡に住んでいる私ですら「福岡までライオンがやってきたらどうしよう」と不安になったわけですから、地震に対処している時にこんな情報を目にした現地のパニックは想像を遥かに越えるものだと思います。

逮捕された本人は軽い気持ち、ほんのいたずらのつもりだったんでしょう。でもね、そんなの言い訳にもならんわけですよ。動物園には電話が山程くるし、ただでさえ忙しい熊本県警も確認に追われなければいけない。犯人は神奈川に住んでいたみたいですが、おそらく熊本大地震は対岸の火事みたいな感覚だったんでしょうね。まあ、私も東日本大震災の時はやはりそんな気持ちだったけど、デマを流そうなんて発想はなかったね。

今、犯人は自分のしたことをどう思っているんでしょうかね。地震時に「ライオンが逃げ出したから外に出れない！」と避難せずに室内で亡くなった人がいたかもしれない……ぐらいは考えてくれているでしょうか。その可能性はゼロじゃないからね、マジで。

あと今回の逮捕はネット文化の成熟を示していると思います。おそらく15年くらい昔だったら、ネットでデマを流したくらいでは逮捕されなかったでしょう。しかし今はほとんどの人がインターネットを利用しているわけですよ。それだけネット文化が広まり影響が強くなっているのです。ネット文化は大人になったわけですよ。子どもなら軽い悪戯で済んだことが、もう悪戯じゃ済まなくなっているんですよね。

「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」という言葉がありますが、これは「ネットのデマを見抜けない人はインターネットをするな」ではなく「ネットのデマを見抜けない人もいるんだから情報の配信には気をつけろ」と考える方が正しいと思います。