ヒッキーはつむじ風!!

ヒッキーが観て気に入った映画を、ブログで紹介します。

「母べえ」

2008-11-13 06:45:01 | Weblog
 私はこの映画をみるにあたって、山田洋次監督の作品なので、母親とその娘たちが織り成す親子の絆を描いた作品なのだろうと、勝手に判断していた。

観ていくにつれ、確かに、親子の絆を描いてはいるが、

この映画の本質は、吉永小百合演じる「母べえ」の人生をとおして我々に投げかけられる、強烈な反戦のメッセージなのであることに気付かされる。

戦闘シーンなど一切使っていない、ある親子の人生をとらえた、戦争とはいかに大切なものを失ってしまうのか・・・そしてそれは二度と帰ってはこないものなのだということを痛切に描き切っている。

昭和15年1月・・。
東京のとある街、野上家は、「父べえ」「母(かあ)べえ」「初べえ」「照べえ」
の四人家族。お互いの呼び名の下に「べえ」を付けて呼ぶようにしたのは、ユーモアの好きな父べえが考え出したこと・・・。

仲睦まじい家族であったが、昭和15年2月、父べえが治安維持法違反で検挙されてしまった!
いわゆる「思想犯」というやつである。当時日中戦争は「聖戦」と呼ばなくてはならず、「戦争」と書くだけで思想犯扱い、反対でもしようものなら、「国賊」「売国奴」と言われた時代であった。

なかなか面会の許可が下りずに、野上家には暗い日々が続いていたところ、
ある日、父べえの昔の教え子である山崎(浅野忠信)が訪ねて来た。
不器用だが実直な山崎は「山ちゃん」と呼ばれ、野上家にはなくてはならない人になってゆく・・。

東京で絵の勉強をしている、父べえの妹、久子(檀れい)おばちゃんも食事や雑事の手伝いをしに来てくれるようになり、野上家は父べえのいない穴を、なんとか見えないように暮らしていた・・・。

この映画は、最期まで観ていただけば解ると思うが、強烈な反戦メッセージを持っている。反戦映画と言っても過言ではないだろう。

山田洋次監督が、このように強烈な反戦の意をあらわした映画を、私は観たことがない。

ラストの「君はいつも5時半に起き・・・」涙を禁じ得ない・・。

私にとって、山田洋次監督の映画で、最も好きな作品になった!


山田監督、素晴らしい映画を、有難うございます。何度も、何度も、観たい映画です・・。

監督 山田洋次

出演 吉永小百合
   浅野忠信
   檀れい
   志田未来
   佐藤未来
   坂東三津五郎
   笑福亭鶴瓶
   笹野高史
   中村梅之助
   大滝秀治   他  






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10 コメント

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こんにちは♪ (ミチ)
2008-11-13 21:43:42
TB&コメントありがとうございました!

山田洋次監督は藤沢周平の時代劇を撮られたあたりから大好きになりました。
この映画もジンワリと心に沁みる部分があり、さすがは山田監督だな~って思いました。
反戦のメッセージというのは、悲惨な戦闘シーンが無くても充分伝わるものなんですね~。
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はじめまして! (Bianca)
2008-11-13 22:14:55
私方に来て下さり有難うございます。
貴方と同じく、私も山田洋次監督の一番好きな作品になりました。彼はこれまで、ある程度自分を抑えて、会社の方針に沿った映画作りをして来たと思いますが、この映画は思い切り、自分を出していたような気がします。若手の俳優浅野忠信の発見も嬉しいです。
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コメント有難うございます。 (ひきばっち)
2008-11-13 23:44:47
Re.ミチさん
そうですね、私も「たそがれ~」くらいから大好きになりました。

Re.Biancaさん
山田監督の映画で、これほどメッセージ性の強い作品は初めてだと思いますね。
浅野忠信は見事でしたね!!
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Unknown (さき)
2008-11-14 00:55:55
壇れいさんにつられて・・・
観てみようかな
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トラ・コメどうもでした (ひらりん)
2008-11-14 01:39:42
登場キャラが、心温まる中にもユーモアを持ってて良かったです。
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コメントありがとうございます。 (ひきばっち)
2008-11-14 11:46:14
Re.さきさん
檀れいさん綺麗でしたよ・・。
是非、観てみてください!!

Re.ひらりんさん
そうですね、ユーモアを持っているから、よけい悲しいのでしょうね・・。
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こんにちは~ (hito)
2008-11-14 17:45:46
コメントありがとうございました!

吉永小百合さん、決して綺麗なお化粧している訳でもなくいい着物を着ている訳でもないのに滲み出る美しさありましたね。壇れいさんも美しかったですね♪

浅野さんの出兵の報告シーンでは涙が溢れました。
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コメントありがとうございます。 (ひきばっち)
2008-11-14 21:52:34
Re.hitoさん
  吉永小百合さん、本当に綺麗でしたね・・。
内面の芯の強さと美しさが、見事に映し出されていましたね。
浅野忠信さんは、この「山ちゃん」の演技が高く評価されるべきです!すばらしいの一言!!
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ひきばっちさん こんにちは♪ (なぎさ)
2008-11-15 16:08:07
仰るとおりこれは反戦映画ですね。
それも声高に反戦を訴える映画ではなく、静かに、でもチカラ強く反戦を訴えていると思いました。
それは女性の母の妻の視点で。
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なぎささん こんばんは♪ (ひきばっち)
2008-11-15 16:26:36
 山田洋次監督作品としては、これほどメッセージ性の強い映画は初めてではないでしょうか(私が見逃しているだけか・・?)
それにしても、山ちゃん、良かったですねぇ(^^♪!!
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