五行目の先に

日々の生活の余白に書きとめておきたいこと。

4月28日(土)晴:奥入瀬・十和田湖・黒石へ

2007-04-29 00:05:04 | 
 朝8時半に起床。3人での朝食というのは久しぶりだ。野菜ジュースとトースト2枚を食べる。今日はとてもあたたかい。桜も一気に開花することだろう。

 弘前市内の混雑を避けて、国道102号を十和田湖方面に走る。途中、394号のほうに折れて、酸ヶ湯温泉方面へ。途中の城ヶ倉大橋のたもとの駐車場に車を停めて、橋の上を歩く。この橋は上路式アーチ橋としては日本一とのこと。山々の向こうに遠く岩木山を望む。こうしたところから眺めても、やはりこの山は美しい。



 酸ヶ湯温泉のあたりはまだまだ雪が残っていて、除雪車が切り開いた雪の壁の間を走る。標高が高くなるにつれて壁が高くなる。道はくねくねの山道。対向車に注意しながらの運転は、これまで経験したことのないスリルに満ちたものだった。

 標高1020メートルの傘松峠を過ぎるとしばらく下り、奥入瀬渓流に出る。紅葉の名所と聞いてはいたけれど、道に沿って長い遊歩道が整備され、木々と苔むした岩が何ともいえない情景を作り出している。なるほど、これは確かに秋に来たらさぞかしいいだろう。でも、これから新緑というこの季節も悪くはない。路肩に車を停めて、少しだけ遊歩道を歩いてみる。


 
 渓流の向きとは反対に走っていくと、十和田湖に出る。周りをすべて山に囲まれた中で、これだけ広々とした湖があるというのは何とも不思議な感じがする。

 休屋の駐車場に入り、乙女の像まで湖畔を歩く。風もほとんどなく、ぽかぽか陽気。湖面に映る日光がまぶしい。



 十和田湖をぐるりと一周してから虹の湖に立ち寄る。母親がけの汁の具を買ってきた。今晩の夕食はこれに決まり。

 黒石の市街に出る。僕の大好きなこみせ通りを両親にもみてもらう。本当にこの街は何度訪れてもいいところだ。作りものではない「明治」「大正」「昭和」が残っている。さほど長くない通りではあるが、散歩をしながらもの思いにふけるには最高の場所だ。火の見櫓ひとつとってみても、実に素敵なデザインをしている。



 重文にも指定されている高橋家住宅の喫茶店がオープンしていたので入る。冬に訪れたときは休業中だった。自家製のアップルパイとコーヒーをいただく。サービスでりんごも出していただいた。しばし、この家とお店を守っている奥さんとお話しする。関東のご出身だそうで、こちらに嫁がれて苦労されたこと、古い家を維持するための細やかな心配りなど、とてもいいお話しを聞かせていただいた。

 津軽の人々に関するお話しも興味深かった。津軽人の三ふりというのも初めて聞いた。「えふり」、「あるふり」、「おんべだふり」のことで、それぞれ「見栄っ張り」、「ある振り」、「知ったか振り」を意味するのだそうだ。津軽弁というのは、なかなかすぐれた言語だと思う。短い音韻で、かなり複雑なニュアンスを表現できる。「あずましい」なんていう感情表現などは、それをきちんと説明しようとすると、かなりの文字数が必要になる。

 それにしても、古い家であるにもかかわらず、通気性に優れていたり、耐震性が考慮していたりと、様々な工夫がされているというのには驚いた。しかも、このような古い邸宅はたいてい一度は解体修理をしているものだが、この高橋家住宅はそれさえ経験していないとのこと。気候が厳しい津軽にあって、その設計と建築の確かさは素晴らしい。

 さくら野で食材を買い込み、宿舎で母の作ったけの汁、虹の湖の売店で求めた山ウドと菜の花のおひたしの夕食。何も外食しなくても、地のものは十分に味わうことができる。

 今夜も「花の湯」に行く。父はことのほかここのお湯が気に入ったようだ。確かに、この辺の温泉にしては温度が高くないので、長く入っていられる。明日も、津軽平野を車で走るつもりだ。