五行目の先に

日々の生活の余白に書きとめておきたいこと。

2月10日(木)曇り時々雪

2011-02-22 23:55:10 | Weblog

9時起床。トースト1枚とレモンジンジャーの朝食。洗濯をして、いつもよりゆっくり大学に出る。ここのところ割といいお天気だったのが、またどんよりと曇ってきた。そして何より冷える。

 研究室に着くと、ただちに授業の準備。今日は「戦後日本の子ども文化」の補講を行うことになっている。正午まで事務仕事をして、学食で塩ラーメンとサラダを食べてから教室へと向かう。

 今日の補講は3コマと4コマを連続して行う。つまり2回の休講分を一挙に片づけてしまう。なぜからこの形だと1本の映画を丸々観ることができるので、大変都合がいいのだ。

 すでに全授業日程が終わってからの補講だけに、出席は任意とした。まあ10人くらい来ればいいほうだろうと思っていたら、25人ほど集まっている。この人数に160人ほどが入れるいつもの教室はちょっと広すぎる感じもするが、映画のためには大スクリーンがあったほうがいい。

 1991年の映画「就職戦線異状なし」を観る。冒頭のほうで出てくる若いころの鶴田真由の存在を指摘しても、学生たちの反応はほとんどない。織田裕二や的場浩司に関しては「若い!」「細い!」(最近の的場さんは当時より貫禄がついているようだ)といった声が挙がったが、和久井映見もあまり知らないようである。君たちは「ちりとてちん」を見ていなかったのか?だがリアクションペーパーを見てみると、「若いころの坂上忍さんは素敵でしたね」なんてのもある。

 しかし何度観てもいい作品である。主役の若い俳優たちの瑞々しさもいいし、ちょい役で出てくる前田吟とか佐藤慶なんかもいい味を出している。今になって観ると、ほんの束の間のファンタジーのような感じでもあり、それでいて、こういった世界が確かにあったことをも思い出させてくれる。

 ほんの2、3年前だったら、1・2年生が中心の授業でこの作品を観てもらっても、どこか関心が薄そうな様子であったが、昨今の就職難は大学に入り立ての学生たちにも就職への意識を否応なしに高めているようである。だからリアクションペーパーにも切実な思いが綴られているものがあった。

 補講が終わると会議がひとつ。30分ほどで終わる。その後男女共同参画推進室に顔を出して、こちらでも小さな打ち合わせをする。ようやく研究室に帰り着く。新しいイスは、戻ってきたときに安堵感を与えてくれる座り心地のよさである。

  明日から3連休だが、このお休みはほとんどテストの採点に終始しそうである。


2月9日(水)曇り

2011-02-22 00:19:51 | Weblog
 9時起床。朝食はイギリストーストとレモンジンジャー。一応授業日程は昨日までなのだが、まだ完全に解放されたというわけでもない。さあ今日から春休み、といった区切りがあればいいのだろうが、今年度末は何となくダラダラと終わっていきそうな感じである。

 研究室の留守電に録音が3件ほど入っていた。うち2件は提出を忘れていた書類の督促である。いかんいかん。急いでお詫びの連絡をして、早急に作る。割と期日を守って提出しているほうだと思うのだけれども、何だか最近次々とやってくる期限に対応できなくなっているような気がする。

 午前中は細々とした打ち合わせを講座の先生方とする。やけに慌ただしい感じがする。いよいよ年度末といったところか。

 スコーラムで昼食。授業がなくなると、ここでのんびりとお昼ご飯を食べることができる。『第二阿房列車』を読む。いつもそれほど長居をするわけではないので、読み進めるスピードも百先生の乗る蒸機列車並みといったところだ。

 4コマの時間にゼミの補講を入れた。3年生や大学院生は合同就職説明会で不在である。3年生はついこの間ゼミに入ってきたように思っていたら、今や就職戦線のなかに出て行っている。就職活動を軸にすると、学生生活の4年間なんてほんとうにあっという間のような気がしてしまう。

 今日のゼミは来週社会科学研究会で卒論発表を行う4年生の予行演習といったところ。発表会から『レ・シトワヤン』の原稿(要旨)作成までのスケジュールを、僕自身もしっかりと頭にたたき込んでおかなければならない。

 来週はゼミ以外の人にも聴いてもらうわけだから、それなりにきちんとした発表をまとめてもらう必要がある。だからいつも以上にコメントは厳しくした。おそらく最初で最後の卒論発表だから、しっかりと緊張して、堂々とやってもらいたい。

 研究室に戻ると、各方面への連絡と日程調整に追われる。何だかとてもせわしない。講座会議の日程などは、この時期先生方の出張も多くなるので、なかなか全員揃って、という形にならないのだ。

 テストの採点に取り掛かりたいが、その前に提出しなくてはならない書類がある。男女共同参画推進室宛に、夏の秋田大学・先日の北海道大学の訪問報告書を作成して送る。こういうのを終わらせないとなかなか採点に、という気分になれないのだ。

 夕食は「プリムヴェール」で摂る。今日はビーフストロガノフ。2日続けてというのはちょっとぜいたくである。ハッシュドビーフとはまた異なった味わいで、今宵もおいしくいただいた。もちろん食後にはハーブティーを飲んだ。

 今夜は食事を済ませた後、研究室には戻らずに帰宅する。福家に行く。閉店間際の人の少なさに乗じて、露天風呂で泳いでみたりする。実に快適なり。

2月8日(火)曇り時々雪

2011-02-17 23:30:20 | Weblog
 8時半起床。朝食はトースト1枚とレモンジンジャー。雪はさほどではないが、冷え込みが厳しい。

 研究室に着くと、生協から電話があって、注文したワークチェアとCPUワゴンが到着しました、とのこと。今から届けてくださるのだそうだ。だがイスもワゴンも組み立て式である。研究室のところまで来て、そこから組み立てが始まる。寒い廊下での作業になるから、研究室のほうに入るように勧めたのだが、いえ、大丈夫です、とそのまま組み立てを続けていった。

 イスはこれまでのものと比べると格段に座り心地がよい。意味もなくロッキングを楽しんでみたりする。ワゴンもデスクトップPCを動かすには実に便利だ。

 急に環境整備が進んで喜んでいたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。昼食はカップ焼きそばで済ませる。

 3コマの「戦後日本の子ども文化」と4コマの「社会学の基礎」は、いずれも期末試験。試験監督を務める。「戦後日本の子ども文化」のほうは僕一人の担当だから、巡視するのも座って様子を眺めるのも、僕の思いのままである。だが「社会学の基礎」のほうは、僕以外にもお手伝いをしてくださる先生があって、そちらの動きを否が応にも意識せざるをえない。他の先生方が巡視しているところに僕が座っているというわけにもいかないし、逆に僕が立ちっぱなしだと、他の先生も座りがたくなるだろう。何となくお互いの出方を見ながら自分のポジショニングを考える、といった具合だ。

 試験監督を終えて、研究室に戻る途中で男女共同参画推進室に顔を出す。普段は用事があるときにしか行かないのだが、誰か他の委員の先生方がおられるときにはたいてい僕にも関わる仕事が動いている。だからその場で話しを聞いてい置いたほうが後々いいのである。今日もまさにそんなタイミングでの訪問となった。

 テストの採点にかかりたいが、その前にいくつも優先させなくてはならない用事がある。それらをやっつけてやっと採点ができるようになるのだが、具体的なスケジュールのメドが立たないので、落ち着かない。これからしばらくはこんな日々が続くのかと思うと、授業日程を終えた後の解放感に浸ってなぞいられないのである。

 今夜の夕食は「プリムヴェール」で摂る。授業終了を祝して、Cセットを注文する。白身魚のムニエルとチキン。食後にはしっかりハーブティーを飲んだ。

 研究室に戻り、さらにひとつふたつ仕事をする。夜の冷え込みは昼間にも増して厳しい。だがその静けさのなかで音楽を聴きながら歩いて帰ると、これがなかなかいい気分になるのである。

2月7日(月)曇り時々雪

2011-02-17 22:43:34 | Weblog
 9時起床。東京から戻った翌朝は、定番となったアンデルセンのイギリスパン。レモンジンジャーと合わせての朝食。

 授業は明日までである。学生たちにとっては、最後の試験が結構残っていたりするようで、どこかしら緊張感がある。教員のほうは、成績評価をしなくてはならない。レポートなどはじっくりと読み込んでいきたいのだけれど、採点の〆切までの猶予はあまりない。

 2コマの時間に研究指導。ひととおりどんなことを考えているかを話してもらってから、僕のほうでいくつかのアドバイスをする。こんな本を読んでみたらどうか、とか、こんなことをやってみたらどうか、といったいくつかの提案をして、しばらくディスカッションをする。

 たぶんこのような教育機会こそが僕にとっての一番有効な学習機会にもなっているような気がする。院生の修論や学生の卒論は、僕自身の専門や研究とはずいぶんと離れたところで展開している。他にも社会学の先生がいるような環境ならば、別の先生に聞いてみて、といった助言もできるが、現状はそうしたことは不可能である。ただでさえ狭い自身の関心を無理矢理拡張して、何とか対応している。それが多少なりとも視野を拡げることにつながっているのではないかと思う。

 昼休みには諸連絡に追われる。もっとも留守にしていたのは実質土・日だけだから、それほどの量でもない。

 まだ今年度は終わっていないが、すでにいろいろなことが次年度に向けて動き出している。時間割なども大きく変わろうとしている。これまでは微調整で済んでいたものが、来年度からの新カリキュラムへの対応のために大がかりな見直しを迫られる。僕の担当科目もそれに引っかかった。

 火曜日の午後(Tuesday実習があるから)と水曜日の4コマ以降(月に一度教授会があるから)の開講がほとんどできないなかで、たくさんの授業がひしめく教育学部の時間割表は、さしずめ大都市の電車のダイヤみたいなものだ。ひとつ乱れが生じると、それが他にいろいろと波及する。しかも学校教員養成課程と生涯教育課程とが同居している。同じ線路の上に中央快速線と中央・総武緩行線が走っているような感じ。実にやっかいだ。

 3コマの「地域生活調査方法論」は、先週で授業が終わっているので、ゆったりと昼休みを過ごす。スコーラムに行って「朝鮮風焼肉」のランチを食べる。コーヒーも飲んで、『第二阿房列車』の続きを読む。

 4コマは大学院「社会学演習」。長丁場のCh.23の後半を読む。いよいよ残すところあと1章である。ただし正規の授業日程は今日で終わりなので、来週に補講を設けることになった。

 来年度に向けたいろいろな決めごとをしなくてはならない。いついつまでにこれこれを決めて提出せよ、といった類の依頼文書が手元に5つ6つある。僕自身の性分として、こういうのは期限ギリギリまで寝かせておいて、というのはダメである。さっさと決めて、さっさと終わらせたい。Outlookのタスクトレイの中身を早くなくしてしまいたい(実際なくなることなどないのだが)のである。

 今日は月曜日、「プリムヴェール」は定休日である。一日の終わりのほうの楽しみがないのはいささか残念である。学食での夕食で我慢する。これとて決してまずいわけではない。ただぜいたくを覚えてしまっただけのことである。550円ほどで、栄養バランスもしっかり考えて食べられるのはありがたいことなのだ。

 桃太郎温泉に行く。久しぶりにビンのジンジャーエールを飲んでみた。どうしてビンと缶やペットボトルとでは、こうも味に差が出るのだろう。

2月6日(日)曇りのち雨(東京)→曇り(弘前)

2011-02-17 22:16:08 | Weblog
 8時半起床。朝食はトーストとスクランブルエッグ。久しぶりに張さんのコーナーを見るが、やはり大沢親分がいないと魅力半減といった感じだ。どうしても隣にいるゲスト出演者の存在感が薄い。やはり親分の存在感は唯一無二のものであったのだ。

 父に昭島駅に送ってもらう。青梅線の電車を待っていると、少し前に拝島駅構内で人身事故が発生した旨、アナウンスがあった。つまり乗る予定だった電車が事故を起こしたということである。青梅線は全線で運転を見合わせ、これから警察の現場検証が始まるとのこと。

 これは当分電車は動きそうにない。父に駅まで引き返してもらうのも悪いし、バスで西武立川か拝島まで移動するのもバカバカしい。そのうちに下り線ホームに青梅行きの電車が入ってきた。こちらも昭島駅でストップである。急ぐ用事もないので、そのまま待つことにした。停まっている電車のシートに腰掛けて、バッグから『第二阿房列車』を取り出して読み始める。百先生の世界に入り込んでしまえば、こんなふうに待たされていることもさして苦痛に感じない。どうせ用事はないけれど、の移動なのだ。

 といっても、結構冷える。電車は暖房を切ってしまったようである。それでいてドアは全開だ。こういうときにはドアボタンで開閉できるほうがよっぽどいい。変なところでわれらが701系電車を見直した。

 現場検証が終わり、これから安全確認を行います、とアナウンスがある。ならばそろそろ動き出すのだろう、と思っていたら、これも結構な時間を要した。結局、昭島駅に停車した電車で1時間近くを過ごすことになった。ようやくやってきた電車はガラガラである。拝島にいたお客さんはほとんどが振替輸送で西武線を利用したのだろう。

 そのまま東へ進む。慌てることはない。東京駅に到着して、そこから総武快速線に乗り継ぐ。今日もしっかりクロスシートの席を確保する。この線の車窓風景もしっかり『阿房列車』に登場する。快速電車は、百先生が乗った客車列車に相当する。各駅停車が当時の電車になるのだろう。

 お気に入りの中華料理屋で昼食。担々麺とチャーハンのセットを頼む。ときどき無性にチャーハンが食べたくなるときがある。だが当たり外れがあるのがチャーハンというメニューである。ここのは初めて食べたのだけれど、パラッとした香ばしいチャーハンで、セットの担々麺との相性も実によかった。

 『阿房列車』の行き先は、遠く九州東北から、関東近郊までそのズームレンジは伸縮自在だ。何も遠くに行かずともよい。そう遠くないところにだって旅はある。夕方になって千葉から東京に向かう。ホームにはスカ色の113系が停まっている。カメラを向ける鉄道ファンに倣って、僕も礼儀と心得て1枚撮影する。かつては当然のように見ていた列車も、今となっては旅情をそそる存在になっている。


 東京駅で下り最終「はやて41号」を待つ。珍しくホーム(あえて歩廊などといってみたい)に早く着いたので、うろうろしながらいろいろ眺めてみる。いつの間にか雨が降ってきたようだ。有楽町方面がぼやっとして見える。


 上越新幹線の200系が停まっていた。よく残っているな、と感心する。このフォルムの美しさには見とれてしまう。



 その向こう側には東海道新幹線のホームが見える。南へ向かう新幹線への憧れは、今でも強い。



 もう一度、夜景をしっかりと眺める。あの風景を背にして北上するのかと思うと、何とも寂しい気分になるものである。


 「はやて41号」の準備が整ったとのこと。日常に連れ戻される乗り物に、いくらかの諦めの念を持って乗り込む。仙台を過ぎてしまえば、いよいよ明日に向けての覚悟も定まる。


2月5日(土)晴れ

2011-02-14 22:57:05 | Weblog
 8時起床。朝食はトーストとスクランブルエッグ、それからブロッコリー。父に拝島駅まで送ってもらい、名倉堂に行く。いいお天気だが、今日は混んでいた。

 2週間ぶりに施術を受けたが、どうも首が硬くなってきているらしい。ビールビン枕を最近は使っていない。横向き寝の僕にはどうも合わないのだ。だがやはり使ったほうがいいようである。

 「拝島快速」に乗って高田馬場に出る。早稲田まで歩いていく。早稲田松竹の前を通りかかると、「満席」の札が出ている。どんな作品がかかっているのだろう、と思って見てみると、今日は若松孝二監督の「キャタピラー」と「実録・連合赤軍」の2本立てで、しかも監督自身のトークショーもあるらしい。なるほど。もし事前に知っていたら、ぜひ観てみたいところだったが、仕方がない。そのまま先へと歩を進める。


 メルシーで昼食。今日もラーメン半ライス。うまい。やっぱりうまい。そして今日も相席の男子学生2人連れは、先輩と思しきほうがもう一方にこちらのラーメンを食べる流儀を説いている。こんなに作法にうるさい店(別にお店の人がそうであるのではないのだが)も珍しい。

 早稲田大学の中央図書館で資料収集。今日もよき出会いに恵まれる。時間と気持ちに余裕があれば、検索して行き着いた資料の5冊くらい隣からいいものを見つけ出すことができる。せっせせっせとコピーに励む。小銭入れのなかでじゃらついていたコインがきれいに片づいた。

 都電荒川線に乗ろうと思う。ついこの間は札幌市電に乗った。路面電車に乗れるチャンスがあるならば、逃すという手はない。早稲田の電停に行く。電停には、7500形が3月いっぱいで引退する旨、貼り紙が出ていた。そうか、残念だ。都電の車両のなかでは7500形が一番好きだったんだけどな。主力の7000形に対して、7500形に乗れる機会というのはあんまりなくて、それが貴重だった。とくに更新前の丸っこいスタイルが好きだった。子どものころに何度か乗ったことがある。

 やってきたのは7000形で、ちょっと躊躇したが、そのまま乗り込んだ。



 すると行き交う電車は続けての9000形である。この車両にも一度乗ってみたいのだが、なかなか縁がない。



 一番前の席が空いたので、そちらに移動した。荒川線は意外とアップダウンが多い。坂を上ったり下りたりの繰り返しである。向こうから7500形がやってきた。うう、この車両に乗りたかった。もう一回くらい、チャンスがあるだろうか。



 王子駅前で下車する。しばらくあたりをウロウロして、電車を眺める。電車鑑賞という点において、僕には路面電車に優るものはないと思っている。何より街並みがそのまま背景になるのがよい。





 飛鳥山公園の下に回って、「さくら新道」を覗く。まだ日も暮れる前とあって、お店はひっそりとしている。いつ訪れてもちっとも変わらないのがかえって新鮮に思える。





 スターバックスでひと休み。ひと息ついてから駅前のバスターミナルへ。「王78系統」の都営バスに乗る。王子駅前発新宿駅西口行きという、ちょっと意外な駅同士を結ぶ路線である。



 神谷陸橋までは、北本通りを大人しく走る。だがいったん環七通りに入るやいなや、結構なスピードで走る。いや、実際の速度よりも感覚的な速度が速いのかもしれない。週末ということもあって、スピード感は十分である。難点は陸橋の立体交差を避けて、平面の交差点を通過することで、これが陸橋を上ったり下りたりだともっと気持ちいいような気がする。もちろん路線バスなのだからそういうわけにもいかないのだが。

 東北本線、埼京線、都営三田線、東武東上線、東京メトロ有楽町線、西武有楽町線、西武池袋線、都営大江戸線と、次々に線路を越えていく。さらには西武新宿線、中央線と越えて、東京メトロ丸ノ内線の上を走る形で新宿駅に至る。風景の移り変わりが楽しくて、新宿まで乗り通そうと思っていた。鍋屋横丁のあたりの雰囲気も好きで、途中下車したくなる。

 だがそろそろ帰りも遅くなったので、野方で下りることにした。駅に行くには野方駅北口のほうが近いようだが、ひとつバス停を乗り越して、野方駅南口で下車する。



 環七から脇道に入ったところにある、野方のバス停に向かって歩く。関東バスが細い道を入っていく。バスの行き先は「野方」で、「野方駅前」ではない。駅まではここから商店街を歩いていく必要がある。




 何度か野方から西武新宿線に乗って帰ったことがあるのだが、いつもまっすぐ駅に向かってしまって、商店街をじっくりと歩いてみることはなかった。だが泉麻人さんが『大東京バス案内』のなかで、「裏ポケットの町 野方」と書いていたのを思い出した。せっかくなので商店街をぶらついてみる。僕好みの幅が狭く、天井の高いアーケードがある。



 商店街は思っていたよりも複雑にできていて、しかも結構な奥行きを持っている。そのうちに「文化」ということばをこれほど正しく使っている例はない、というようなマーケットに出会ったりもする。



 幟につられて坂を上がれば、「笑い地蔵尊」なるお地蔵さんがある。

 線路を越えて北側にも行ってみる。「究極の豚まん」を売っているお店がある。「究極」を謳っている割には、値段は95円と良心的である。買ってみる。うまい。

 駅のほうに引き返してきて、駅のすぐ近くのおもちゃ屋さんの店先を覗いたり、はた書店という本屋さんに入ってみる。これぞ街の本屋さんという感じがする。大手に負けないぞ、という矜恃のようなものが伝わってくる。2階の文庫コーナーで、佐藤優『日米開戦の真実 大川周明『米英東亜侵略史』を読み解く』(小学館文庫)を買う。ブックカバーもオリジナルなデザインでしゃれている。

 すっかりこの街のファンになった。そういえば大学の友人のなかにも何人か野方に住んでいる人がいた。学生が住むには実によさそうな環境である。何も下高井戸あたりまで足を運ばなくても、僕好みの商店街というのはあるものだ。

 西武線で帰宅する。夕食は自家製のハンバーグ。タマネギとにんにくがたっぷり入っていておいしい。しっかりと、心ゆくまで味わう。

 ワーナーマイカルシネマズむさし野ミューで、今日公開の映画「ジーン・ワルツ」のレイトショーを観る。

 海堂尊の原作小説はすでに読んでいて、文庫の帯にあった映画の公開を楽しみにしていた。生殖医療をめぐる問題を、間接的に告発するストーリーにもなっている。

 クール・ウィッチの異名をとる、主人公曾根崎理恵は菅野美穂が演じる。原作とは違い、随所にかわいらしさが垣間見える。徹頭徹尾冷徹でいるという役作りもいいのかもしれないが、原作よりも人間味を感じさせるキャラクターになっていた。相手役の清川吾郎は田辺誠一。この役者さんはとても上手なのだが、昨日新幹線の車内で「少年メリケンサック」を観たのがいけなかった。ついついTELYAを思い出してしまう。シリアスな表情をするたびに、「アンドロメダおまえ」が頭をぐるぐると回ってしまって困った。

 「チーム・バチスタの栄光」や「ジェネラル・ルージュの凱旋」とは違い、ミステリー的な要素は希薄である。むしろ生々しい人間ドラマといった感じがする。割と淡々と展開する前半部分に対して、後半部分では一気に怒濤の展開となる。現実にはありえないだろう、という偶然が重なっていくが、緊迫感のなかに引きずり込まれる。そして最後には、出産というものがひとつの奇跡であることを思い知らされる。

 ただ、原作では重要な部分が端折られているのは映画ならではの仕方のないところか。たとえば理恵が屋敷教授と激しく意見を闘わせる部分などは、小説では問題の核心をつくところだと思うのだが。

 それにしても浅丘ルリ子の存在感はピカイチだった。この人が見せる奇跡というものも、真に迫るものがあった。

 映画館を出ても、まだまだあたりには人がたくさんいる。ああ、やっぱりここも東京なのだなあ、と思う。

2月4日(金)晴れ時々雪(弘前)→晴れ(東京)

2011-02-13 21:14:39 | Weblog
 8時半起床。発芽玄米のお餅と健康茶の朝食。通常の荷物にもうひとつバッグを抱えて自宅を出る。出がけには雪が降っている。昨日よりいささか寒い。だが少し歩くと青空が覗いたりもする。気まぐれなお天気だ。

 今日は2コマと3コマにまたがって、大学院「社会学特論」の補講を行う。2回の休講はいずれも男女共同参画推進室関連の出張によるもので、いい経験をさせてもらった分のツケをこうやって支払うことになった。

 2コマの時間は「社会化」がテーマ。「社会化」については学部の授業「社会学概論」でも扱っているのだが、受講生にとってはもう3年前に聴いた内容だ。だから記憶が薄れていても仕方がない、と思っていたのだが、ちゃんと覚えていてくれたようだ。大学の講義の内容なんてたいていは忘れてしまうものなんだがなあ。「社会化」は教育と引きつけて議論しやすいテーマだけに、かなり力を入れていろいろと話すことができた。

 お昼休みには、授業の打ち上げも兼ねて「プリムヴェール」に昼食を摂りに行くことにした。つるつる滑る凍った雪の道を歩いてお店にたどり着く。ちょうどタイミングよく5人座ることができた。チキンとポークの2種類のランチメニューをめいめいに注文する。僕はポークソテー。せっかくだからデザートを頼もう、ということになったのだが、生憎4つしかないとのこと。ならば僕が我慢すればいいや、と4つ頼む。するとシフォンケーキならありますよ、とのことだったので、僕はこちらをちゃっかり注文した。安上がりな打ち上げだったけれども、皆さんには喜んでもらえたようだ。

 お昼休みをゆっくり過ごしてしまったので、3コマの開始は定刻よりも若干遅れた。僕がレジュメ報告をして、総括的な討論をする。受講者4人のうち、社会学を専攻しているのは1人だけだから、あとの3人は最後までよくついてきてくれたと思う。初めて大学院の授業らしい授業をすることができた。感謝のことばを述べて授業を締め括った。 

 研究室に戻り、2つ3つ仕事を片づけてからタクシーで弘前駅に向かう。特急「つがる」の自由席を利用して新青森に向かうつもりでいたが、ホームには結構な列ができている。確実に座っていけるかどうか、いささか怪しい。

 5分後に出発する各駅停車でも、乗る予定の新幹線には間に合う。こちらはガラガラなので、各停を選んだ。今日は気候に左右されることもなく、順調に走って新青森に着く。

 東京に向かって走り出すころには、すっかり日が傾きかけていた。夕焼けを見る。まぶしいのだけれど、鮮やかなオレンジに見とれてカーテンを閉めずに眺める。




 日が落ちた後は、持参したパソコンで「少年メリケンサック」のDVDを観る。何だかこの作品が気に入ってしまって、何度も繰り返し観てしまう。ただし盛岡のあたりまではトンネルが多いものだから、ヘッドホンの音量を大きくしなくてはいけない。周りの人に音が漏れていないか、気になるところ。幸い今日は隣の席は東京までの間ずっと空席であった。

 東京駅に降り立つ。暖かい。まるで春のような暖かさだ。それでも実家に帰るころには少しばかり冷えてきた。夕食はクリームシチュー。しっかり食べて温まった。中一日での移動で、疲労もピークに達している。こういうとき、ホテルではなく実家で休めるのはありがたい。

2月3日(木)晴れ

2011-02-13 20:50:43 | Weblog
 9時起床。朝食はトースト1枚とレモンジンジャー。今朝はいいお天気である。雪に反射する光がまぶしい。

 男女共同参画推進室に顔を出す。札幌のおみやげを届けてから研究室へ。出張の疲れがまだいくらか残っている。授業も残すところあとわずか、もうひとふんばりだ。

 留守にしていた2日の間にたまった郵便物やプリントなどを受け取る。チラシに混じって重要な書類があったりする。思わず捨てそうになって、慌てて雑紙用のゴミ箱から拾い出す。

 例によって学食で早めの昼食。塩ラーメンとシーザーサラダ。急いで食べ終えると授業の準備をする。

 3コマは「比較社会学」。検定とエラボレーションについて話す。ようやく最後までたどり着いた。この科目は昨年度も担当していたのだけれど、今年度に限り2年生と3年生の履修が重なっての大人数となった。通常講義科目は人数の多寡に左右されないのだが、何だかこの授業だけはやけに難しく感じた。課題の添削などに割く時間が多かったせいもある。来年度はもうちょっと余裕をもってやっていきたい。

 4コマは「公民演習」。欠席者が多く、レジュメを用意して臨んだのが1人という有様だった。3年生の履修が少なかったこともあって、こちらも僕としてはどうも不本意である。ゼミとこの授業との性格づけをもっと明確にすべきだったかもしれない。ただ、前期から通して読んだテキスト4冊はいずれも優れた本ばかりだったから、きちんと履修した学生にとってはきっと次年度に生きてくるだろう。

 講義を終えると明日の大学院「社会学特論」用のレジュメ作りに取りかかる。この授業の一番最初と最後は僕がレジュメを担当することにした。受講者が4人、一人が3回ずつの担当で、2回分半端が出たからである。

 いざ作り始めると、これが難しい。前半のテキスト『あなたへの社会構成主義』は節や項が細かく分かれていたから、レジュメも作りやすかった。しかし『現実の社会的構成』はそうはなっていないから、項目の設定は自分でやらなくてはならない。きちんと論文の構造を理解できているかが問われるのだ。なかなか厄介だ。

 あれこれ苦労しながらまとめ上げる。やはり半期に2度くらいは、自分自身でレジュメを作ってみるのがいい。明日は2コマ連続の補講になるので、午前中は大学院生のレジュメに沿っての授業、そして午後が僕の出番となる。比べてみたときに見劣りがするようでは形無しだから、誤字や脱字がないように、入念にチェックする。

 今夜は夜もさほど寒くはない。このまま暖かい日が続いてくれるといいのだが、きっとそううまくは行かないだろう。

2月2日(水)晴れ(札幌)→曇り(弘前)

2011-02-11 23:54:47 | Weblog
 8時半起床。着替えを済ませると、すぐにチェックアウトして、札幌駅の地下街で朝食。パソコンなどはコインロッカーに放り込んで、駅の北側に出る。昨日とはうって変わって快晴だ。

 北海道大学のキャンパスに着く。が、まだお約束の時間までいくらか余裕がある。キャンパスのなかを散策する。北大には素晴らしい近代建築群がある。雪化粧した姿を眺めるのは初めてだ。うちの大学の構内だって、雪はしっかり積もっているけれど、何というか、趣が全然違う。






 クラーク先生の銅像も、しっかり雪をまとっている。『動物のお医者さん』にも、雪を身に着けた銅像が登場していた。それを思い出して何だかうれしくなる。



 10時になったので、北海道大学女性研究者支援室に伺う。事務局棟はセキュリティが厳重で、建物に入ったところで訪問先などを記入した紙を提出する。少し待っているとお迎えの方が来てくださった。

 今回の出張は男女共同参画推進室で進めようとしている事業について、先行事例の取り組みを取材することが目的である。後発グループのわれわれは、先達からいろいろな教えをいただいて、事業を行ってきた。今日もその一環である。通常は2人で出張するのが常なのだが、スケジュールの都合で今回は僕一人である。その点ちょっと心細い。

 それでも貴重なお話しの数々を伺うことができた。予定は1時間だったのだが、それを大きくオーバーして、2時間もお話しを聞かせていただいた。聞きながら必死でメモを取る。この内容がのちのちわれわれにとっての財産となるからだ。電話だったり、メールでもある程度の用事はこなせるが、やはり直接足を運んでこそ、と思う。うちの推進室にとっては、有益なおみやげを持ち帰ることができる。

 役目を終えると、再びキャンパスを散策する。総合博物館に入る。昨年訪れたときにはちょうど休館日だったと思う。これまでにも見学したことはあるが、何しろ展示スペースが広いので、見応えがある。旧理学部本館という、建物のよさも魅力である。館内には、ノーベル賞を受賞した鈴木章名誉教授に関する展示もある。




 さらに奥へと進んで、モデルバーンを見学する。雪が深い。何とか歩けるように細く雪がかいてあるが、建物に近づこうとするには雪のなかに足を踏み入れなくてはならない。しかも気温が上がってきて、屋根から雪がどさっ、と落ちてくる。今日のところは遠目に眺めるだけにとどめる。



 元来た道を引き返す。そろそろお腹が空いてきた。生協食堂の隣りに、われらがスコーラム的レストランを見かけたので、建物に入ってみる。だがお料理の値段を見て、これは僕にはふさわしくない高級な場所と思って、入らずに外に出た。

 生協で大学グッズの湯呑みやらタンブラーやらを買い込む。さすが北大、グッズのセンスが素晴らしい。

 札幌駅に戻り、駅構内の「味の時計台」で味噌バターコーンラーメンを食べた。うん、僕にはこういった食事が分相応なのだ。

 昨日に続いて大通公園のほうに行く。歩道ではロードヒーティングの工事がされていた。ほう、こんな感じになっているのか。「中身」を見るのは初めてだ。


 ジュンク堂書店で新刊書を眺め、テレビ塔のほうに向かって歩く。昨日とほぼ同じアングルから見上げる。道路の雪はかなり融けている。


 先日プレ公演を終え、3月に「ライオンキング」の開幕を待つ北海道四季劇場の建物を見に行く。


 散歩をしているうちに、列車の時間が迫ってきた。少し急ぎ足で札幌駅に向かう。だが最後にしっかり雪の時計台だけはちゃんと見た。



 14:52発の「スーパー北斗16号」に乗る。以前ならば、2時間後の「スーパー北斗18号」でも弘前に戻ることができた。だが「白鳥」が減便になってしまって、その日のうちに戻るにはこれが最終である。もうちょっと両列車の接続を考えてもらえたらありがたいのだが。



 「スーパー北斗」は快調に走る。新千歳空港を眺めながら、やっぱり鉄道はいいなあ、と一人悦に入る。



 復路はほとんど遅れることもなく、函館に到着した。駅弁を求めようとしたが、すでにお弁当屋さんは営業を終了している。乗り継いだ「白鳥96号」の車内販売で買うことができたが、「スーパー北斗」の車販と比べると、種類も乏しい。これなら札幌で予め買っておくのだった。

 すでに日は暮れていて、真っ黒な海を眺める。バッグから文庫本を取り出して読む。内田百の『阿房列車』(新潮文庫)である。原武史さんの『鉄学概論』を読んで、読んでみたくなった。読み始めるとどうにも面白い。偏屈な作家と、どこまでも従順なお供(国鉄マン)の2人旅だからこそのおかしな味わいが楽しい。そしてとこどころに挟み込まれた鋭い観察眼が、思わずおお、と感嘆させてくれたりもする。夢中になって読んでいると、あっという間に青森に着いた。帰路はそのまま新青森まで乗車する。しかし往復とも「白鳥」の485系というのはどうもなあ。どちらかだけでも「スーパー白鳥」の789系に乗りたかった。



 早い帰宅になったので、桃太郎温泉に浸かる。旅の疲れは温泉で癒すに限るのだ。

2月1日(火)雪(弘前)→雪(札幌)

2011-02-11 23:11:01 | Weblog
 6時半起床。朝食は摂らずに自宅を出る。7:35発の列車に乗るつもりでいたが、雪の様子を勘案して、1本早い7:15発の快速に乗ることにした。どちらも青森ないし新青森で特急「白鳥93号」に接続するが、前者は大館からやってくるのに対し、後者は弘前始発だ。早いほうで発ったほうがダイヤの乱れが少ないだろうと踏んだ。

 通勤・通学列車だが、弘前駅で乗り込んだときにはまだ空いていた。少しずつ先へと進むにつれて混雑してくる。そしてだんだんダイヤから遅れるようになってきた。車内のアナウンスもたびたび遅れを伝えるようになってきた。

 乗ってきた列車は、津軽海峡線の蟹田行き普通列車になる予定だったのが、青森に着いた途端運休とアナウンスされた。早速先行き不安である。バタバタしても仕方がないので、ホームの立ち食いそば屋で朝食。久々の青森の駅そばはうまかった。

 跨線橋から海のほうを眺める。雪はそれほどでもないが、やけに寒々しい。



 「白鳥93号」は定刻より8分ほど遅れて青森駅のホームに入ってきた。こちらは何とか走るようだ。先ほど運休になった蟹田行きの救済列車になるようで、自由席は特急券不要で乗れるとのアナウンスがあった。

 海側の席に座る。うとうとしているうちに青函トンネルの中に入る。目が覚めたらすでにトンネルの外に出ていて、海が見えてきた。うっすらと陽が差している。



 函館に近づくころには空が晴れてきた。函館山もちゃんと望める。



 海峡線を走っている間も遅れは広がっていたようで、乗り継ぎの「スーパー北斗7号」への乗り換えは、終点函館ではなく五稜郭で行うとのアナウンスがある。急に身支度を整えるお客さんが増える。

 思いがけない形で「白鳥93号」と別れて、跨線橋を越えてホームに下りる。ほどなくして「スーパー北斗7号」がやってきた。




 こちらでは席が山側なので、今ひとつ面白くない。いや、ちゃんと目を凝らしていれば広々とした雪原が見える。だがそのうちに退屈してしまって、再び眠りに落ちる。振り子式気動車の揺れも心地よい。一度目が覚めたので、車内販売のコーヒーとマドレーヌのセットを注文した。マドレーヌは函館の「スナッフルズ」のものだ。このあたり、なかなか気が利いている。



 札幌には定刻より10分ほど遅れての到着となった。これくらいで済むならば問題はない。さて昼食だ。お昼はカレーにしようと決めていた。ステラプレイスのレストラン街にある「カレー研究所」でチキンカレーを食べる。ライスは五穀米をチョイスした。


 札幌は寒い。弘前よりもずっと寒い。同じ雪国だろうと高をくくっていたが、やはり全然違う。おまけにかなりの吹雪だ。ホテルに直行する。ちょうどチェックイン時刻になったので、早々に部屋に入ってくつろぐ。いつもなら、ただちに街歩きに出かけるところだが、さすがに今日のところは自重する。

 そういえば今日は1日、映画サービスデーだ。持参したパソコンで映画情報を眺める。札幌はさすがに大都市だけあって、映画館は充実している。新作をひととおり眺めた挙げ句、2度目の「バーレスク」を観ることにした。ディノスシネマズ札幌白石という映画館でやっている。今まで行ったことのない劇場だ。でも地下鉄を使えばそう遠くもなさそうだ。南北線と東西線を乗り継いで行ってみる。地下鉄で移動すると、どこをどう走ってきたのかわからない。これが路面電車やバスだったらいいのだが。

 映画館はゲームセンターの上にある。小さい劇場だけれど、お客さんは思ったよりも入っている。久しぶりに見かけた「ピクニック」のコーヒーを買って観る。前回は大きい劇場で観たから、迫力という点では今ひとつだったけれど、ストーリーの細かい動きまで追えたという点では、今回のほうがより楽しめた。クリスティーナ・アギレラは、今度のスーパーボウルでアメリカ国歌を歌うそうな。

 雪は先ほどと比べるといくらか弱くなってきたようだ。大通まで地下鉄に乗って、地上に出る。テレビ塔の時計はちょうど21時を指している。



 大通公園は来週からのさっぽろ雪祭りの準備が進んでいる。もう一週間出張が遅ければよかったのに、と思う。



 雪の札幌は実に美しい。だが実に歩きにくい。ロードヒーティングがされている歩道はいいのだが、道路を横断するときにはサクサクした雪に足を取られる。この大雪に除雪も間に合っていないようだ。



 札幌に来ると、そこから先の行動パターンはほぼ決まっている。まず、市電に乗らなくてはならない。西四丁目の電停に行く。1本電車を見送った後にやってきたのは、イルミネーションを点灯させた電車だ。


 車内にも凝った装飾がなされている。天井には布が貼られていて、その内側にはたくさんの金平糖が入っている。これは面白いなあ。いつもなら、ヨーロピアンスタイルの丸っこい電車を好んで乗るのだが、今日はこちらにしよう。

 一番後ろの部分に立って、後方の景色を眺める。道路は排雪で道幅がやけに狭くなっていて、しかもでこぼこだ。そこを車がわずかな幅を縫って電車を追い抜いていく。僕だったら到底ムリだ。渋滞の原因になること間違いなしだ。この様子を見れば、青森なんてかなり除雪が行き届いているほうだと思ってしまう。

 終点すすきので下車する。あらためてイルミネーション電車を眺める。



 弟と一緒に行って以来のファンになった「だるま」でジンギスカンを食べる。お酒を頼まずとも、そして一人でぶらりと入っても、周囲に気兼ねすることなくのんびりと楽しめるのがよい。ここのお肉はちっとも臭みがなく、かつ脂っこくもないので、実においしく食べられる。ご飯と合わせてしっかり食べても1,000円でお釣りがくる。

 駅前のホテルまでは歩くことにした。ますます冷えてきた。ボマーハットをかぶり、厚手の手袋をはめて歩く。だが周囲の人々を見れば、これくらいの寒さには慣れているのか、帽子をかぶる人は少ない。ましてや傘を差している人などいない。雪国に生活しているといっても、僕などはまだまだ修行が足りぬ。

 県庁の赤レンガ庁舎の前を通る。すでにライトアップは終わっているが、それでも雪明かりのおかげでしっかりと眺めることができる。



 ホテルのお風呂に浸かる。大浴場付きのところを選んでおいてよかった。冷え切ってカチコチになった体がだんだんとほぐれていく。今夜はよく眠れそうである。

1月31日(月)雪

2011-02-11 21:55:19 | Weblog
 8時起床。朝食は2切れの発芽玄米餅と健康茶。大学に出る前にひとつ用事を済ませる。新年度に向けて、楽しみがひとつできた。生活パターンにもちょっとした変化が生じることだろう。

 大学に出る。授業は来週でほぼ終わる。終われば春休みということになるのだが、ちっとも楽しみではない。夏休みはともかく、春休みは授業期間中よりも忙しくなる。休みなのは学生だけで、教員にとっては最も忙しい時期だともいえる。

 4年生の指導をする。卒論はすでに提出されているが、これから卒論発表会と『レ・シトワヤン』の原稿(卒論要旨)作成がある。学部としての要旨作成はないから、活字として残るのはこの『レ・シトワヤン』だけである。それだけにきちんとした形で出してもらいたい。とくに参考文献一覧や註の付け方など、細部までしっかりと整えること、こういったことも学生生活を締めくくりに当たってちゃんとしてもらいたいのだ。

 結構時間がかかってしまった。もはや学食に行ったり生協で弁当を買ってくる時間はない。非常食のカップ焼きそばをかき込む。

 3コマは「地域生活調査方法論」。3本のグループ報告を聴く。データを収集するうえで、いわゆる「クズ」を引いてしまったグループがあった。それに載っかってデータを集めてみても、いい結果が得られるわけではない。そして学生たちからの質問も、その辺を鋭くついたものとなった。今の時点では失敗してもかまわない。ただそれが失敗だったと自覚しているかどうかが今後を左右するだろう。要領よく、無難にまとめ上げることばかりが勉強ではないのだ。

 4コマは大学院「社会学演習」。アメリカが経験した、2つの時代と社会関係資本の変容を歴史的にたどる。日本の歴史研究において、こういった形で捉えたものというのは、管見の限りほとんどないように思われる。「社会史」をタイトルに冠した本は数多あれど、こういった歴史の描き方はまだまだ開拓の可能性が開かれているように思う。

 いつもならここで授業は終わりだが、今日はもうひとつある。「小学専門社会」である。今年度は授業は1回だけ、試験の対象にもならないから、気楽である。教育学部の大教室を使っての授業は年に一度だけで、使い勝手がわからず、結構戸惑う。総合教育棟の教室よりも新しいけれど、使いやすさという点ではやや劣る。

 少しばかり研究環境を改善することにした。今まで床に直接置いていたパソコンを収納するCPUワゴンと、ところどころ穴が開いてしまったワークチェアを更新する手続きをする。イスに関してはこれまでほとんど頓着することがなかったけれど、一日の多くの時間を過ごすわけだから、快適性を求めても悪くはあるまい。

 明日明後日と不在にするので、連絡だの提出書類だのの準備に追われる。遅い帰宅となった。相変わらず雪が降り続いている。ちゃんと列車は走ってくれるだろうか。まあ何とかなるだろう。

1月30日(日)雪時々晴れ

2011-02-11 00:18:04 | Weblog

 10時起床。日曜日にしては早起きだ。発芽玄米のお餅を焼いて食べる。1つ食べたら、もう1つ食べたくなった。昼食を遅くすることにしてしっかり食べておく。

 散らかり放題の部屋の掃除に取りかかる。年末の大掃除もろくにできなかったので、ひどいことになっている。掃除機をかけ、さらに床をクイックルワイパーで拭く。何ヶ月分も溜まってしまった古新聞を梱包して、捨てられるようにする。もう着ることのなくなった服もいくらか処分するようにした。いくらか部屋が広くなったような気がする。

 ご飯を炊いておくと便利だ。ありあわせのもので簡単に昼食を摂って出かける。ニュースでは津軽海峡線が長時間不通になったとのこと。明後日にはその津軽海峡線を通って札幌に行く。大雪の予報にだんだんと心配になってきた。

 ホームセンターで灯油を買う。2週間に1缶のペースで消費している。この冬はガスや電気も含め、光熱費が相当かさんでいる。この冬の厳しさは、体感温度よりも出費の具合でもって実感する。

 研究室に着くと、データの移動は無事に完了していた。使えなくなったアプリケーションは覚悟していたよりもずっと少なくて済んだ。だが一番の問題はこれまで使っていたFujitsuのHandydriveが使用できなくなったことだ。メーカーのホームページを見ても、僕の使っている機種はWindows7未対応と明記してある。これは不便だ。早々に新しいポータブルのハードディスクを調達して、そちらにデータを移してやらないといけない。

 仕事の傍ら「笑点」を見る。せっかく久々に見られるというのに、完全な「ながら視聴」になってしまったので、内容はほとんど印象に残っていない。

 帰宅して、大河ドラマ「江」を見ながらの夕食。明智光秀役の市村正親さんの芝居が濃くて、何だかおかしい。市村さんはこれまでにもテレビドラマには何度も出演されているから、今回がそういう演出になっているということなのだろう。テレビの世界のなかで、一人だけ舞台をやっているような、そんな感じである。次回の予告編の「敵は、本能寺にありぃぃぃ~」というのも何だかすごいな。

 夜になって、再び雪が降ってきた。車の上にみるみるうちに積もっていく。それを払いのけて福家に行く。すっかりここがお気に入りになっている。閉店間際になると、広い浴室を独り占めだ。心ゆくまで温まった。


1月29日(土)雪

2011-02-10 23:56:51 | Weblog
 11時半に目が覚めた。この時間ならば当然朝食を摂るには及ばない。洗濯を先に済ませて、援助物資のなかからレトルトカレーを取り出して、温めて食べる。それなりにいいものなのだが、やはり実家やお店で食べるものには及ばない。少々味が濃い(辛いという意味ではなくて)のがいけないのかもしれない。

 少ししてから車で出かける。駅に行って、出張用のきっぷを手配する。弘前駅のみどりの窓口の駅員さんはどの方も実に親切だ。細かい要望を出しても、いろいろと聞いてくれる。お年寄りのお客さんへの対応を見ていても、とても丁寧である。自動券売機でも買うことができるのだけれど、急ぎでないときには窓口も利用する。

 1階のしかないせんべいで、来週の出張に持参するおみやげのお菓子を買う。先日駅ビルアプリーズの抽選で当たった1,000円分の商品券を使わせてもらった。何となく一番いい使い方ができたような気がする。 

 ドトールでコーヒーを飲もうと思ったら、満席である。仕方がないのでイトーヨーカドー地下のほうのお店で一服する。

 さて、先日穴が開いてしまった「茶1号」に代わる雪靴を買わなくてはならない。すでに雪靴のシーズンを過ぎてしまったのか、品数があまりない。防滑仕様のものはいろいろあるのだが、くるぶしまで覆うようなブーツタイプのものは少ない。色々迷って、ずいぶんと値段の下がったものを買う。「茶3号」である。

 食料品も買い込んで、車に積み込む。そのまま大学へ。外気温の低さを考えればこのまま載っけておいても生鮮食料品が傷むことはあるまい。

 研究室でしばらく仕事をする。ひと段落したところで、いよいよパソコンの切り替え作業に取りかかる。専用ソフトを使用して、データの移動作業。これまでのWindowsXPからWindows7への移行である。いろいろと古いソフトを使ってきたから、互換性がどうなのか、結構気がかりである。長年愛用しているAL-Mailなんかはちゃんと動くのだろうか。

 データがすべて移動するには数時間を要するので、移動の開始を見届けて帰宅する。炊きたてのご飯の夕食。やはり少々食べ過ぎてしまう。もうちょっと自重しなくてはならない。今夜は自宅でじっとしている。こたつに入って読書したり、テレビを見たりする。休日に自宅にいると、夜はずいぶんと長いものだと感じる。

1月28日(金)雪

2011-02-10 00:13:54 | Weblog

 9時起床。朝食はお餅2切れと健康茶。お餅は腹持ちがいいのがよろしい。何となく力が出るような気がする。だが、それをくじくように外は吹雪いている。

 普段は朝と夜とでかぶる帽子を変えている(朝方はマッキノーキャップで、夜はボマーハット)なのだが、今朝は行きからしてボマーハット着用である。コートのフードは外してある。帽子をかぶっているのだから、そもそもフードをかぶる必要がないし、付いていれば付いていたで、雪が溜まってしまうのだ。

 男女共同参画推進室に顔を出す。ふらっと立ち寄っても、職員の皆さんはいつも気持ちよく迎えてくださるのがうれしい。お茶を出してくれたりもするので、ついついお邪魔をしてしまう。お仕事の邪魔をしてしまうようで、少々心苦しい。今日は来週の出張で持参する資料などをもらいにきた。ひととおり揃えてもらった後も、しばらく北海道の鉄道の魅力なんかについて力説した。いい加減お邪魔をし過ぎたので、お礼をいって室を出た。

 帰りがけにスコーラムに寄る。僕の好きなゆうこりんパスタの応用メニューであるチーズパスタを勧めてもらったのだが、ランチのビーフシチューに惹かれて今日はこちらをオーダーした。これはなかなかうまい。食後のコーヒーをゆっくりと飲む。昨日に続いて『バスで田舎に行く』を読む。泉さんも宮脇俊三さんも、青森のバスの旅を楽しんでいる。僕はこちらでは弘南バスと高速バスにしか乗ったことがない。青森駅から出る路線バスなんかも楽しそうだ。弘前近辺だと、どうしても自分の車で、という感じになってしまうので、なかなか機会はないだろう。

 午後は各方面への連絡ばかりに追われていた。期末試験のシーズンでもあり、また入試だの補講だのといったこともある。Outlookのタスクトレイにスケジュールと仕事を入力する。かなり細かいものまで打ち込んでいるのだが、それでも何か漏れがあるような気がして、いささか不安になる。便利な機能だけれども、なまじこういったものがあるからこそ落ち着かなくなるのかも知れない。

 来年度担当する放送大学の面接授業のシラバスを作成して、メール添付で送る。2日間で8時間ということだが、大学の授業の雰囲気そのままでかまわないとのことだったので、15回もののなかから一般受けしそうなものを8つ選んで編成した。シラバス作成は大した作業ではなかったのだが、講師の履歴書作成のほうに時間がかかった。Wordファイルだと日付の並びが崩れたりしてしまって、どうにも見ばえが悪いのだ。

 僕自身は、手書きの履歴書というのはたぶん2,3回しか書いたことがない。学部生の時分に就職活動をしていたら、もっと書く機会は多かったと思うのだが(そもそも当時はWebエントリーなんてなかったから、ハガキを書いて送るのだった)。教員公募に応募する際にはパソコンで作成するようになっていたが、このフォーマットが大学によって違うから実に面倒だ。日本の大学だけでもフォーマットを統一してくれたりしたら、若手研究者の負担もずいぶんと軽減するだろうに。まあ採る側としては、いちいち手間をかけさせて、「意欲」や「覚悟」を問うている側面もあるのかもしれない。以前は健康診断書の提出を求めるところも多かった。保険など効かないから、実費で8,000円くらいはかかった。そうやって「踏み絵」を強いていることに、採る側の人びとがほとんど無頓着であったのには大いに驚いたものである。

 雪の降るなかを桃太郎温泉に行く。行く前に雪を下ろしていったのだが、湯から出て乗り込むときには窓にべったりと付着している。それを大急ぎで落とす。せっかく温まったところに少々損をしたような気になる。


1月27日(木)晴れのち雪

2011-02-09 23:46:55 | Weblog
 9時起床。朝食は昨日実家から送られてきた発芽玄米のお餅。何しろ餅好きである。新しいうちに好みの状態に焼き上げて、しょうゆのみで食べる。食後に少々胸焼けがするが、これもまた餅食の醍醐味というものであろう。

 気温が上がっているのか、時折屋根から雪塊がどさっ、どさっと落ちている。うっかり頭にでも当たったら大変なことになりそうだ。とはいえ、実にすがすがしい朝である。冷たい風さえ気持ちよく感じられる。


 研究室に着いて、まずは新しいPCを眺める。すでに箱からは出しているが、セッティング等は週末だ。あと2日ばかり我慢しなくてはならぬ。

 3つ4つメールへの返信をして、早めの昼食。研究室に戻る。戻ってから電話での連絡をいくつか済ませると、授業の時間になった。

 3コマは「比較社会学」。授業は今週と来週の2回。今日はクロス表分析の話しが中心。いまだに2007年度に「地域生活調査実習」で行った質問紙調査のデータを教材として使っている。回収率が高く、また分析結果もなかなか面白いものだったので、実に使い勝手がいいデータだ。でもそろそろ新しい自前のデータが欲しくなってきたところでもある。来年度の「地域生活調査実習」では、久しぶりに質問紙調査をやってみるのもいいかもしれない。

 4コマは「公民演習」。卒論の提出日から1週間が経って、そこそこ人数が揃った。だが全員ではない。今日までの14回のなかで、みんなが顔を揃えた回は2,3回くらいなのではないかと思う。そうした事情を抜きにしても、それなりに充実したゼミになったとは思う。4年生にとっては、かつての少人数のころのゼミの雰囲気を懐かしむ時間にもなっていたようだ。ただ、人数が少ないとついつい僕がしゃべりすぎてしまう。今回は人口統計の意味について、多くの時間を割いて説明した。ちょっと本題からは逸脱しているような気もするが、普通の講義ではなかなかできない話しができたからよしとする。

 少しばかり仕事と仕事の合間に余裕が生まれた。ほっとひと息つく。今宵も「プリムヴェール」へ。チキンカツのセットを注文する。チキンカツといってもただのチキンカツではない。凝った味つけのソースに付けて食べる。いつも店先のボードにちゃんとした名前が書いてあるのだが、凝っているものだからよく覚えられない。とにかくおいしいことだけは確かだ。


 食後にはハーブティーを飲みながら、泉麻人『バスで田舎に行く』を読む。すでに絶版になっていて、アマゾンのマーケットプレイスで求めたものだ。宮脇俊三の『ローカルバスの終点へ』とはまた違った味わいがある。泉さんのほうが、バスに対するこだわりはやはり強いような気がする。

 今夜は福家へ。駐車場に車を停めていたら、すぐ目の前を弘南線の電車が黒石に向かって走っていった。雪のなかの夜電車を写真に撮ろうとしたが、うまく写らなかった。

 時間をかけてじっくりと温まる。ミストサウナなんていうのがあるのも僕にはうれしい。普通のサウナだと、どうにも長い時間入っていられないのだ。いい気分で入口の門をくぐる。これがあるだけでも、ずいぶんぜいたくなお湯に浸かったような気になれる。