8時起床。朝食は天然酵母のパン、目玉焼き(父バージョン)、野菜サラダ。今日もやはり緑茶を飲む。
9時に昭島駅に送ってもらう。青梅線、中央線と乗り継いで東京駅へ。GRANSTA近くのコインロッカーはふさがっていたので、穴場のほうに預けに行く。
地下から地上に出る。日差しがまぶしい。天気予報では雨だったんじゃないかな。どうも予報というのはアテにならない。でも雨降りよりは夏らしく晴れたほうがいい。
東京での週末もひとまず終わり(といってもひと月先にはまた帰るのだが)ということで、バスの旅に出ることにした。今日は都営バス。もちろん500円の一日乗車券を使い倒してやろうという魂胆である。
東京駅丸の内北口のバス停から、「東43」系統荒川土手行きのバスに乗る。いつの間にか乗り場が少し移動していた。日曜ということで、車内は空いている。駿河台下から御茶ノ水駅前に上り、東大赤門前で下車する。日曜日だから、図書館で作業をするアテもない。純粋に構内を散策する。
お金持ち大学だけあって、施設なんかがどんどん新しくなっているようだが、安田講堂のあたりなんかは、そう大きくは変わっていない。キャンパスツアーか何かがあるのか、案内をされている団体さんもいる。その人たちに混ざって、安田講堂にカメラを向ける。
この建物は、いつも遠巻きに眺めるだけだったが、正面入口のところに近寄ってみると、なかなか凝った意匠がみられる。扉の上のガラスのデザインなんかは、ちょっとかわいらしい。
第二購買部が営業していたので、野球応援用(?)の小旗と東大マーク入りの手ぬぐいを買う。そこから三四郎池に回ってみる。釣りをしている子どもがいる。この辺も変わっていないな。
東大構内バス停から、「学01」系統のバスに乗り、竜岡門で下車。東大のキャンパスの端から端まで乗ったということ。ここからは湯島天神を目指して歩く。途中、麟祥院という緑豊かな寺院がみえて、吸い込まれるように入ってみる。何の前知識もなかったのだが、ここが春日局のお墓なのだそうだ。規模からいうと、豪徳寺の井伊直弼のお墓よりも立派だ。そして墓石に穴が空いている。
湯島天神に参拝する。おみくじを引く。小吉。やはり学問に関しては厳しいメッセージが書かれていた。
それにしても暑い。道路を渡って、今日の第一の目的地である旧岩崎邸庭園に着いたころには汗だくになる。
旧岩崎邸は、以前訪れたときには和館のみが公開されていて、僕はまだ洋館の内部をみたことがない。あれこれ洋館をみてきたけれども、とくにここは特別、という印象がある。
実際入ってみると、金唐革紙の貼られた壁面とか、天井の意匠とか、とにかく凝っている。当時の贅を尽くした感がある。とはいえ、それらは決して嫌味な感じがしないのがポイント。イスラム風の装飾にこだわった、ジョサイア・コンドルの意図は、案外そんなところにあるんじゃないかと思う。
2階のバルコニーから眺める青々とした芝生の色も鮮やかだ。
重要文化財だけあって、クーラーは設置されていない。ますます暑い。庭園入口のところでみた看板に期待を寄せて、和館のほうに回る。こちらは一転して、質素(あくまで一見、だが)なつくり。ここに茶室が設けてあって、抹茶なんかをいただくことができる。だが今日は迷わず抹茶金時だ。
見た目も味も涼やかだった。すっかり生き返った。元気を取り戻して、庭のほうに回ってみる。バルコニーを外から眺め、場所を変えると角度によって建物の表情が大きく変わることに気づく。さらに撞球室をみて、塔屋のある玄関のほうに回る。
湯島三丁目から「都02」系統に乗り、石原一丁目へ。横網町公園に行く。ここに足を運んだのは、東京都震災慰霊堂と復興記念館をみるためである。先日、築地と月島に行ったとき、築地本願寺をみてきたので、東京の伊東忠太の代表作をチェックしておこうと思ったのだ。
復興記念館のほうは、静かな雰囲気のなかで、古びた展示品や、色褪せかけた写真が余計に被害の生々しさを伝えてくれる。
再び「都02」系統に乗って錦糸町へ。ここで少し遅めの昼食。五右衛門でパスタを食べる。チェーン店でも、普段食べられないお店の味というのはうれしいもの。
錦糸町駅前から「都07」系統に乗る。終点の門前仲町に行くには、もっと近道の路線があるが、ちょいと遠回りをしてみる。門前仲町からは「門19」系統に乗り継いで、お台場方面に回ってみることにした。だが、このあたりから少々帰りの時間が気になりだした。
終点の国際展示場駅前に着くと、目の前に「虹01」系統のバスが発車直前だった。小走りに飛び乗る。とりあえずこれに乗ってしまえば大丈夫だろう。ひと安心する。
だが、船の科学館の前あたりから、大渋滞に巻き込まれる。フジテレビ前に到達するまでに15分近くかかった。渋滞がどこで終わるのか、前方をみても、見当がつかない。仕方なくフジテレビ前でバスを降りる。そこからお台場海浜公園駅まで歩いて、ゆりかもめに乗った。こちらもラッシュ時のような混雑だ。だがバスに乗り続けていたら、相当遅くなったことだろう。
終点新橋のひとつ手前、汐留で下車する。そういえば、2ヶ月ほどまえにはここで「Wicked」を観たのだった。あの日も抹茶の金時を食べたんだったな。ついこの前のような、結構前のような、不思議な気分だ。日本テレビのビルの脇を通る。8月末に公開の「20世紀少年」のオブジェもスタンバイしていた。
新橋駅から東京駅に着いたのは5時半。例によって新宿アカシアで弁当を買い、17時56分発の「はやて29号」に乗り込む。食事をしたとき以外はほとんど眠っていた。八戸から乗り継いだ「つがる29号」でも同様に。
弘前駅に降り立つと、ひんやりと涼しい。猛暑の一日がまるで夢のようだ。再び現実の生活に戻る。まずはテストの採点を乗り切らなければ。