保身

七月も終わる。

まさかこんげな月半分になるとは思わんかったわい。

うちらたかだか二万人の町やが、この半月で、昨日まで４２人の感染者をだしてしもた。

これは人口比から云や東京の２倍以上になる、いま国内で最も感染率の高い危険なエリアになっとるわ。

尾身茂氏が数日前に言うには、ゴウトゥキャンペーンは未だ止めちょった方がいいて言うたとじゃけん聞き入れて貰えんかった、じゃとさ。

今ごろ、笑わせよるわ。

一抜けたって、責任逃れじゃろかい。

最終的にゃ政府決定に同意したとやろうに、じゃなけりゃ、わたしゃ納得できんちゅうてさっさと辞めたらいかったとに。

人として弱すぎやせんか、君は。

自談

一龍斎貞水、現在八十一歳。

２００２年に講談師として初の人間国宝に認定。

だが、わたしん好きやった貞水は、今から三十五年ほど前、ギラギラしてた頃、おどろおどろした怪談を、どろんどろんに講談しよった彼。

今現在の近影にゃ、がっくりした。

先日、テレビで観たら、憑き物が取れたような、毒の無い、内も外も丸くなった姿にびっくらこいたわ。

はじめは貞水じゃないやん、とも。

地位が人を作るちゅうが、人間国宝ともなりゃ、こんげも人が出来る、福々しくなるちゃろうかね。

わたしは自分自身には否定する。

わたしゃ年寄りになろうが、変人で、天邪鬼でいたい。

出来りゃ、危なっかしい、鉄砲玉野郎の香りを漂わせていたい。

人の価値観は様々、じゃけどね。

懐談

夏ん夜は、怪談じゃろう。

四谷怪談、番長皿屋敷、牡丹燈籠、昔かい大好きやった。

大概の子供は怖い、夜に便所によう行かんなるかい、嫌いか見たいけどよう見らんかったはず、じゃけんどん。

変人で天邪鬼なわたしは、そんげな普通ん子とは別もんじゃってね。

おどろおどろしたもんが好きで、映画も、テレビであるドラマや、そして講談も。

一龍斎貞水の怪談、夏の風物詩。

粋で涼しい語り口、顔を下からライトアップするやら反則技も使う。

テレビで盆頃んようやりよったわ。

今のうっとしい騒動も、ぱあーっと吹き飛ばしてくれんじゃろかい。

賭境

当初、ありゃ３月頃かな。

第一波がきた時に、パチンカー達の無頓着さに呆れたり、ちょい怒っちょったもんやが。

考ゆっと、パチンコ屋でクラスターが出たこつあった？

パチンコして感染してしもた実例はあったとやろかい？

なんでも、パチンコ屋の換気システムは凄い性能らしく、密閉した空間を当然想定した上で、満員の客に対応可とした計算を元々しちゃる。

客は前を向いて黙って球をうちギャンブルを楽しむのみ、密ではあろうが、お喋りして飛沫がとぶこともまず無い。

さらに今は店側も消毒管理を徹底してやっている上に、気の毒なほど客が少ない。

冷房も効いて、案外と静か、こりゃ快適な空間じゃわ。

クラスターがいつ出てもおかしくない様な飲み屋とは、環境が格段に違う。

頭ごなしに偏見の眼差しで見よったこと、パチンカーにゃちょっと謝らんといかんとかな。

禍越

スナックで出たクラスターの全容を把握中。

町内全ての対象者を検査するにはもうしばらくかかりそう。

保健所にはPCR検査待ちの方々、それぞれん車に乗って待機されておった。

はじめは遥か中国武漢の話しやったとに、我が家から数キロ先での話しんなってしもた。

じゃけど我が町にも生活があり、これまでに得た知識もある。

必要以上に騒いだり恐れたりする事なく、町外への外出は控えながらも暮らしを営んどる。

所用あって町社会教育課へ行ったら、顔見知りの職員さんも疲れてそうな表情でも小笑顔で会釈をしてくれた。

先ずは今月末まで、ここ一週間が踏ん張り時やろ。

三次感染を抑え込んだら、逆転かけましょや。

客が減ってしもた役場隣のパチンコ屋でトイレ借りて、著者近影。