
先月買ったこの本を読みあぐんでいます。
「奴隷にされた少女 メンデ」
良書です。文章も翻訳も良くて、本としてはとても読みやすい本です。それなのになぜ読みあぐんでいるのか。
このメンデが、たとえばアメリカが独立したころの子なら、せめて100年前の子だったら、過酷な人生を歩んだ子の半生記として、一気に読めるはずです。
それなのに読みあぐんでいるのは、このメンデはわが子より10歳も若い女の子だからです。つまり、過去の物語ではなく、いま現在の話なのです。そのためすべてが生々しくて、ページをめくるたびにあれこれ考えてしまい、前に進めなくなるのです。

メンデはスーダンのヌバ山地に住むヌバ族の子です。父母兄弟と幸せな日を送っていました。
ある日アラブ人の民兵に村は襲撃され、メンデの人生は激変します。メンデのは他の子どもたちと民兵に連れ去られ、奴隷商人のもとへ。そしてメンデはアラブ人のところに買われて行きます。そこには奴隷としての過酷な毎日が待っていました。
平和な日本に住んでいると、奴隷ことなどはるか昔の、歴史上のことだと思ってしまいますが、この本はいまも地球上のどこかでこのようなことが行われていることを示唆していて、重い気持ちになるのです。

今日は長女の月命日です。次女から花も届きました。
この地球上にはメンデのような過酷な人生を送る人が多くいますが、長女はそのようなことに遭遇することもなく、多くの友だちに恵まれ、輝くような人生を歩んでくれました。
この本を読みながら、そのような長女を育てられたこと、そして長女がそのように大きく育ってくれたことに、これまで以上に大きな誇りを感じるようになりました。
すべての人間は、生まれながらにして自由であり、
かつ、尊厳と権利について平等である。
人間は、理性と良心を授けられており、
お互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。
世界人権宣言より