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生物の形-ポリ亭のマクロ・顕微鏡写真-

 身近な動植物のマクロ写真や顕微鏡を用いて撮るミクロ写真を載せていきます。「生物の形」を気楽に楽しんでいきたいものです。

[#1104] 春の花(7)ネコヤナギ(7)-偏光顕微鏡写真-

2011-03-04 15:02:48 | Weblog
◆ 前回乗せた写真と同じ場所の偏光顕微鏡写真を示します。偏光顕微鏡についてはこれまでも説明しましたが,今回も簡単に説明しておきましょう。偏光板(下方から進行してきた光の一方向に振動する光のみ通過させる)を試料台の上下に置き,光の振動方向を直交させます(画面の水平と垂直方向:クロスニコル状態)。このため,試料のない場所では暗黒になります。しかし,光学的に異方性のある試料(長さ方向と垂直方向の屈折率したがって光の進行速度が異なる試料)を置きますと,方向により光の進行速度が異なるため目に入るときには光路差を生じます。このため試料は明るく見えるようになります。
◆ 今回の写真を見ると分かるように,ネコヤナギの毛は明るく見えています。したがって毛の長さ方向と垂直方向の屈折率が異なることが分かります。この結果はネコヤナギを構成する高分子鎖(おそらく多糖類)が長さ方向に配列していることを示しています。毛がある程度の強さを発揮するには分子鎖が長さ方向に配向する必要があるためです。また透明であるということはこの高分子鎖が光の波長より小さい微細な結晶を形成しているか,または結晶を形成していないかのどちらかです。この点は広角X線回折法などの方法で調べないと確認できません。なお,偏光顕微鏡写真の原理なのですが,水平および垂直方向に配向した毛は暗くなります。
◆ ついでに付け加えておきますと,セルロース,キチン,コラーゲンなど天然に産生する繊維では,分子鎖が長さ方向に配向し,しかも結晶性であることはよく知られています。
撮影日:2011.3.2
ミクロラボΠ-SABAE ポリ亭

[#1103] 春の花(6)ネコヤナギ(6)-偏光顕微鏡写真-

2011-03-04 14:47:02 | Weblog
◆ ネコヤナギの花茎に生えている毛を根元から引き抜きますと,毛は”くさび状構造体”とともに姿を現します。写真の下方に見える影はそれに相当しています。後の記事でもっとはっきりした状態で示しますが,毛はこの平板状の”くさび型構造体”の表面より生えてきています。この写真は偏光顕微鏡写真ですが,偏光板の光と通過させる方向は平行な状態(平行ニコル)で撮影しました。
撮影日:2011.3.2
撮影場所:福井県鯖江市自宅
ミクロラボΠ-SABAE ポリ亭

[#1102] 春の花(5)ネコヤナギ(5)-マクロ写真-

2011-03-04 14:32:49 | Weblog
◆ 前回のネコヤナギの花茎より引き抜いた毛の超マクロ写真では,1本の毛の中で赤色から青色へと分光している様子が見られました。花茎に生えた状態でこのような写真が撮れましたので載せます。ネコヤナギの花茎の下半分を写しているのですが,下方に向かって生えている毛にあたった光が分光している様子が観察できます。ネコヤナギを逆光で見るときキラキラ光ってきれいであるのは,そのせいかも知れませんす。バックが明るい時はこのような分光する様子は見られません。
撮影日:2011.3.4
ミクロラボΠ-SABAE ポリ亭