旅するはらっぱ~日々旅日記

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はらっぱニュース◆2015年9月21日号《夏の想ひ出③出張料理人体験@ありがとうファーム》

2015年09月21日 | さっぽろ旅
こんばんは♪

前号の番外編に引きつづき、めずらしく連続投稿です(笑)

もともと綴る予定で予告もしてあった「デデア(デジタルデトックスアドベンチャー)」の話題をワケあってさらに次回にずらし(すみません…!)、

今回は、先週の金曜日までおじゃましていた、無肥料・無農薬・自家採種の農園「ありがとうファーム」についてお伝えします。

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★出張料理人の日々

千歳市にあるこのファームに農業研修でやってきた筑波大学の皆さん24名と、東京から修学旅行でやってきた中学生3名の食事係として、10日間住み込みで“出張料理人”として働いてきました。(実は料理も、私がこれまで仕事としてやってきたことの一つなのです)

(「ありがとうファーム」を営む、荒さんご夫妻)


(青春まっただ中!の筑波大の皆さんと、平飼い鶏舎の前で)


(東京・修徳中学校の中学生たち。めんこい!)


(ありがとうファームの一角)


(驚くべきおいしさの枝豆を収穫中の、荒まりこさん)

荒さんご夫妻に家族の一員のように迎えていただけたことや、ステキな教授やぴちぴちの若者たちと交流できたことも大きな喜びでしたが、

何よりのエネルギーチャージになったのは、森と湧き水の生気に満ちた環境と荒さんご夫妻の愛に育まれた色とりどりのピカピカ野菜や平飼い有精卵+ファームのキッチンにあるこだわりの自然調味料の数々…を使って、自由に料理させていただけたこと。

私が得意としているのは「そこにある食材で作るひらめきエコ料理」なのですが、そんな私にとって願ってもない食材や自由を与えていただき、心に矛盾なくやりたいことに没頭し、それを喜んでもらえる幸せを、存分に味わうことができた10日間でした。

作ったお料理や10日間の様子は以下の動画にまとめてみたので、楽しんでいただけたら幸いです。


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★無肥料・無農薬・自家採種って…?

「奇跡のりんご」の木村秋則さんが有名になってくれたおかげで、無肥料・無農薬の自然な農業についても以前よりはずっと広く知られるようになってきましたが、

食糧自給率200%と言われ、農家さんが多い北海道においてさえ、「無肥料・無農薬・自家採種の農園」は、まだまだ希少。

「自然栽培」「自然農法」と謳っていても、100%無肥料・無農薬でやっていて、自家採種・在来種・固定種の種に限っている農園はとても少ないのが、実際のところだと思います。

私が最初に無肥料・無農薬の農法に出合ったのは、2003年。

世界の旅を終えて帰国した直後に、水俣で無農薬・無化学肥料で甘夏みかんを作り続けている「はんのうれん(現・エコネットみなまた)」の皆さんと知り合ったことがきっかけで、

「これからは農業について学ぶ必要がある!」と強く思い、ネットで情報を探っていたときに、「無肥料栽培」と書かれたサイトを発見。

問合せに温かく応じてくださったことがきっかけで、岐阜県高山市で無肥料無農薬栽培に取り組む「よしま農園」の与嶋靖智さんの畑を訪ね、この栽培方法について、直にお話を伺ったのでした。

そのとき聴いたお話はどれも印象的で、今もメモを見なくても覚えていることがいくつもあるほど感動の連続だったのですが、

最初の衝撃として忘れられないのは、畑の脇に植えてある花々を見て「お花も栽培していらっしゃるんですね」と言った私に与嶋さんが、「いや、それは出荷するためじゃなく、トマトたちが喜ぶかなぁ…と思ってね」と、ちょっとはにかんだような優しい口調でおっしゃったことでした。

今回まりこさんにこんな与嶋さんのエピソードをいくつかお話ししたら、「わかる~!」と笑って、こんな話をしてくださいました。

「ある日いつものように、『収穫させてくださいね~。お客さんたちが楽しみに待ってくれてるからね~。みんなを元気にしてあげてね~』と言いながらキヌサヤの収穫をしていたら、『でも、私は行けないの…虫に食べられてるから…』っていうすごく悲しそうな声が聞こえた気がして、ビックリしてふと見たら、視線の先にあったキヌサヤ2つに、ほんとに虫がついてたの!変に思われるかもしれないけれど、私はほんとに、キヌサヤが教えてくれたんだな~って思ってるのよ」

「野菜たちはね、声をかけると、香りを放って答えてくれるの」ともおっしゃっていて、私もその経験があったので、コーフンしながら大共感(笑)

話しかけるかどうかで作物の育ちが違ってくる、という話もいろんな農家さんから聞いたことがあり、私自身、その手のリアルな神秘体験もいくつか経験しているので、「こんなふうに声がけされてるから、この農園は優しい気配に満ちてるのね~!」と深くナットクしたのでした。

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★ドジョウは、生きている!

「無肥料で作物が育つの?」

と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、山の植物たちを見ればわかるように、自然の力が生きている土壌では、植物や、虫や、土壌菌たちの自然ないとなみによって命が循環し土自体が生きているので、人間がその生命力を理解して適切に関与していれば、本来作物は何度でも元気に実り続けるのだそう。

今回お初にお目にかかった、日本を代表する土壌学者である筑波大の田村憲司さん率いる「土壌環境化学研究室」のHPには、食事の席で土壌学について語ってくださった時の先生の熱い口調を髣髴とさせる、こんな言葉がつづられていました。

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土壌は、岩石が風化して細かくなっただけの物質ではありません。
土壌は、ただ単に植物の生育を支えるだけの資源でもありません。

土壌それ自体もまた、生物によって育まれ、絶えず変化する、
唯一無二の自然物なのです。
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(田村憲司教授@ありがとうファーム)

田村先生からこの文章につながるお話を直接お聴きしながら、かつて南米のボリビアで、モクモクと煙が立ち上る火口のすぐそばで車を降り、地に足をつけていられないほど熱い大地に立たっとき、「地球は生きているんだ…!」と全身で感じたことを思い出しました。

土壌研究の基本は、地面を掘って土壌の断面を観察し、情報を読み取ることだそうですが、田村先生いはく、

「豊かで健全な土壌というのは、断面の様子が実に美しいんです。もう、美しいとしか言いようがないんですよ」

とのこと。

とっておきの秘密を打ち明けるようなその表情と言葉に、私の心は再びトリップ。

小さなボートに揺られながら息を呑んで見つめたアマゾンの森の景色や、様々な角度から陽の光を浴びて色とりどりの巨大な宝石のように輝いていた南極の氷山たちを思い出し、共感で胸がいっぱいになりました。

多様な命がイキイキと生きている景色は言葉を失うほど美しく、美しいものは、思い出すだけで力を与えてくれる。

土壌も、その内に潜む鉱物たちも、土の上で生きている人間も、地中に根ざし地上に伸びる植物たちも、地中と地上を行き交う動物たちも…宇宙から見れば境目はなく、ただ一粒の星として輝いているのでしょう。

田村先生の言葉によって、地球はきっと、そんな無数の生物たちの生命力がイキイキと息づいているからこそ美しいんだ…と思い至り、遥かな気持ちになりました。


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★ユウキとエフワン

荒さんご夫妻と田村先生のキューピットは、荒さんご夫妻の師匠である、50年以上自然農法を実践してきた恵庭在住の坂本一雄さん

私は5~6年前、仲間とともに坂本さんのお話し会を開いたことがあり、札幌の近くにこんなスゴイ人がいたんだと驚いたのですが、まさか荒さんご夫妻がその方の愛弟子だったとは……! 

「私たちも昔は有機肥料はいいものだと思っていたんだけれど、遺伝子組み換えの穀物や抗生物質を与えている家畜の糞が肥料になっていることを知ったり、無肥料無農薬の自然な栽培の方が土壌が豊かになることを教わって、今のやり方になったの」

というまりこさんの言葉と、細かい種採り作業を黙々と進めるとしやすさんの姿に、試行錯誤を重ねながらこの農園を育んできたおふたりの9年間の歴史と、その中で培われてきた確かさを感じました。

私に最初に「種の問題と自家採種の大切さ」を教えてくれたのは、札幌で無肥料無農薬の自然栽培を10年以上続けている農園「ファーム伊達家」の伊達寛記さん。

伊達さんは私が北海道で初めて出逢った自然栽培家で、何度か開いた彼のお話し会で種について教わっていたおかげで、「自家採種・在来種・固定種で命のリレーをしていく」という荒さんご夫妻のポリシーの意味深さにも、すぐに気づくことができました。

今ほとんどの農家や家庭菜園に取り入れられている種は、病気になりにくい、色、形、味がいい…など、人間にとって好都合な性質を持つ作物の種を人為的に交配させた「F1=エフワン(filial1=一代目の交雑種)」と呼ばれるもので、

この種から実った作物の種を採取して植えても、自然交配の摂理によって、エフワン種と同じ理想的な作物は実りにくく、種採りは手間がかかる作業なので、理想的な作物を手っ取り早く得たいほとんどの農家や家庭菜園家たちは、売られているエフワン種を毎年買っています。

でも、今やエフワン種には遺伝子組み換えを含む不自然な方法で作られているものも多く、人体や自然界に対するその影響もほとんど検証されていません。

自社開発のエフワン種で食糧を通した世界支配をもくろむアメリカの巨大企業・モンサント社や、


人間で言えば無精子症にあたる「雄性不稔(ゆうせいふねん)」の性質を組み込んだエフワン種について知るにつれ、伊達さんや荒さんが実践している「自家採種、固定種、在来種にこだわること」が、どんなに重要かがわかってきます。

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★ありがとう縁ネルギー

ありがとうファームと私の縁結びの女神は、設計事務所「アトリエmomo」をいとなむ友人・櫻井百子さん。

(右端から、櫻井さん、星見さん、私。櫻井さんは星見さんの紹介でこのファームを知ったそう)

彼女は、ありがとうファームの“ミラクルストーリー”のひとつである、「自己資金ゼロだったのに実現した「研修室」づくり」の立役者となった設計士さんです。

数年前、「このファームに研修室を作って、世界の人々が集まる場所にしましょう!」と言った田村先生の言葉で、その実現を夢見て人々に語り出したという荒さん夫妻。

櫻井さんは彼らにクラウドファンディングで資金を募る方法を提案し、それで集まった31万円の資金で最良のリフォームを実現したのです。

(こちらがその研修室。荒さんのご自宅である古い一軒家の2階部分で、以前は暗い極寒の間だったそう。リフォーム後は壁や天井板を取り払い、食事なら計30名以上、宿泊15以上でも利用可能な、ロフト付きの快適スペースになりました)

櫻井さんの働きで、道産の間伐材が原料のエコ断熱材「ウッドファイバー」を生産販売する札幌の企業「木の繊維」からは断熱材が、まりこさんの妹さんの働きで、北見の大幸建設からは高級ペアガラス窓20枚くらい(一件まるごと分!)が、なんとそれぞれ寄付されることになり、クラウドファンディングの資金内で、奇跡のように夢のリフォームが完成。

プロの手が必要な部分は、以前もこのブログに登場した大工の木沢幸彦さんが、その他、断熱材を壁に入れたり、壁にしっくいを塗ったのは、木の繊維の社員さんをはじめとする多くのボランティアさんたちだったとのこと。

荒さんたちの目標を知った大勢の人々の応援パワーで完成した快適な研修室ができたことと、田村先生が顧問を引き受けてくださったおかげで、労働と宿泊&食事の交換システム「WWOOF(ウーフ・World Wide Opportunities on Organic Farms)」へのホスト登録も叶い、ありがとうファームはみるみるうちに、田村先生の予言通り、海外からのウファーも次々とやってくる農園に変容。

ウーファー受け入れ一年目にして、農作業がはかどっただけでなく、薪小屋、薪でピザやパンが焼ける石釜、廃材利用の屋外トイレ…なども誕生し、鶏舎や倉庫のメンテナンスも実現したそうです。

(石釜の作者は、ウファーのトモコ&アレックス)


そんな「ありがとうファーム」では、まりこさんいはく「毎年晴れる!」10月10日(土)に、今年最後の「ありがとうマルシェ」を開催するとのこと。

私も、ありがとうファームの作物を使ったお料理やリメイクグッズで出店しますので、ぜひ遊びにいらしてくださいね!

他にも、おいしいもの、気持ちいいボディワーク、自然派手づくりコスメ、よく当たるカードリーディング、見えるチャネラーさんの明快アドバイス、音楽やヨガアトラクション、フリーマーケットなど、いろんなお楽しみが揃う予定。

自然の中でゆったり楽しめるアットホームなマルシェなので、ご家族やお友だちと相乗りして、お気軽においでマセ♪

プログラムがハッキリしたら、このブログや、ありがとうファームのFBでお伝えしますので、お楽しみに~♪


(ありがとうファームの入口 北海道千歳市泉郷197-1 TEL/FAX 0123-29-2130)



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