MARUMUSHI

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『相棒-劇場版Ⅱ-』。

2010-12-23 23:51:05 | 映画日記
『相棒-劇場版Ⅱ-』を観てきた。

警視庁内で警視総監を含めた幹部が人質となる立てこもり事件が発生。
事件は、正当防衛時の銃の暴発による犯人の死、という形で終息する。
しかし、その裏には警察組織の自己保身と、巨大な野望が隠れていた―

相棒シリーズはテレビでは観た事が無い。でも、映画作品は全部観ている。
一応言っとくと、警察の”特命係”という窓際部署に属する杉下右京と神戸尊という2人が主人公である、という点さえ押さえておけば、テレビシリーズは観てなくてもストーリーが分かりにくくなるとかそんなことは全く無い。
それと、かなり重い映画。
ホントに内容がヘビー。
”あなたの正義を問う”というキャッチコピーどおり、誰が正義なのかがはっきりとしない。

『機動警察パトレイバー2 the Movie』の中にこんなセリフが出てくる。
”正義の戦争と不正義の平和の差は、そう明瞭なものじゃない”
もちろん、このセリフの背景は『相棒-劇場版Ⅱ-』とは違うものだ。
だけど、”戦争”を”混乱”と読み替え、”平和”を”秩序”と読み替えると、本作品が問おうとしている命題に一気に近づく。
”正義の混乱と不正義の秩序の差は、そう明瞭なものじゃない”

警察は国を守るために存在する。
こういうと聞こえは良い。
けれど、国の秩序を守るために、ある程度の国民の犠牲が必要な場合。それを避けて混乱を招くことは、果たして正義と呼べるだろうか?
海上保安庁から中国漁船衝突映像がリークされた時、国民の半数ぐらいはリークした保安官を擁護したはずだ。
少なくとも、頭ごなしに間違っていると言い切れる人はそういなかったろう。
けれど、真実が明らかになることで国民は混乱した。政府も混乱してしまった。
それは正義だったのか?



映画の中で杉下右京という人物は、非常に頭が良い人物に描かれている。常に冷静で状況の一手二手先を瞬時に読み、それに最も適した答えを出す。
だけど、「絶対的な正義がこの世にあるなんて、思ってる?」と尋ねられたとき、彼の顔には揺らぎが浮かぶ。
絶対的な正義は、この世に無い。
正義は悪が存在するからこそ、その存在が認められる。そして、この2つの関係は相対的に決まるものだからだ。
彼は、正義の曖昧さに気付いている。
絶対的な正義は、この世に無い。彼はそれを知っている。でも普段は、気付かない振りをしている。
だからこそ、彼の行動は己の正義で決まる。強烈なエゴと言っても良い。
己の正義を実行した時に、その裏で誰かが涙する事がある。
だから、それを突きつけられたとき戸惑う。一瞬、足が竦む。

彼はきっとこれからも己の正義を信じ続けるだろう。
そして、その正義を行使したあとで、その高性能な頭脳で考えるのだ。
正義とは何か?と。






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