MARUMUSHI

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『ひるね姫』。

2017-03-20 18:37:48 | 映画日記
#ひるね姫

『ひるね姫』を観てきた。
神山監督の世界がグッと詰まった作品だと思う。

僕は30歳も半ばになり、僕の父はもう還暦を過ぎている。
僕は結婚していないけれど、同い年の人たちには家族がありもう子供がいて、随分大きくなっている子供もいる。
僕らは、良きにつけ悪しきにつけ、大人になってしまった。これから衰退していくこの日本の真っ只中で大人になってしまった。

前東京五輪があり、大阪万博があり、新幹線が走り、高速道路が広がり、街が広がり、ベビーブームがあり、天井は無いかのような高度経済成長があった。でも、核家族化の進行にともない少子家庭が増えた。医療の進歩で寿命が伸び、高齢者が増えた。
その一方で、仕事の無い地方から主要都市に人口が集中しだした。結果、都市は保育園も幼稚園もいっぱい。共働きなら、子供を産んでも育てられない環境になった。
地方都市は僕たちの世代がいなくなり、高齢者だらけになった。街はスカスカで、人口密度が下がった。散発して人が存在する都市構成ほど非効率なインフラは無い。電気、水道、ガスは全て配管がいる。ガスは減圧施設が要る。水道は増圧施設が要る。それを維持する必要がある。それが若い世代の世帯ならばまだいい。高齢者のためとなると、はっきり言って「いつまで生きるか分からない連中」に多額の金をつぎ込むことになる。社会福祉のために使える金が、子供たちに使える金が、老い先短い者たちにつぎ込まれる。
そして、超少子高齢化社会が出来上がった。
そんな国を、まだ強引に成長させるために東京スカイツリー、リニア計画を立てた。
そこに東日本大震災が起こった。旧世代が建てた、その場しのぎの、原発が壊れた。少しずつ良くなっているようだけれど、ロボット大国と謳っていた自国のロボットでさえ途中で止まっちゃうぐらいの高線量が放射され続けている。
問題だらけ。課題だらけ。
でも、問題がない時代なんてなかったはずだ。きっとそれなりに大変なことはあったはずだ。
オニはいつでもいたし、足を引っ張る存在はいつでもいたんだろう。
「歴史上の人物が国を作ったのではない。その時の名も無き市井の人たちがこの国を作った」
僕が歴史に名を残すことはありえない。ただの地方公務員として人生を終えると思う。
そこで出来ることをするだけだ。
オニを倒すほんの少しの助力にはなるだろう。エンジンヘッドの車輪をこぐことはできなくても、そこにあるペダルぐらいにはなれるかもしれない。

僕らが手本にしていた大人たちのやり方は、ほとんど通用しないやり方になってしまった。
老害。そう呼ばれる人たちになった。
でも、いかな理由があれど、軋轢があれど、大人も老害も含めて問題だらけのこの日本で生きていかなくてはならない。子供のため、孫のために。
カッコよくなくてもいい。泥臭くてもいい。今に必死にかじりつき生きて行こうとしなければならない。僕らが手本にしていた大人たちのやり方は通用しないけれど、その背中が見せた生きかたを引継ぐことはできるはずだ。

旧世代が作ったハードと、僕たち世代が作ったソフト。これを組み合わせただけでも世界は大きく変わった。
工作機械、自動車、パソコン、携帯電話にタブレット。ハードとソフトがなければ出来なかったもの。僕らと老害たちは何のかので色々なものを一緒に作ってきた。
僕たちの子供たちは何を作ってくれるんだろうか?
この国をどんな風に動かしてくれるんだろうか?
Day Dream Believer.
白昼夢の中にいた僕らは希望を見失いかけている。
でも、子供たちには希望を見せていてあげたい。そのために僕たちはもう一度白昼夢をみる必要がある。

Day Dream Believer, Again.

さぁ、もう一度、夢を見よう。





もう一度観てきた。

ハーツがなぜモリオの命令を無視したのか分からなかったけれど、少し分かった。
ココネの母は、自動運転技術プログラムの中に優しさという仕組みを入れたんだろう。
心根をもち、冒険する子供たちの相棒になるべき頼れる味方。そのための優しさという概念。

心羽一つで人は空も飛べる

冒険したくなる世界。冒険する価値のある世界。
そんな世界を子供に渡せるだろうか?

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