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MARUMUSHI

映画とかTwitterとかとか。

『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』

2020-04-20 02:50:15 | 映画日記
『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』を観た。


夫婦は他人。だからこそ婚姻という契約を結ぶ。そうしないと維持できない関係だ。
そして維持し続けようという努力がいる。上手くまとまらないかもしれないけれど、まとまらないこと込みでどこまで頑張れるか。
月がきれいな時もあれば、涙に揺れることもある。
夫婦って大変だ。
人と人が分かりあうことは出来ない。
ただ、分かりあおうとし続けることは出来る。
そのために死を予行演習しておくというのも悪くないだろう。
化けて出たときにどんな感じかを掴んでおくのもいい。
シンプルに笑い狙いでもいいと思う。
その仕掛けの具合と相手の反応を量るのもお互いのバロメーターとしていいんじゃないだろうか。
ただ、毎日毎日仕掛けてくるのはきついな。
月水金ぐらいでお願いしたい。


それぐらいのお願いで月が欠けることは無いだろうから。



『星屑の町』。

2020-03-09 23:42:11 | 映画日記
『星屑の町』を観てきた。
涙は出ないけれど、魂にズシンとくるものがあった。

新しい物が街にあふれ、古い物はドンドン捨て置かれていく。
新しいものを求めて人は動いてき、古い者は取り残される。

新しい物と者は古臭い物と者にならないためにまた新しい物と者になり続けなければならない。
変化に取り残されないために今を壊し新しいものを提供し続ける。プロとはそういうものなんだろう。
では、古い物と者は半端ものということになるのか。
半端ものが好きで、ダメだと思いながらそれしかなく、ずっとずっと続けたら、プロの半端ものになれないものだろうか。

星屑の町。
星になれなかったものと星になろうとするものの町。どちらもしっかりと空で輝く星。
星屑の町はどこにでもある町なのかもしれない。


舞台『星屑の町』では、のんではなく高橋愛が演じている。本物の訛りと芋っぽさを持っているという点を考えると彼女でもいい作品が作れそうだな、と思った。

 

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 -永遠と自動手記人形-』

2019-09-06 20:49:15 | 映画日記
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝 -永遠と自動手記人形-』を観てきた。
#ヴァイオレット・エヴァーガーデン

気品ある姿に玲瓏な声。
硬質な音を立てる義手。
脆いが堅牢な精神。
超人的な身体能力に包まれた狂気。
それを抑えんがための緑のブローチ。仕事仲間。そして、会うことのかなわない想い人。

変化というものは見えないうちに徐々に進んでいくものと、ある一瞬で劇的に動くものがある。
人との出会い。人との別れ。これらはある日いきなり目の前に現れる。神というものがいるならばずいぶん勝手なことをするなぁ、と思う。
ただ、いかなる神の御手が入ろうと誰かの犠牲の上に誰かの幸せがあるなどあってはならない。仮にそのような間違いがあったのなら、訓練や努力、周りの助けなどでそれは正すことができる。
【エイミー】
【テイラー】
今は手紙で心を通じあわせる二人。絶望が生きる希望に変わる。
それを見て微笑む、「お客様がお望みならばどこでも駆けつけます。自動手記人形サービス、-」
ヴァイオレット・エヴァーガーデンです。

とにかく、あいかわらず映像が美しい。
ヴァイオレットの男装の麗人も破壊力がある、が、やはり彼女にはドレスの方が似合うだろう。

触れたくはないけれど。
エンドクレジットに事件で亡くなられた方の名前を数名見つけた。
この作品は彼らからの手紙の一通なんだろう。しっかり読みたいところだ。
そして、面白いなら面白いと、つまらないならつまらないとしっかり評価しよう。
それは今生だろうが天に召されていようが関係ない。お情けの面白いという感想ほどプロを傷つける言葉はないと思う。

最後はこの言葉で締めくくりたい。
安らかに。

 

『薄暮』

2019-08-17 20:45:15 | 映画日記
#薄暮
『薄暮』を観てきた。
とても落ち着いていて、これが日常なんだ、これでいいんだと思わせてくれた。
普通に学校に行き、普通にクラブ活動に励み、普通に家に帰ってご飯を食べて風呂に入って、お母さんやお姉ちゃんとバカ話をしながら笑い、ちょっとの間静かな時間を過ごして眠る。
そう、普通なのだ。仮にそこに東日本大震災と原発事故の影があったとしても。これから先、何十年もトラウマになるであろう震災の記憶。あまりにもそのトラウマ反応が繰り返され自然に目にしているから、もう高次の記憶にまで押し上げられてしまい、要は慣れてしまっている。それは僥倖と言ってもいい。人は変わるのだ。
薄暮。夕日が暗闇に変わる短い時間。その時間が彼女の人生にそこに少しだけ、色を付ける。恋が実る。心が乱れ喜び彼女たちは日々を過ごしていく。
空に向かってバイオリンを奏でる。その横で緑を描き、紙の中に封じ込める。
少しずつ彼女たちは成長する。彼女たちを取り巻く環境も変わっていく。そんな中でこの恋がいつまでも続くだろうか。バス停でどちらかがどちらかを待つように、2人は寄り添っていくだろうか。それはずっと先の話だし物語の余白の中で語られていく物語だ。

5月26日にイオンシネマ茨木で試写会に参加。半分完成しているかどうか、ラッシュと呼ばれる状態での試写になった。この責任を取り監督の山本寛さんは「今後作品を作らない」と引退を発表。そこで一つ言いたいんだけれど、じゃぁ、他に何ができるのかなー、と…。もう良くも悪くもアニメの世界にどっぷり浸かっているわけで、その中で足掻いていってほしいな。


 

『薄暮』(試写会バーション)

2019-05-27 01:29:24 | 映画日記
#薄暮 #劇場アニメ #6月21日全国ロードショー
『薄暮』の試写会に行ってきた。
最初にプロデューサーと監督の挨拶。というか謝罪だな。
僕はcampfireのパトロンとしてこの映画に出資した。だから、この謝罪が行われたわけだ。

作品は全く完成していなかった。

監督の山本寛さんいわく「半分ぐらいが色を塗られていない状態で、さらにその半分の半分ぐらいは絵コンテのままだ」
と説明があった。作品を見るとたしかにそのとおりで、色がついている部分も(例えばバイオリンの弓毛がただの板だったり)違和感が残ったままだった。
「大画面で見るラッシュ」と笑い半分で仰っていたが、まさにそのとおりだ。
『ガンドレス』の状態だった。

とてもいい作品だと思った。
舞台は福島県いわき市。東日本大震災で被災し、復興した後の街の話だ。
音楽部でバイオリンを演奏する高校一年生の女の子。
他校で美術部に所属し被写体を探している男の子。
彼女たちは出会った。
当たり前はすぐに失くなる。それを残したいと彼は言う。そのために絵を描くのだ、と。
彼女はそんな彼に惹かれていく。
そして、ラストは―。

僕はすごくいい作品だと思った。
はっきり言ってしまうが、彼らは被爆者でその第一世代になる。
その事実は段々と薄まり、日常の中で気にならなくなる。だから、彼女らは普通に生き普通に恋をする。でも、それは当たり前ではない。
2人が肩寄せあいバスに乗るシーンで、なんでもないシーンなのに涙が出た。当たり前はすぐに失くなる。それを綺麗に描いている。
端々におふざけが入っているけれど。それもくさくっていい。
ぜひ完成作品を観たいと思った。パトロンになってよかったなと。

「作品の納期を守れないということはプロ失格。人に厳しいことを言ってきたから自分も甘えることは出来ない。この『薄暮』は私の最後の作品。監督業を廃業します」と山本監督は言った。
たしかに出資者に失礼な状態な作品で拍手は出来なかった。

この国では責任のとり方は、職を辞するということだ。
でも、と思う。
納期を守れないのはプロとして失格。そのとおりだ。でも、誰かに必要とされているなら、今回のパトロンの人たちのように期待されているなら、仕事を捨てるというのもプロ失格だと思う。
だから続けていくべきなんじゃないかな、監督を。ハルヒ、らき☆すた、とな作品を作ってきた手腕はあるわけだし。



なんにしても、本公開が楽しみだ。