Garbage Script on Goo BLOG

某SIerの"元"研究者 兼 情報Security技術者"F.Koryu"の日常の雑記置き場

確かにWinny(ウィニー)による情報漏洩は防ぎたいけど……

2006-05-18 17:06:56 | セキュリティ(技術者向け)
前に書いたぷららのWinnyに関する通信遮断措置に対して総務省が待ったをかけた件に関連して、アチコチのセキュリティ系Blog等で「規制作れ~」系な書き込みが見受けられるようなんですが、個人的には規制で縛るのはあまり望ましくはないかなぁ……と思っています。

え、「あれだけ散々Winny(ウィニー)使うなと書いておきながら、それはどうよ?」という声が聞こえてきそうなんですが、今でも「原則Winnyに代表される匿名P2Pファイル共有ソフトは使うな」というスタンスは変わっていませんヨ。

ただ、法律で縛るのは望ましくないなぁ……というだけです。

(理由)
  • 法律は立案→可決→施行までに時間がかかるし、施行前の被害者は救う事はできない(法律が出来る前の違法行為は罪に問う事はできないのですヨ)。
  • 一旦法律が施行された場合、それを取り消す事は容易ではない(PSE法のケースが良い例ですね……立てた側のメンツってものがあるので、余計難しいのデス)。
  • 仮に撤回(改正・廃止など)する事になったとしても、新規制定までと同様時間がかかる。

    法律で縛るというのは本当に「最終手段」だと思います。良くて監督官庁(通信系だと総務省)によるガイドラインまでがギリギリOKな範囲だと思います。
    (ガイドラインであれば、法的拘束力は無いが、お上の意思は示されているという事で、まだ何かあっても軌道修正はし易いのです。)

    確かに対策を行いたい側(この場合はISP等の電気通信事業者)からすれば、法律で縛られた方が楽なんでしょうけれど……。

  • まぁ、当然と言えば当然>ISPによるWinny通信遮断措置に総務省が「待った」

    2006-05-18 09:39:06 | セキュリティ(技術者向け)
    Winnyの通信遮断は違法と総務省が判断、Plalaが規制中止へ - GIGAZINE
    Winny遮断に国が「待った」 - /.J
    ヤマガタさんの処経由
    先日のIAJapanセミナーの話と少し絡むんですが、基本的にISPってのは「電気通信事業法」における「電気通信事業者」に当てはまり、第三条(検閲の禁止)及び第四条(秘密の保護)を遵守しなければいけません。

    この通信と言うのは(総務省では)パケットの中身(データ部分)だけでなく、ヘッダ部分も含めてという見解をしています。つまりパケットのヘッダ部分にあるプロトコルやポートに関する情報を元に通信の制限(遮断・帯域制限)を行うのも、第三条および第四条に抵触する行為に当たります。

    迷惑メール対策としてのラベリング処理と決定的に異なるのは、違法性阻却事由に当たる(迷惑メール)か当たらない(Winny通信制限)かの差です。
    迷惑メールの場合は違法性阻却事由があるから「結果としてOK(罰せられない)」なだけで、厳密な法解釈をすれば違法な行為である事には変わりないという見識を(総務省は)出しています。

    また迷惑メール対策でも、原則「通信の秘密を抵触しない対策を実施した上で、それでも正当業務を遂行するのが難しいと判断される場合」という前提がありますので、無条件でOKって訳じゃないのも注意が必要です。

    ちなみに先日hi-hoが上り通信のデータ流量に応じて帯域制限を施す対策が発表されましたが、コチラは通信の中身ではなく、単純に通信データの流量だけを元に実施する事から、通信の秘密は抵触していない事、またすぐに帯域制限するのではなく一定期間の警告と状態監視をした上で、それでも改善が見受けられない場合に行うとしているので、こちらは問題は無いでしょう。

    まぁ、そう言った意味では今回は妥当な判断だと思います。