来年のことを言うと鬼が笑う。『トヨタ：９年ぶり減益に』

昨今スポーツ紙や週刊誌並みの誇大宣伝、誇大表示が一流新聞にまで飛び火している。
『芸能人の誰それ離婚』の大文字の後に、小さく『との噂が有る』と書く二流スポーツ紙の常習的確信犯のペテンの手口が、今や一流新聞でも当たり前になったのか。？
嘆かわしい事態だ。
今朝の毎日新聞の第一面に『トヨタ：９年ぶり減益に』の大きな見出し。これは一大事、大ニュースだ。
何としても読まなければ。
しかし、見出しの大文字の下に、小さく目立たないように「来年度の予想」の文字。
アホくさ、あんたら週刊誌か。
何時から毎日新聞は御馬鹿のスポーツ紙程度のレベルになってしまったのか。？
調べると、毎日だけではない。産経等をを筆頭にすべての新聞が一面トップで『トヨタ：９年ぶり減益』の大文字が踊っている。いったい、これは如何したことだろうか。？

内容的にはどれもこれも同じで、米低所得者向け高金利住宅ローン（サブプライムローン）問題に端を発する米国経済の減速や、急速な円高の影響、原油・原材料価格の上昇や、先進国市場の減速という「三重苦」の説明。
その程度なら毎朝、新聞を読んでいる人なら、中学生でも書ける（予想できる）程度のお粗末な記事内容である。




『０８年度。８年連続の増収増益。２兆２千７百億円の利益』

日本企業として始めて、トヨタが一兆円の利益を越えた時に『トヨタ一兆円の利益』の見出しが、新聞の第一面を大きく飾ったのに、今回は何故か２兆円越えが話題にならない不思議。
今回トヨタが、ＧＭを抜いて業界トップになったことが話題にならない不思議。

同時に発表した０８年３月期連結決算は、トヨタが売上高が前期比９．８％増の２６兆２８９２億円、営業利益が１．４％増の２兆２７０３億７５００万円と、いずれも過去最高を更新する。
また、売上高は、米ゼネラル・モーターズの０７年通年決算（約１９兆円）を抜き、通期で初めて自動車業界トップになった。


『印象操作』

起こった事実を速報するのが新聞の使命のはずだ。
何で、この実際に起こったトヨタ一社の利益が２兆円強の驚異的事実が、新聞の第一面のニュースの『見出し』にならないのか。？
何で、トヨタの渡辺社長が公表した（鬼が笑う）来年度２００９年業績の不景気な予想が、一面トップの見出しになるのか。？
これは悪質な印象操作、情報操作の典型例だろう。これが印象操作、情報操作でなくて、何が印象操作だと呼べるだろうか。？





『産経新聞』
『トヨタ、９年ぶり減収減益・今期、円高や原料高で』
　
トヨタ自動車は2009年3月期の連結決算（米国会計基準）で9年ぶりの減収・営業減益となりそうだ。8日発表した業績予想によると、本業のもうけを示し、為替の影響などを反映する営業利益は1兆6000億円と前期に比べ30％減少する。急速な円高・ドル安や原材料価格の上昇が直撃するため。国内企業最大の利益を稼いできたトヨタだが、市場環境の激変で収益力低下は避けられない見通しだ。

　今期の想定為替レートは1ドル＝100円と、前期実績に対し14円の円高・ドル安を見込む。ユーロなど他通貨に対しても円高を想定。円高だけで6900億円の営業減益要因となる。最終的なもうけを示す純利益は27％減の1兆2500億円と7年ぶりに減少する。(08日　22:13)






『毎日新聞　2008年4月17日　』
トヨタ：９年ぶり減益に　米経済減速と円高響く
　トヨタ自動車の０９年３月期（米国会計基準）の営業利益が９年ぶりに減益に転じる見通しであることが１７日、分かった。米低所得者向け高金利住宅ローン（サブプライムローン）問題に端を発する米国経済の減速や、急速な円高の影響により、減益幅は５０００億円を超え、前年比２～３割減少するとみられる。昨年後半からの経済環境の変化が、国内輸出企業の業績に大きな逆風になっていることが鮮明になった。

　トヨタの０８年３月期連結決算の営業利益は２兆３０００億円と過去最高を更新する見通し。北米、新興国での販売拡大や円安による為替差益が利益を押し上げた。しかし、サブプライムローン問題の深刻化に伴い、今年初めから円高・ドル安が急速に進展し、一時１ドル９５円台まで上昇した。４月に入っても１００円前後で推移している。

　０８年３月期の通期為替レートは１ドル＝１１４円となる見込みだが、０９年３月期は足元のレートより円高のケースを想定し、９０円台となる可能性が高い。トヨタは円ドル相場が１円変動すれば営業利益に３５０億円の影響が出るため、為替差損は５０００億円超に達する。

　さらに、原油・原材料価格の上昇や、先進国市場の減速という「三重苦」（トヨタ幹部）により、減益幅は原価低減や設備投資の抑制では吸収できない規模になる見込みだ。

　一方、０９年３月期の連結売上高の見通しは、販売台数が新興国を中心に増加することなどから前年並みを確保するもようだ。【中井正裕、鈴木泰広】





中日新聞は来年の予想と今年の実績を平等に見出しにしている。

『トヨタ、０９年３月期３割減益予想　０８年売り上げ、利益最高』
2008年5月9日
トヨタ自動車が８日発表した２００８年３月期連結決算（米国会計基準）は、好調な世界販売を受けて、売上高が前期比９・８％増の２６兆２８９２億円だった。売り上げ規模では米ゼネラル・モーターズ（ＧＭ）を上回り、トヨタが２年連続で自動車業界の世界一になった。０９年３月期は、円高や原材料の高騰、北米での販売不振が重なって９年ぶりに減収減益に転じ、売上高で約５％減、営業、純利益はいずれも３割弱の減となる見通し。

　０８年３月期の本業のもうけを示す営業利益は、１・４％増の２兆２７０３億円、純利益は４・５％増の１兆７１７８億円。売上高、各利益とも過去最高を更新した。

　グループの連結販売台数は、全世界で４・６％増の８９１万３０００台。市場拡大が続くアジア、中南米・豪州・アフリカでは約２割増となり、日本の不振や北米の伸びの鈍化を補った。

　利益面では、販売増など営業面の努力で２９００億円、コスト削減で１２００億円の増益効果があり、研究開発、労務などの諸経費増を吸収した。１株当たりの年間配当は２０円増配し、１４０円に引き上げる。

　トヨタ単独の０８年３月期決算は、売上高が４・４％増の１２兆７９２億円、経常利益が１・６％増の１兆５８０６億円、純利益が７・４％増の１兆１３８１億円。営業利益は諸経費の増加で３・７％減の１兆１０８６億円と、３年ぶりの減益となった。

　０９年３月期は連結ベースで、売上高２５兆円（０８年３月期比４・９％減）、営業利益１兆６０００億円（２９・５％減）、純利益１兆２５００億円（２７・２％減）の減収減益を見込む。為替レートを１ドル＝１００円と想定、急速な円高ドル安による為替差損が大きく響くとしている。