逝きし世の面影

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サブプライムローン(メモ)

2008年04月09日 | 経済

クレジット損失、1兆ドルに迫る可能性=IMF
2008年4月9日(水)
 [ワシントン 8日 ロイター] 国際通貨基金(IMF)は8日、クレジット市場の混乱が一段と拡大し、金融機関の損失は1兆ドルに迫る可能性があるとして、世界経済の成長リスクが強まったとの見方を示した。

 IMFは半期に1度の世界金融安定報告で、金融システムのレバレッジの程度を把握することに失敗しており、それが無秩序な形で巻き戻されるリスクがあると指摘。米経済成長の鈍化でクレジット損失が拡大し、状況は悪化する可能性があるとした。

 IMFの金融・資本市場部門ディレクターは記者会見で「経済成長が大幅に鈍化するなか、米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン) 危機を発端とするクレジット問題は拡大する見通し」と指摘。「信用の悪化は、クレジットの領域全般から高級住宅および商業用住宅ローン市場、企業の信用市場まで拡大している。債務不履行率は幅広く上昇する見通しだ」と述べた。

 IMFは、金融機関の評価損や損失は9450億ドルに達すると推定。ただ、この推定は3月の市況に基づいたもので、それ以降状況はある程度改善していると付け加えた。金融市場は損失見通しを過剰に見積もっているかとの問いには言及を避けた。

 前述のディレクターは、米経済が鈍化するなかでのクレジット状況の動向が現時点での主な懸念だと指摘。

 米サブプライムモーゲージ市場での債務不履行を発端とし、その他の形態のクレジットに急速に波及した現在の危機は、過熱しすぎた市場における単なる調整の必要性という問題でなく、市場の根底にある欠点を明らかにした、と述べた。

 その上で、これは民間セクターや中央銀行の注意を必要とし、公的資金の利用も必要とする可能性があると指摘。政府はすべての選択肢に備えるべきだとの考えを示した。 

 IMFは、世界的な金融安定への脅威が増し、資金調達や貿易を通じて新興国市場にも波及する可能性が高まったとの認識を示した。

 米経済に集中するマクロ経済の下振れリスクは、大手金融機関に深刻な影響を及ぼし、世界市場に広がるおそれがあると指摘。

 「われわれの分析によると、民間セクターの信用供給や市場を通じた借入の縮小で、今後数四半期にわたって米国の生産の伸びは大きく減速する可能性がある」と述べた。

 また欧州の一部では、住宅市場減速の兆しが明白になっていると警告。IMFの予想通り欧州の経済成長が減速すれば、銀行の担保権実行や評価損が増加するとの見通しを示した。

 英国での担保権実行が2倍近くになるとの見方が、一部アナリストの間で出ていると指摘した。


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3 コメント

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「借りたカネは返さなくて良い」という哲学 (kaetzchen)
2008-04-09 22:27:09
が旧約聖書のネヘミヤ記5章などあちこちに出てくる.本来,ユダヤ教の世界ではユダヤ人つまり「ユダヤ教を信じる人」同士の借金を踏み倒しても良いという倫理観があった.この思想はイスラム教にも受け継がれ,イスラームにおける銀行は全んどが信託銀行の形式を取っている.つまり国家などの大資本が大金を預け,庶民などの小資本が信用貸ししてもらっているのである.当然,アメリカの新資本主義のイデオロギーから見れば,このような「銀行」は論外だ,潰してしまえということになる.つまり,アラブとアメリカの戦争は宗教戦争だけではなく,金融戦争という側面もあるのだ.

欧州において米国ほどのサブプライムローンの被害が少ないのは,一軒家を建てるには日本ほどではないにせよ,多額の資本が必要だということに尽きる.米国の場合,貧民にも一軒家を建てさせようとしたのだが,貧民は一生かかっても一軒家のローンを返せるはずがない.だから息子を軍に売りつけてミリオネアになるしか借金を返す方法がないのだ.

逆に考えてみよう.欧州の都市の人口密度は日本並みに高い.つまり,貧民はエレベータもないような高層マンションに住まなければならないのだ.マンハッタンならハーレムがそれに当たる.ロシア革命後,ソ連政府は内戦で破壊された住宅を高層アパートで置き換えた.今となっては不便極まりないものとして西側諸国のマスコミの物笑いとなっているが,反対にドイツの諸都市の再建のためにファシズムが用いられたことを思い直さなければならない.第二次大戦後,東欧諸国がソ連によって「解放」された後,東欧諸国はまず何をしたか.実は帝政時代に作られた石造りの建物や高層アパートを再建したのである.貧しい者のために一軒家の住宅ローンを組んだ第三帝国ドイツがインフレと恐慌を繰り返しながら戦争で金儲けを企んでいたのは,まさに今日の米国サブプライムローンの地獄とそっくりではないか.

細かい歴史的考察は抜きにして,どうもそのような夢うつつが交差する今日一日であった.
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コメント有難う御座います。 (ブログ主)
2008-04-10 12:39:36
「借りたカネは返さなくて良い」という哲学 。
この話は日本人的な道徳では理解出来ないでしょうね。
日本人は借金を借りたほうが、借金を苦にして、大勢が、自殺するが、欧米では借金した方ではなく金をを貸した方が、お金を返してもらえず自殺するという冗談話がありましたね。
シェークスピアの有名なベニスの商人の話でも、金を貸したユダヤ人のシャイロックが悪者で、返さなかった(返せなかった?)方は善人です。
しかもシャイロックは高利で貸したのではなく無利子ですよ。
あの話、日本が舞台なら、主人公の借主が借金を苦にして首吊り自殺して生命保険から金貸しのシャイロックに返す美談?になりますね。しかしこれでは世界的名作にはなりません。
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ベニスの商人の場合は (kaetzchen)
2008-04-10 21:25:43
「ユダヤ人は高利で異民族にカネを貸す」という神話を笑い飛ばしたかったのが,シェークスピアの本意じゃないかと思いますね.確かに旧約聖書には異民族には利子を取って良いと書いてあるけど,自殺するほどの利子をかけて良いとはどこにも書いていない.

イエス・キリストはそれさえも問題があると言ったから,人民裁判によって死刑にされてしまい,エリート裁判官のポンティオ・ピラトはローマへ逃亡してしまう.(これがユダヤ人の白人化の始まりと思ってますけど)

どこぞの教育関係で,道徳心の偏差値を測定するテストを作ったなんて馬鹿げた話がニュースに出てましたけど,きっと20%以上の高利でないとカネを貸してはならない,なんていうのが正解になるんでしょうね(笑)
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