もぐ菜のみっしり茶匣(はこ)院

ようこそ腐女子の匣喫茶へ お好みのモノをどうぞ、召し上がれ。 日々を書き連ね、妄想をこよなく愛でます

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose the end

2010-12-21 00:10:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*





*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。




         summer Rose the end




九月が始まり姉の夏美は幼稚園へ通い出した。


九月と言っても日中はまだまだ暑く夏貴は霧島とおままごとごっこを思う存分に遊び満足だ。お誕生日プレゼントをちゃんと別々に貰(もら)え、夏貴は大切にしながら着せ替え人形で遊んでる。

姉の夏美は戦体物の変身道具の玩具(おもちゃ)を持ち、近所の男の子達と混ざり遊んで居るので夏貴が相手にしなくっても良いので一安心。

母親が掃除洗濯を始めたので夏貴は屋根裏部屋に行く事にした。最近、霧島が夏貴をモデルに絵を描く。まだ下書きだからと言われたが可愛く描いて貰(もら)えて嬉しい。以前に姉の夏美が夏貴の似顔絵を描いてくれたけど、どう見ても似てないのに描いた本人は良く似てると言い嫌だった。

屋根裏部屋でデスクチェアーに座り夏貴はお澄(す)ましポーズをとりながら霧島を見つめた。霧島は床に座り大きなスケッチブックを膝で、抱えながら鉛筆(えんぴつ)を持ち夏貴を描いてる。



最近、夏貴が屋根裏部屋で独(ひと)りで遊んで居るので姉の夏美は気になって居る様だっが屋根裏部屋は、夏貴の世界なので屋根裏部屋に来るとおままごとごっこをさせられるので姉の夏美は来ない。

「かわいく、かいてくれてありがとう。」

「私は在(あ)りのままの夏貴様を、ただ描いて居るだけですよ。」

そう言うと霧島は瞳を細めて愛しいげに微笑(ほほ)むと、夏貴はそう言われ照れを隠す様に足をバタバタと動かす。



霧島から出会ってから夏貴の世界は変わった。


今まで病気の事でいつも落ち込んで居て家族は、夏貴の病気の事でいつも気にかけて家族が不安でもあった。

廻りには大事な家族がすぐ傍(そば)に居てくれて誰よりも大切にしてくれてる───────── でも自分だけが色彩(しきさい)のない
白黒の世界に独(ひと)り居る様な気がしてた。


白黒の世界から夏貴は目覚め世界が七色にまばゆく光を放ち、彩(いろど)られた素敵な世界に夏貴は霧島と伴(とも)に居る。


体調が凄く良く何をしても楽しくご飯を食べても美味しい。霧島から出会った日から何もかもが嬉しい。初めてのお友達??





         私だけの王子様




王子様は王様との約束を果たし銀河へ帰還(きかん)する、永遠の最愛の人である親友の男の子を連れて。




夏貴は眠たげにウトウトして居るのを見て霧島は、今日はここまでと思い手に持っていた道具を片付けた。とうとう夏貴は寝てしまいデスクチェアーから落ちそうになり~ 霧島は素早く小さな身体を抱き留めた。

うたたね姫と霧島はくすりと笑う。



目覚めれば昼頃でちょうど良い時間になると思い、霧島は気配(けはい)と姿を消し夏貴を部屋に寝かしつけに行った。

夏貴と霧島の毎日は何の変哲(へんてつ)もなくゆるやかな積み重ね。



貴方(あなた)はそんな毎日を送り、いつしか大人へ──────────



それはまだ先の事と。


ベッドに寝かしつけた夏貴の幼いあどけない寝顔を見つめ霧島は思った。 夏貴の絵はなかなか完成しないまだ、デッサンが終わってないモデルである夏貴が寝てしまうから。

夏貴の目標は小学一年生になったら姉の夏美と部屋を別(わ)けて貰(もら)う事である。だから早く大きくなりたいと思っている。

その理由を夏貴から聞いて驚いた。

「ひとりのへやなら、あきひこさんとずっといっしょだよ。」

幼さ子と言えどもなんて早熟(そうじゅく)なんだろと霧島は目を丸くして聞いた。それを聞き霧島は嬉しく感じた。夏貴が成長すると共に自分を忘れる事がないと。

「そうですね。夏貴様が大きくなる魔法はないので、もう暫(しばら)くの我慢ですね。」

「ほんと?? あったらおおきくして、もらったのになぁ。」

夏貴は頬をぷぅっと膨らませて言うの見て霧島は思わず笑ってしまった。

そしてお互いに笑いあった幼いあの日に。



霧島にとって夏貴が特別な存在になる事と──────── やがて夏貴と永久(とわ)に別れてしまう事を。






         summer Rose the end.




おまけ☆前編        

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose(9)

2010-12-21 00:09:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*




*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。




summer Rose(9)




夏休みが一週間後に終わろうとした日の事だった。


夏貴はいつもの様に霧島と小さなおままごと用のテーブルの椅子(いす)に座り向かい合わせになり部屋でお絵かきを霧島として居た。

お絵かき帖に霧島を描きながら夏貴は霧島に話しかけた。

「ねぇ、あきひこさん。おたんじょうびはいつ??」

霧島は誕生日と聞き悩んだ。特に何も決めてない。

「特に私は決めておりませんが。」

「うん、わかった!!なつきが、きめてあげるね。」

そう言うと黒のクレヨンでお絵かき帖に描いた霧島の似顔絵の横に覚えたての数字とひらがなで書き始めた。


『9がつ 1にち おおがた 』

夏貴は良かったと言う満面な笑みである。

「あのね、なつきのおたんじょうびのつぎのひが、あきひこさんのおたんじょうびだよ。」

「お誕生日と血液型まで、お決め頂(いただ)き光栄ですね。」

「なつみおねえちゃんとおたんじょうびがいっしよだから、おたんじょうびけーきがおなじなんだもん。だから、つぎのひに、なつきとけーきをたべようね。」

双子なので確かにお誕生日が一緒。特に夏貴が困る事はお誕生日プレゼントも二人で一つ兼用しながら遊べる玩具(おもちゃ)だったりと、子供ながらにして大人の理不尽(りふじん)さに夏貴は困った。

一度、両親にプレゼントの事で言うとお姉ちゃんとお誕生日が同じで、二人は仲良しだから二人で遊べる方がいいと言われた。仲良しなのは仲良しだけど姉の夏美と趣味が合わない!!

夏貴はお着せ替え人形が欲しいのに姉の夏美は何故(なぜ)か、男の子が欲しがる様な怪獣や戦体物の玩具(おもちゃ)を欲しがる。

両親に要望に聞いて貰えるのは姉の夏美の方で、嬉しいそうにプレゼントで遊んで居る。今年も二人で一つと思うと哀しいと思う夏貴だった。

夏貴の表情がパッと暗くなり俯くので霧島は気になった。何か自分が有らぬ事を言い夏貴の機嫌を損ねたかっと霧島は思った。

「夏貴様、どうなさいました??」

「うん、おたんじょうびぷれぜんと……」


夏貴は初めてその事を人に話した。両親にだって話した事のない夏貴だけの秘密だった。霧島は小さな秘密をからかう事なく耳を傾けた。

「ならば、私がお母様にお姉様の夏美様とお誕生日プレゼントを、別々にして頂(いただ)ける様にしてみましょう。」

そう霧島が言うと夏貴は驚き見つめた。

「そんなことできるの??」

「はい。お任(まか)せくださいませ。」

夏貴が欲しい物なんて簡単に霧島は用意出来るが、ちゃんと両親に夏貴のお誕生日プレゼントを購入させる事にした。


そして誕生日に両親から誕生日プレゼントを夏貴がちゃんと受け取れる様に。霧島程の強大な魔力を有(ゆう)するので人の記憶を、改ざんするなんて簡単なので特に難しい命令ではない。


夏貴の母親がいつプレゼントを近所のマーケットに買い物に行くかが…… プレゼントを購入す時は夏美を連れて行かないはず。ほぼ毎週の買い物には姉の夏美が付いて行ってた。

夏貴は霧島と遊べる時間なので買い物には付いて行ってない。霧島は姉の夏美が幼稚園で描いて来た八月のカレンダーを見る。

来週で八月が終わるのでもうそろそろお誕生日プレゼントを購入するだろうと霧島は思った。するとその時に部屋の扉がノックされた。

「はいるよ。」

そう言って姉の夏美が部屋に入って来た。グリーンのトレーナー上下で片手にはスナック菓子を持ち夏貴の正面に来て小さなおままごと用のテーブルの椅子(いす)にひょいと座った。

夏貴はスナック菓子の封をハサミで切り開封した。

「きょうはおるすばんを、してっていわれた。」

夏美は小さなおままごと用のテーブルに広げられた、お絵かき帖に夏貴が描いた霧島を見た。見ようによっては夏貴が好きな、アニメの王子様風の男の子にも見えるで姉の夏美は気にしなかった。

「おかあさん、きっとおたんじょうびぷれぜんとを、かいにいくんだろうな。」

夏貴は姉の夏美の言葉を聞き今日で良かったと思った。今年こそは自分の欲しい着せ替え人形を貰えると良いなっと。姉の夏美は戦体物の変身道具が欲しいと母親に言ってからたぶんそれだろう。

姉の夏美は嬉しいそうに言う。

「なつきにも、かしてあげるからね。いっしょにあそぼうよ。」

姉の夏美が一緒に戦体物ごっこする時は要注意で、夏貴が敵役になったりするが演技指導されて最後は結局いつも姉の夏美のワンマンショーで終わる。

姉の夏美が幼稚園が夏休みなので夏貴は霧島と、おままごとごっこが出来てないのでしたい。夏貴のおままごとごっこと言っても母親が見てる、昼ドラマのノリでおままごとごっこをする。霧島はその日の昼ドラマの内容を夏貴とするのが日課だった。


(あきひこさんに、おねがいしたからだいじょうぶ。)

夏貴はそう思い姉の夏美にニッコリと微笑(ほほえ)み返した。





summer Rose the end

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose(8)

2010-12-21 00:08:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*




*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。





         summer Rose(8)




黒の羽織(はお)りと着物を着た男性は自分のおでこにかかったやや長い前髪をサラサラと手で触る。夏貴はその男性に言う。

「あなたは、だれ??」

「名前はない。」

「じゃ、しらない。」

「お嬢ちゃん君が持って行った本は、僕がお金を出して譲って貰(もら)った本なんだよ。」

「やだ。」

男性の後ろから霧島の声が聞こえた。

「そこまでにして頂(いただ)けますか。」

男性は振り返ると霧島が居た。

「ほぉ~ 異府(いふ)で畏(おそ)れられた者が、こんな少年に化(ば)けてるとね。お嬢ちゃん君は、とんでもない者に魅入(みい)られてしまった。悪い事は言わない本契約がまだ済んでないのなら、この者の名前と顔を忘れた方が良い。」

「あきひこさんたすけて。」

男性の正面に立って居た霧島の姿が消えると夏貴の真横に姿を現すと夏貴は霧島にしがみついた。

「まったく。」

男性はそう呟(つぶや)き自分の前髪をグシャグシャと手でかき上げた。

「本を返して欲しいなら、低姿勢になられたらどうです?? 夏貴様は私の事をご存知(ぞんじ)ですよ。」

「………」

「そのほんあげるけど、なつきのいうことをきいてくれる??」

「元々は僕の本だぞ。」

「力づくと言うのならば─────── 容赦(ようしゃ)はしません。」

男性は困ったと言わんばかりに溜め息をつき夏貴を見つめ不本意に言う。

「お嬢ちゃん君の、お願いとやらを聞こうか。」

夏貴はニッコリと勝者の笑みを浮かべ隣に居る霧島にピースを決めた。

「さすが夏貴様です。」

霧島はご満悦な表情を浮かべた。

一刻堂(いっこくどう)の眉間(みけん)の皺(しわ)がより数が増え深くなった。

「おなまえはなに??なつきの、おともだちになってね。」

「名前は屋号(やごう)が通り名で、一刻堂(いっこくどう)と呼ばれて居る。では、夏貴殿、以後宜しく。」

夏貴は体調が安定せず幼稚園に通えないので、お友達を作るきっかけがないのでお友達が欲しかった。

一刻堂(いっこくどう)はそう言うと、夏貴に右手を差し出した。夏貴は一刻堂(いっこくどう)の手を見る。

大きな手な割には指は細く白い手だった。夏貴は右手を、ひょいと出し一刻堂(いっこくどう)の手を握り握手(あくしゅ)をした。

その手触りはさらりとした肌でひんやりとして冷たい。

「ねぇ、あなたはゆうれいなの??」

「僕は人間だ。」

「貴方(あなた)が人間と言い張るのであれば、まだ人間なのでしょうね。」

「僕は独(ひと)りの人として寿命(じゅみょう)を、全(まっと)うしたいだけだ。永久(とわ)に生きて余計な事を考えて心身が、疲れるなんて僕はまっぴらごめんだ。」

一刻堂(いっこくどう)は皮肉めいた笑みを浮かべる。

霧島は一刻堂(いっこくどう)を見てつくづく喰えない奴と思った。夏貴の条件を飲んだので霧島は一刻堂(いっこくどう)にお目当ての本を六冊きっちり渡した。

一刻堂(いっこくどう)は着物の胸元の合わせ目のから、カードケースを取り出すと中から名刺(めいし)を出し夏貴に手渡した。

「遊びに来るなら、電話をしてから来なさい。幽霊ではないので家に住んでる。」

「おてがみかくよ。うん、あそびにいくからね。」

夏貴は一刻堂(いっこくどう)の名刺(めいし)を物珍(めずら)しげにご機嫌で見て居た。

「では失礼する。」

一刻堂(いっこくどう)がそう言うと気配(けはい)が消えたと思うと、庭の門の遠くに姿が現れたと思うとまた消えてしまった。

「ようかいかも……」

夏貴は消えた一刻堂(いっこくどう)を見て目をパチパチさせて呟(つぶや)いた。



一刻堂(いっこくどう)の家系は呪術(じゅじゅつ)を生業(なりわい)とし、先祖達は時の権力者達に仕えある時は翻弄(ほんろう)し莫大(ばくだい)な財産を成した。今は表舞台に立つ事のない一族。一刻堂(いっこくどう)は今でも闇の末裔(まつえい)とも言わてる。

その一族の血筋(ちすじ)には妖(あや)かし血が受け継がれてるとも、人ではない者の血が混ざってるとも言われ異府(いふ)の者達とも面識(めんしき)がある様だ。

本人が人間と言い張るのでどうやら、まだ人間として生活をして居る様だ。霧島からすれば限りなく自分と同じく、異府(いふ)の者と同じ気配(けはい)がし既(すで)に一刻堂(いっこくどう)は人間離れした者になって居ると思った。



座敷(ざしき)の奥から声がして夏貴は振り返ると、昼寝から起きて来た姉の夏美が声をかけてきた。

青のトレーナー上下の姿で眠そうに目を擦り縁側に座った。

「なつき、だれかいたの??」

「いないよ。」

霧島な気配(けはい)ともに姿は消えて居た。

夏美はお盆の皿に切られた西瓜(すいか)を手に取り、起きぬけに西瓜(すいか)を食べた。

夏貴はワンピースのポケットに一刻堂(いっこくどう)の名刺(めいし)を、そっと入れ西瓜(すいか)を一切れ手に取り食べた。





summer Rose(9)

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose(7)

2010-12-21 00:07:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*




*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。




         summer Rose(7)




霧島はそれから屋根裏部屋に住み着き幼い夏貴に仕えた。夏貴の体調も安定し入院もせずに済み清水家は穏やかに夏を過ごそうとして居た。

約束通り夏貴は家族と出掛ける事になった。父親の親戚(しんせき)の家に行く事になり、霧島もこっそりと姿を消して付いて行く事にした。



農家なので庭は広く樹木(じゅもく)が多く植えられおり納屋(なや)や倉があり、外に出掛けなくっても充分に遊べる環境(かんきょう)で都会育ちの夏美と夏貴はおおはしゃぎで遊んだ。



夏美は昼寝をしており夏貴は霧島を呼ぶとやって来た。倉が古くなり建て替える事になり中の物を整理するとの事だった。

夏貴は白のリボンが飾られた麦藁(むぎわら)帽子(ぼうし)を被(かぶ)り青のワンピースを着ており霧島はいつもの通り上下は黒のカジュアルスーツ姿。



母親に二人だけで倉の中に入ると危ないと言われたが、入るなっと言われると余計に興味(きょうみ)が湧き入りたくなった夏貴だった。

霧島と一緒なら危ない事はないと夏貴は思い、興味(きょうみ)津々(しんしん)で倉の中を冒険が出来ると思った。

何日か前に見たテレビの時代劇で倉の中に宝物が、いっぱい隠されていたのを見て夏貴は倉の中にはきっと良い物が隠されると違いないと考えた。

倉は二階建てで古く使われてない日用品がゴロゴロしておりめぼしい物はない。倉の中は空気の換気(かんき)がされてないので埃(ほこり)っぽい臭(にお)いがする。

「おたからないね。つまんない。」

「上の様子でも見てみましょうか。」

そう言うと霧島は階段で倉の二階へ向かうと夏貴も付いて来た。段ボールや木箱があり既(すで)に整理された後だった。

霧島は積み上げられた段ボールを千里眼(せんりがん)で透視(とうし)をすると何かを見つけた。

「夏貴様が望まれるお宝はございませんが、珍しい古書がありますね。えぇ、江戸時代の本で妖怪の本です。6冊程あります。」

「ようかいのほん??」

「夏貴様がご興味(きょうみ)がおありなら、段ボールからお出し致(いた)しますよ。」

お宝がなくしょんぼりとしてた夏貴は喜んだ。

「やったおたから、だいはっけんよ。」

夏貴がピースをしてその場でピョンと跳びはねた。

霧島は夏貴を見て一安心をした。

「はやくはやく。」

霧島は夏貴に急(せ)かされて積み上げられた一番上の段ボールを丁寧(ていねい)に開けて中から本を取り出した。


霧島は段ボールから取り出した本を取り出し夏貴に手渡す。夏貴は霧島から手渡された本を受け取ると本と言っても夏貴がいつも見てる本とは違う作りの本だった。背表紙から糸が出ており難しい漢字が書かれており見た事のない変な奇妙な生き物??と漢字が書かれて居るだけ。

「へんなの。こわいかも…‥」

「大変古い本ですね。和書は和綴(わと)じと呼ばれおり、糸で製本されておりますね。 」

夏貴はもっともっと良い物があると思った。後は二束(にそく)三文(さんもん)の掛け軸(じく)があるぐらいと霧島が言う。

「これもらってもいい??」

「まぁ、良いのでは。」


二人はお互いの顔を見合わせニヤリッと笑う。
霧島は段ボールを開封したのが分からない様に元通りに段ボールを封をした。開封前と一切変わらない状態で誰も、霧島が段ボールを開封して古書を失敬(しっけい)したとは思わない。

夏貴と霧島が倉の階段を降(くだ)り倉から出て行った。


夏貴と霧島が倉を出て行って暫(しばら)くすると親戚の者と真っ黒な羽織(はお)りを着た着物姿の男性が現れて倉の中に入って行くのを見かけた。

夏貴は縁側(えんがわ)に座り三時のおやつに西瓜(すいか)を切って貰いご機嫌で食べる。ガラスのコップに麦茶を並々(なみなみ)と煎(い)れてお砂糖を入れゴックリと飲んだ。

冒険をした後のおやつは特に美味しい!!と夏貴は思った。残りの半分は夜になったら霧島と一緒に食べようと思い残す事にした。

そうこうして居ると真っ黒な羽織(はお)りを着た着物姿の男性が夏貴の方へ向かって来る。夏貴は何かを感じた──────────

霧島の気配(けはい)と異(こと)なる気配(けはい)だった。 その男性は歳で言うと若いが落ち着いた容姿で、夏貴からするとお兄さん風でもない父親と同じぐらいかも知れないと思った。
縁側(えんがわ)に座って居る夏貴の正面に男性はやって来た。夏貴は西瓜(すいか)を食べるのを止めしげしげとその男性を見つめる。

その男性は機嫌が宜しくないのか不機嫌な表情にも見える、男性は自分の顎(あご)に手を当てて何が愉(たの)しいのか口許(くちもと)が笑う。

「こんにわ、お嬢ちゃん。」

怖い声ではないので夏貴は安心した。十六歳の霧島よりは低い声だった。

「なぁに??」

夏貴はそう答えた。

「お嬢ちゃん君は、古い本を持ってないかな??」

一瞬、夏貴は本を持ち出した事を気づかれたと思ったが、霧島が気づかれる事はしないと信じてる。

「しらないよ。」

男性は眉を眉間(みけん)に寄せてむむと考えて居る。

「お嬢ちゃん君は、人ではない男の子と遊んで居るようだね。その男の子の名は、霧島秋彦と言うはずだ。」

夏貴はそう男性に言われびっくりと身体が反応し背筋がひんやりとした。男性の表情は何となく怒って居る様にも見えて怖くなってきた。





summer Rose(8)

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose(6)

2010-12-21 00:06:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*




*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。




summer Rose(6)




夏貴は背後から霧島に抱きしめられ腕の中でモゾモソしながらくるりと後ろを振り返った。

「ねぇ……」

霧島は千数年ぶりに新しい名前を付けて貰え嬉しいそうに笑って居る。夏貴は何処(どこ)となく困った表情で霧島は気になった。

「何か??」

「あきひこさんの、おうちはどこ??」

霧島は夏貴の言葉を聞き返答に困った。夏貴はじっーと霧島の顔を見つめた。

異府にはちゃんと居城を構えているが悪魔で友人の城で、居候をして遊んでたら仲魔から手紙を貰(もら)い久しぶりに会おう言われ呼ばれてコッチ側に来たばかりでコッチ側に住む場所をまだ探してはない。

尽(つ)かさず夏貴は霧島に質問する。

「あきひこさんは、ぎんがじんのおうじさまなの??」

銀河人の??王子様?? 霧島は聞いた事のない単語を聞き悩む。確かに霧島は人の姿をして居るが人ではない。だからっと言って妖怪や幽霊に化け物の類(たぐい)ではない。

自分は人とは異なる世界の者であり強力な力を有し数千年前にとある国の王様に仕えて居た。王様から命名された名がフレイアだった。

その時に悪魔で友人と出会い王様が寿命を全(まっと)うし他界(たかい)したのでフレイア(霧島)は悪魔で友人と絡(から)み暫(しばら)く様子を伺(うかが)いその国から去った。

去ってから王様の家臣(かしん)達はフレイア(霧島)を神として、自分達の崇拝対象として畏敬(いけい)を讃(たた)えた。

暇だったのでフレイア(霧島)が王様が統治(とうち)してた国の様子を見に行き、その事を知ったのはそれから王様が他界(たかい)してから数百年後の事だった。

今は現在は崇拝対象の神ではなくその国の伝説の神としてフレイア(霧島)は、言い伝えられ物語の神として今でもその国では親しまれて居る。忘れ去られた神の異名(いみょう)で異府(いふ)では畏(おそ)れられて居る。


(嘘は良くないでしょうね……はて、困りました。)


霧島も真剣に考え真実を言う事にした。

「夏貴様、私は夏貴様の言う、銀河人の王子ではございません。私は夏貴様だけに見える者で夏貴様の、願いを聞き人間達が住む世界に参(まい)りました。」

「そうかぁ…… にんげんじゃないのね。ゆうれいなの!?」

「幽霊ではないですよ。私は人間達が存在しない知らない世界の者。」

「ふーん。そうか。ならなつきの、おうちにすめばいいよ。」

夏貴から以外な答えを聞き霧島は驚いた。霧島は夏貴が暫(しばら)くしたら自分の事を忘れるだろうと思って居た。暇な異府(いふ)の者は子供の姿になり子供と遊んだりするが……‥ やがては子供はいつしか忘れて大人になる。

霧島は夏貴が自分を忘れるまで居ると決めて居たので、そう簡単には夏貴は自分の事を忘れないと思った。幼児と言えども名前を命名(めいめい)して戴(いただ)いた、大切な御主人様である無下(むげ)には扱えぬと霧島は決心がつく。

「お部屋まで戴(いただ)けるとは、光栄ですね。」

「よかった♪これでずっといれるね。そうだ、へやをみせてあげる。」

夏貴は小さなおままごと用のテーブルの椅子(いす)から、勢いよく立ち上がると霧島は夏貴から両腕をしおしおと離す。夏貴は部屋のデジタル時計を見て、母親と姉の夏美がまだ買い物から帰って来ない事をしっかり確認した。

「まだ、おかあさんとおねえちゃんはかえってこない。きてきて、こっち。」

「えぇ。」

そう言うと夏貴は霧島の手をしっかりと握りグイグイ引っ張る。二人は部屋を出て廊下を歩き階段を上がり二階へ行くと小さな梯子(はしご)があり屋根裏へ続いてる。

霧島はまず自分がその梯子(はしご)に登り屋根裏へ行くと八帖(じょう)の部屋になって居た。霧島は屋根裏部屋の見渡しの良い窓のカーテンを開けて束ねガラスを開けると部屋に眩(まぶ)しい夏の午後の陽射(ひざ)しが部屋に招かれた。

夏貴が梯子(はしご)に登り屋根裏部屋にやって来た。屋根裏部屋は以前は冬樹の父親が書斎として使って居たが、冬樹の母親と父親が二年前に他界(たかい)したので一人息子の冬樹が家を相続し住んで居る。

なので小綺麗に片付けられており快適である。エアコンやベッドもちゃんとあり部屋として住めると夏貴なりに思って霧島に見せた。

「ねぇ、ここならすめるでしょ??そうだ、ごはんはどうしょう??」

そう言いながら夏貴は霧島の正面に来た。

「私はお腹は減らないので、食事は不要ですよ。」

きょとんし夏貴は霧島の言葉を聞いた。

「おなかへらない??」

「えぇなので、ご心配はありません。」

二人が会話をして居ると母親と姉の夏貴が帰宅したらしく、夏貴を呼んで居るので夏貴は屋根裏部屋の梯子(はしご)を降りて戻って行った。





summer Rose(7)

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose(5)

2010-12-21 00:05:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*




*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。





         summer Rose(5)




約束した三日後の金曜日。

母親と姉の夏美は近所のマーケットへ買い物に出掛けた。いつもなら出掛けるのが楽しみにしてるのに夏貴が家で、留守番をすると言うと母親と姉の夏美は特に気にしてない様子で出掛けて行った。

夏貴はそわそわしながら、自分の部屋の中をクルクル廻り男の子を待って居た。デジタル時計を見たり、壁に掛けてある鏡を覗いたりと余念ない。

家の玄関のドアのチャイム音がした。

夏貴は来た!!と思い部屋から足音をパタパタさせて玄関のドア前に駆け出して行く。


間違えると大変なので夏貴は声をかけた。

「ねぇ、なつきとやくそくしたこだよね??」

「うん、そうだよ。キミとやくそくしたからきたんだよ。」

夏貴はスリッパのままで内側から玄関のドアの鍵を開けた。すると目の前には三日前にあった幼い男の子が、黒のTシャツと黒の半ズボン姿でニコニコと笑い立って居る。

「いらしゃい。」

「うん。」

夏貴は幼い男の子を玄関の中に入れた。

「なつきのへやにきて。」

「キミのへやだね。」

二人は手をぎゅっと繋ぎ部屋に向かった。


二人は向かい合う様におままごと用の小さなテーブルの椅子(いす)に座った。小さなおままごと用のテーブルにはクレヨンとお絵かき帖がちゃんと置かれていた。

幼い男の子はそれを見てから夏貴を愛(いと)しいげにじっと見つめると、夏貴は見つめられ恥ずかしくなり頬をほんのりと赤く染め照れて俯く。

幼い男の子はお絵かき帖を広げてから夏貴の頬にそっと、小さな手を添えると夏貴は思わず顔を上げて正面の幼い男の子の顔を見つめた。

「ボクのなまえを、かいておしえて。」

「なつき、ちゃんとかけるんだよ。」

幼い男の子は夏貴の返答を聞き満足げに微笑(ほほえ)むと夏貴の頬から手を名残(なごり)惜し気に手をどけた。

夏貴はクレヨンの箱のボタンを開けるて紫色のクレヨンを手に取りお絵かき帖に書きだした。『きりしま あきひこ』とひらがなで書くと青白く輝き名前だけがモコモコと立体的に浮かび上がる。

それを見て夏貴は驚き目をパチパチさせて小さな声を出して驚いた。

幼い男の子は特に何も気にもしてない。

「ねぇ、キミのなまえをとなりに、かいてボクにおしえて。」

夏貴は自分の名前『しみず なつき』を隣に書いたすると──────── 同じく青白く光り輝きモコモコと立体的に名前だけが浮かび上がった。

夏貴はお絵かき帖を真剣に見て思った。きっとこれは魔法かもしれないと思うとワクワクしてきた。期待に満ちた瞳を輝かせる夏貴を見つめ幼い男の子が言う。

「ありがとう。ボクたちはずっと、なかよくいっしょだよ。」

そう言うとお絵かき帖から幼い男の子は両手で立体的に浮かび上がった名前を大切にゆっくりと剥がし指先で摘(つま)み口を開き夏貴と自分の名前を美味しいそうにゆっくりと噛み食べてしまった。

「ずるい!!なつきもたべたいよ。」

夏貴は頬をぷっくりと膨らませて幼い霧島を上目つかいで見つめた。

「なつきさまはおなかを、いたくしちゃうからダメ。」

夏貴は舌足らずに霧島の名前を呼んだ。

「あきちゃん??あきくん??あきひこさん。」

「はい、なつきさま。」

そう霧島に呼ばれると夏貴は嬉しいけどなんかちょっと変な気もした。王子様が様を付けて名前を呼んでくれた。自分は王子様のお姫様だから様なのだから良いのかっなと夏貴は納得した。


「なつきさま、めをとじて。」

夏貴は首を傾(かし)げて思わず理由を聞こうとし口を開きかけると、幼い霧島は自分の唇(くち)びるに人差し指を当ててしっーと言うポーズをした。

夏貴は目を閉じずに居ると幼い霧島はおままごと用のテーブルの椅子(いす)から立ち上がると、おままごと用の小さなテーブルをくるりと廻り込み夏貴の真後ろに来て小さい手の平で夏貴の目を隠したので夏貴は目を閉じた。

「もう良いですよ。」

始めて聞く素敵な声に夏貴はドキリとした。

霧島がそう言い夏貴から手を離したので後ろを振り返り見ると幼い霧島はおらず………そこに居たのは歳で言えば16歳の男子が居た。

どう見ても幼い霧島が大きくなった姿と夏貴は分かった。青みかかった黒髪で大好きなアニメの王子様とどこなく似てる顔と髪形。黒のシャツの上に黒のジャケットを羽織(はお)り下は黒のズボンだった。霧島は優しく微笑(ほほえ)み夏貴を両腕で抱きしめた。





summer Rose(6)

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose(4)

2010-12-21 00:04:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*




*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。




summer Rose(4)





夏貴は幼い男の子と約束したので、三日間で名前を考えた。小さなおままごと用のテーブルの椅子(いす)に座り手には、お気に入りの紫色のクレヨンを持ち目の前に開いたお絵かき帖に名前を書こうかっと悩む。

昨日に見た絵本か母親と夏美と一緒に見たドラマでもないし…‥

「なにが、いいかな??」

ベッドからお気に入りのマロンブラン色のもしゃもしゃの毛のクマのぬいぐるみを、ひょいと取り自分の膝上に乗せて抱っこした。

夏貴は自分の大好きなアニメのキャラクターを思い出した。いつも土曜日の夕方に放映しているアニメでタイトルは『マじかル☆彡すたぁ~プリンス』夏貴が今、1番大好きなアニメだった。


『マじかル☆彡すたぁ~プリンス』の主人公は実は遥(はる)か彼方(かなた)の幾千万光年の銀河系の星の王子様で将来はその銀河系を統治(とうち)する王様になる為に勉強を兼ねて地球にやって来た。

地球で王子様が一人暮らしをするのは早いので、王様が選んだお伴の者が王子様の母親と父親の役割となり王子様に仕える。王子様は広いお城で生活しており何千人ものお伴がおり少々世間知らずな事もあり……‥

お父さんである王様が息子である王子様を心配し旅に出させた。 王子様と言っても何でも知りたがりのお年頃な王子様。そして、王子様の1番のお伴は小さな体で白く長いフワフワな毛で小さな丸い耳と長いしっぽのティファ。

王子様が地球に行く時に連れて行くと、ティファに命令した。王子様の傍(そば)にいつも離れずに居る為に自分の魔法で変身して人の姿になったり元の姿に戻れる特技を持つ。

地球の何処(どこ)の国に住む王様とか王子様は悩み話し合い、それでも決まらず王様はサイコロの各面に世界各国の主要都市名を書き王子様にサイコロを振らせたら─────────────

コロンと出たサイコロの目は~ 日本:東京だった。王様はもう1回サイコロを振りたいと言うと王子様はダメと言い、早速に下々(しもじも)のお伴達に命令し準備させた。


王様が名前を決めたのが『霧島秋彦』だった。

ロマンチストな王子様は春も好きそうだけど夏がお気に入り、秋が良いだろう寒がりだから冬は苦手と思い王様は決めたのだった。

王子様は母親と父親の役割をするお伴とティファを連れて地球へ向かう。

王子様は一つだけ納得できない事があったそれは~


「どうして、僕がなんで地球人と同じ小学生なんだ??こう見えても大人だぞ!!」



銀河系に居る時の姿は16歳だったので、地球に居る時は子供なので王子様はそれが納得出来なかった。


王子様は銀河に居た時からすると容姿(ようし)は幼くなって小学生6年生となり、小学校へ通うのでした。王様との約束は地球の大学を卒業したら銀河系へ帰ると…‥



王子様は小学校へ通い、一人の男の子と出会った。 始めはケンカばかりしてたのにいつの間にかに仲良くなって遊んだりと毎日を楽しく過ごす王子様だった。


それから色々な事が待ち受けていて王子様は───────────





夏貴は王子様が大好きで母親に頼み王子様に手紙を書いた。王子様の似顔絵と短いながらも手紙を書いて出したら、それから暫(しばら)くして王子様から手紙が届いた。



手紙には────────



「そのうちキミに、であえるとおもうよ。」

と手紙に書かれてた。



夏貴は王子様よりは小さい幼い男の子の名前を決めた。絶対に間違いない王子様だっと思い紫色のクレヨンを握りしめてお絵かき帖に名前を書いた。




              『きりしま あきひこ』





王子様とロケットに乗って何処(どこ)へ行こう?? でも、結婚はどうしょう?? 私は地球人で王子様は銀河人だから、お母さんとお父さんやお姉ちゃん達とさようならしないとダメなのかしらと真剣に夏貴は悩み始めた。





summer Rose(5)

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose(3)

2010-12-21 00:03:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*



*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。




summer Rose(3)





夏貴はだんだん心細くなって来た。帰りたいのに帰る道が分からない。知らない場所で知らない人ばかり…‥

疲れてお腹も空き夏貴はその場所でへたり込む様に道路の隅に座ろうとした時だった。頭上で年若い男子の声がした。恐る恐る夏貴が顔を上げて見るとその年若い男子はニコニコと笑っていた。

その年若い男子は年齢で言うと十代後半ぐらいで声も優しい。身嗜(みだしな)みも小綺麗で笑顔も見てるだけで安心してしまいそうになった。その年若い男子は屈み込み夏貴に話しかけた。

「どうしたのかな??お兄ちゃんが聞いてあげるよ。一緒に探してあげる。」

そう言うと夏貴に右手を差し出すと、夏貴は思わず嬉しくなり差し出された右手を両手で握ろうとしたが──────────

「ほら、帰ろう。お姉ちゃんが君の帰りを待ってるよ。」

「なんで、なつきはしらないのになつきをしってるの??しらないひとについていっちゃダメなんだもん。ひとりでかえるもん。」

そう言うと夏貴はすくりと立ち上がり全力で走り去って行った。年若い男子は夏貴のその後ろ姿をただ見つめて、片手で頭をグシャグシャと掻(か)いた。

いつの間かに隣に歳が変わらない年若い女子がおり、そのそぶりを瞳を細めて楽しげにくすりと笑う。

「残念、お兄ちゃんダメでした。」

軽く睨み返す年若い男子にこう言う。

「じゃ、次は私の出番ね。行って来るわ。」


夏貴は泣きぐずりながらも、とぼとぼ歩いて居ると背後から声をかけられてつい立ち止まり振り返った。

「一人かな??泣いてるよ。困ってる事があるならお姉さんに聞かせて。」

年若い女子なのでさっきの年若い男性よりは抵抗感がないが、可愛い洋服を着た年若い女子であっても見知らぬ人は不慣れでやはり怖い。


また知らない人に声をかけられて怖くなった夏貴は後ずさる。

「なつきは、ないてなんかないもん!!ひとりでかえれるよ!!」

夏貴はそう言いまた走り出して去って行く。

「難しいわねぇ~ 今の子は素直じゃない。」

先程と同じくいつの間に姿を表した年若い男子がケラケラと笑う。

「ほれ見た事か。小さいうちから契約して手なずけると、良いと思ったんだけどねぇ~ あんな疑(うたが)い深いと無理そうだな。次はどうかな??フレイアさん。」

もう一人の影がふっと現れると、年齢が変わらない男子が二人の後ろに現れた。黒髪に青みがかった髪は男性にしては長くカットされておりスタイルは良く、細身で精悍(せいかん)な顔つき目を引く美貌(びぼう)で歳もその年若い男子と変わらない年齢だった。黒いカジュアルなワイシャツにジャケトを羽織(はお)り下はズボンで容姿(ようし)は年若い男子。

年若い割には声は低く良く通る声で、あるが威圧感はない。

「多分、契約するのはこの私でしょうね。その名前とお別れする事になりますが。」

そう言うと二人の後ろの影が消えた。





夏貴は困って立ち止まりキョロキョロして居ると、トコトコと何処(どこ)からからもなく歩いて来た自分よりやや背の高い歳は二つ上ぐらいの男の子に出会った。

自分と変わらない歳で似た様な姿で黒のTシャツと黒の半ズボン姿の幼い男の子なので夏貴は安心して何となく期待して見つめた。

「どうしたの??」

幼い男の子から声をかけて来てくれて、夏貴は嬉しくなって泣いてしがみつく様に抱きついた。

「なつき、なつみおねえちゃんとケンカしちったの。だからおうちかえれない。かえりみちもわからないの。」

「じゃボクがいっしょに、キミとかえってあげるよ。」

「ありがとう。なつきのおうちしってるの??」

「うん、しってるよ。キミのおうち。」

幼い男の子が右手を夏貴に差し出すと夏貴はその手を握りしめた。

夏貴は嬉しくなったタナバタに書いたタンザクのお願いがきっと叶ったっと。それと、誰かに似ていると夏貴は幼い男の子の横顔をチロりと見つめる。


(もしか、して、おおじさま??かも!)


二人は手を繋ぎ歩き出すと、空は晴れているのに大粒の雨が降り出す。

「ねぇ、なつきのおともだちになって。ずっとなかよくあそんでね。」

「うんいいよ。そうだ、キミにおねがいがあるんだ。ボクになまえをつけてほしいんだ。したら、キミのおともだちになれるよ。」

「ほんと?! うん、なまえかんがえておくね。だから、みっかごにきて。」

一瞬夏貴は何で幼い男の子に名前がないのか気になったが遊ぶ時に必要な名前と思った。三日後は金曜日で母親が必ず近所のマーケットに、買い物に行く日で一人で留守番が出来る日であった。

夏貴は歩きながら降ってきた大粒の雨を不思議に思い晴れた空を見上げる。そんな夏貴を幼い男の子は横目で見てニコニコと笑う。

「だいじょうぶ。やむよ。ほら、キミのおうちがみえた。」

「えっ??」

雨を見たと思ったら目の前には見慣れた自分の家があった。あんなに遠くへ走ったと言うのに一瞬のうちに家に着いた。

夏貴が驚いて見てると家の、玄関のドアが開き姉の夏美が出て来た。少し離れた所に夏貴が居たので夏美は安心した。

「なつき!?」

「なつみおねえちゃん!!」

二人は名前を呼び合い駆け出す。両手を握り合い仲直りをした。

「なつき、ごめんね。」

「わたしも、ごめんなさい。」

夏貴は来た道を振り返ると幼い男の姿は無かった。家の中から母親が二人を呼んだので家に入った。




summer Rose(4)

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose(2)

2010-12-21 00:02:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*




*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。




         summer Rose(2)




そして、次の日の事。

夏美はいつもの様に幼稚園から母親の春子と帰宅した。


「なつみおねえちゃん。」

夏貴は双子であるが夏美をおねえちゃんと呼ぶ。幼稚園から帰宅して来た夏美を家で待っていた。家の中で毎日過ごす夏貴にとっての唯一(ゆいつ)の楽しみは夏美の幼稚園での話し。

夏美は幼稚園の制服からクマの絵柄がプリントされたTシャツと青色のプリーツスカートに着替えた。母親がお手製のホットケーキでホイップクリームとフルーツをサンドしたのを作るので部屋で夏美と夏貴は待って居た。

いつもなら夏美にせがむ様にして幼稚園での出来事を、聞きたがるのに夏貴はパジャマと部屋着を兼(か)ねたピンクのトレーナー上下を着て二段ベッドの下でで寝ており元気はない。

「なつき、ようちえんもなつやすみだよ。だから、みんなでうみにいくんだ。なにしてあそぼうか??なつきにおよぎかたを、おしえてあげるからね。」

「なつき、うみいけないかも。ごめんね。なつきがこんなびょうき、ばかりしてみんなにめいわくかけてる。」

夏美は必死に言う。

「みんなでうみにいくっていったよ!!」

夏貴はベッドから上半身を起こして姉の夏美を見つめてこう言った。

「ごめんね、なつきがいなければよかった。したらうみにいけたのに。」

しょんぼりと夏貴は言うと夏美は怺(こら)えていた感情を夏貴にぶつけてしまった。

「なんでそんなことをいうの!! なつきなんてだいキライ!!だったらでていってよ!!」

姉の夏美の顔を見つめ夏貴は怒らせた事を後悔した。

「なつみおねえちゃん……なつきは…‥」

そう言うと夏貴はベッドから勢いよく飛び出し玄関で自分のピンク色のサンダルを履(は)き、後ろを振り返る事なく玄関のドアを開けて家を駆け出して行った。


大きな声で泣きながら走る。いつもは母親と夏美が一緒なので何も心配がないが……‥

がむしゃらにただ家から遠くに行きたいと走る見慣れた景色は徐々に遠ざかり歩き出す。後ろを時折(ときおり)は振り返るが誰も夏貴を気にもしてない。

独りでだいぶ遠くへ来てしまった。見た事のない景色を見てだんだん哀しくなってきた。

通り過ぎる人も誰も知らない人ばかりで幼い夏貴が、独(ひと)りで歩いて居ても誰も気にも留めてない。住宅街から離れて大きなビルや建物が建ち並び、始めは見慣れない光景に気を留めてたが独(ひと)りでは楽しくなく哀しくなった。

戻ろうと思っても無我(むが)夢中(むちゅう)で走って来たので道を覚えてない。夏貴の生活の中で知って居るのは夏美の幼稚園と自分が通って居る病院と近所のマーケットぐらいだった。
夏貴は不安になり夏の青い空をただ見上げた。


お腹も空いてきたしきっとお姉ちゃんはお母さんに怒られてるかも知れない。しょんぼり俯きながら夏貴は当てもなく歩く。



そんな夏貴を見つけた者達が居た──────────


高層ビルの屋上(おくじょう)から年若い男子二人と女子一人。 人間の肉眼では地上に歩いて居る人の姿などまるで米粒の様にしか見えない。


「文化が発達し過ぎて、俺達なんて過去の遺物(いぶつ)なんだろな。魂の契約うんぬんなんて信じないぜ。魂を戴(いただ)くの苦労するなんて、ひでぇ時代になったもんだ。これじゃぁ、仲魔達が異府(いふ)へ帰還(きかん)するわな。」

「だったら私達も荷物をまとめて、異府(いふ)に還(かえ)る??私は嫌よ。コッチ側は愉(たの)しいもの。貴方(あなた)もそう思うでしょ。」

歳若い女子にそう言われて年若いもう一人の男子はただ微笑をする。

「なら、物心つく前に子供のうちから、手なずけるてどうだ??見えるだろ??あの女の子。」

「えぇ、見えるわ。泣いてるわね。」

もう一人の男子も米粒の様に見える夏貴を見つめる。千里眼(せんりがん)を持つ者達。

この者達は人の姿はして居るが人ではない。妖怪や幽霊の類(たぐい)ではない。

「決まりだ。あの幼い女の子を手なずける。これで上手(うま)く契約を決められたら~」

「女の子ねぇ……」

「可愛い子が良いに決まってるだろ??」

「あんたは男だから良いけどさ、フレイアさん貴方(あなた)もそうなの??」

「久しぶりに会いたいと貴方(あなた)達が言うから、私は異府(いふ)から来たのに愚痴(ぐち)大会に参加させられると思ってもいませんでしたよ。」

「ほんじゃ、俺が一番乗りだ。行ってくるわな。」

一瞬(いっしゅん)の内に気配(けはい)と姿を消した。

「アレがもし成功したら、誰でもオッケーて事だから心配だわね。」

「まずは、お手並み拝見(はいけん)と致しましょうかね。」





summer Rose(3)

オリジナル 霧島と夏貴の出会いの物語 summer Rose(1)

2010-12-21 00:01:01 | 腐女子の御伴
         *ご注意*




*もぐ菜がカキした鬼畜眼鏡の二次創作小説のオリジナルキャラで通常の本編の霧島×御堂さんに繋がる前の物語です。鬼畜眼鏡のキャラは登場しません悪しからず。






おかあさんとおとうさんとなつみおねえちゃんと、みんなでしたタナバタさまにおねがいしたタンザクかなうかな??




──────────ずっとなかよく、あそんでくれるともだちがほしいな────────





           貴方に巡(めぐ)り出会えて良かった。







summer Rose(1)





夏美と夏貴が寝静まってから母親と父親が昨日の晩に浮かない顔をしてリビングでリビングのテーブルを挟み椅子(いす)に座り向かい合う様に座って居る。


父親は残業し帰宅したので幼い双子の娘二人はすでに眠っており、遅い夕食を済ませ一段落がつくと母親が思い悩む面持(おもも)ちで話しかけてきた。

帰宅した夫である冬樹を笑顔で出迎えた妻の春子は窶(やつ)れており、冬樹はその理由を説明されなくっても察しがついた。

「ねぇ、あなた……」

妻の春子にそう呼ばれ夫である冬樹(ふゆき)はリビングテーブルに、新聞を広げ読んで居たが正面に椅子(いす)に座って居る春子を見つめた。



「あぁ、今回の検査結果が……」

夏美と夏貴は母親である春子に似たらしくふたえで髪はセミロング。父親である冬樹は幼い娘二人は妻に似たので嬉しく親バカと言われ様が世界で一番可愛いと思っている。何せ自分に似てたらこんなにも可愛いくはならなかっと。冬樹は童顔である。


春子は俯き顔を両手で覆(おお)い深い溜め息をついた。

「心臓の手術が成功しても生存率が低いと、主治医の十和田先生が言ってたわ。あの子達に幸せになって欲しい。なのに──────」

夏美と夏貴は双子の姉妹で8月の末で5歳になる。姉である夏美は健康で産まれて来たが、妹の夏貴は胎内(たいない)からなかなか出てこず難産だった。夏貴が産まれるとすぐに緊急治療室へ連れて行かれ、一週間は緊急治療室で経過(けいか)観察(かんさつ)だった。


母親の胎内(たいない)に夏貴が存在してる時から心臓に病(やまい)があるのも知っていた。産(う)まれながらにして夏貴は心臓に病(やまい)を患(わず)らい、もし、産(う)まれても長くは生きられないと言われたが春子は夏貴を産(う)んだ。


春子がうなだれ啜(すす)り泣くと、父親はリビングの椅子(いす)から立ち上がりテーブルを周り春子の横へ。

「今日はお疲れだったね。君にいつも大変な役目を押し付けてしまってるね。」

労(いたわ)る優しい声音(こわね)でそう言いながら冬樹は春子の肩をいたわる様に触れさすり両腕で抱きしめた。

冬樹に労(いたわ)れらて春子は胸に押し込んでいた感情がせき留(と)められた痛みの感情が溢れだし春子は冬樹の両腕にしがみつき身体を震わせた。

「ごめんなさい、貴方(あなた)。辛いのは家族皆同じなのに。」

「良いんだよ。辛い時は泣きなさい。あの子達の目の前では気丈(きじょう)にしてないといけないと思い、独(ひと)りで辛い思いを胸の中に閉じ込めていたのだから。もし、このまま夏貴の体調が悪化するなら入院を考えよう。まずは主治医の十和田先生に相談しょうと思う。」




狭く開いたリビングの扉から見聞きした事が余りにもショックで、後ずさり幼い夏美はトイレも行かず自分の部屋に戻って行った。



電気の消えた薄暗い部屋に戻ると二段ベッドの下で、すやすやと眠って居る夏貴の顔を泪(なみだ)を浮かべポロポロとこぼし姉の夏美は見つめた。

双子なので瓜り二つの容姿で姉の夏美は髪の毛を長く伸ばしており髪を結んだりと、オシャレを楽しんでいて妹の夏貴は髪の毛は短くショートカットで幼いながらお互いに個性を別々にしている。


姉の夏美は思っていた最近、妹である夏貴が元気がないと。おやつを食べるのにしても、食べる量が少なく、ベッドで寝てる事も多く気になってた。

母親の春子に心配になり妹の夏貴の事を聞いたが春子は、暑くなってきたので体調が安定しないだけと言われ心配はないと説明をされた。


(わたしはこんなげんきなのに、なつきはなんでびょうきなの??)


夏貴は夢を見て居るらしく時折(ときおり)笑い夢の中で誰かと話しをして居るようだ。

幼い夏美は人知れず泣きだし気が済むまで泣いた。





summer Rose(2)